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はま寿司「ほかの客の寿司にわさび」少年が家裁送致に「6700万円損害賠償」スシローとの違いを弁護士が解説

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.07.01 15:00 最終更新日:2023.07.01 15:00

はま寿司「ほかの客の寿司にわさび」少年が家裁送致に「6700万円損害賠償」スシローとの違いを弁護士が解説

はま寿司の看板(被害を受けた店舗とは関係ありません)(写真・アフロ)

 

 2023年1月、大手回転寿司チェーン「はま寿司」の山口県内の店舗で、ほかの客が注文した寿司にレーン上でわさびを乗せ、Instagramのストーリーに投稿した10代の男子高校生に、法の裁きが迫った。

 

 少年はレーン上に流れてきた寿司に「他人握りわさび乗せ」とのテロップを入れて、Instagramに投稿。24時間で投稿が消えるストーリー機能を使っての投稿だったが、はま寿司にとっては動画がSNS上で拡散される被害となり、山口県警は6月6日に少年を書類送検していた。そして6月27日には、はま寿司の業務を妨害したとして、少年は威力業務妨害の非行事実で山口家裁に送致された。

 

 

 6月上旬には、岐阜県内の回転寿司チェーン「スシロー」で、備えつけの醤油の差し口や未使用の湯呑みを舐めまわして元の位置に戻すなどした少年が、スシローを運営する「あきんどスシロー」から、約6700万円の損害賠償を求めて大阪地裁に民事訴訟を提起されたばかり。動画は2023年1月3日に撮影されたものだが、撮影した友人から別の友人に共有され、拡散。1月29日にネットで大炎上する運びとなり、本名や高校名がネットでさらされた少年は、高校を自主退学した。

 

 現在も自宅で反省の日々を送っているという少年側は、民事裁判で自身の迷惑行為は認めつつも、請求棄却を求めて争う姿勢を示しており、今後の裁判の行方に注目が集まっている。

 

 6700万円のインパクトがあまりに大きかったせいか、スシローの事件のほうが先だったような印象を受けてしまうが、時系列的に先にネットで炎上したのは、はま寿司の動画だ。Instagramに投稿されたのは1月9日ごろのようだが、14日にはTwitterで動画が転載され、23日ごろには複数のまとめサイトでも拡散され、大炎上していた。

 

 はま寿司の広報担当者は23日、少年が自ら連絡してきて謝罪したことを「J-CASTニュース」の取材に明かしていたが、警察に被害届を提出する予定であることも語っていた。その結果が、威力業務妨害の疑いでの家裁送致となったわけだ。

 

 迷惑動画に対して「刑事、民事両方で対応していく」と語っているスシローが、民事で少年を提訴したと報道されたのに対して、はま寿司は、刑事事件として被害届を出し、その結果、少年は家裁に送致された。はま寿司のケースは、なぜ民事での損害賠償請求ではなく、「威力業務妨害」の疑いという刑事事件となったのか。こうした炎上案件やカスタマーハラスメントに詳しい猿倉健司弁護士に話を聞いた。

 

「威力業務妨害というのは、刑法に規定されている刑事上の罪。その罪をおかした容疑で、家裁に送られたということです。今回、はま寿司側は刑事事件が大きく報道されていますが、今後『やっぱり納得できないから民事でもやります』ということも十分、あり得ますし、もしかしたら、もう民事でも訴えているけど、発表していないだけ、という可能性もあります。

 

 民事訴訟で少年に損害賠償請求をした場合、その金額をマスコミに公表するかどうかは基本的に、はま寿司次第ですが、実際に提訴したことは企業としてリリースはするのではないでしょうか。スシローにしろ、はま寿司にしろ、上場企業ですから、会社が損害を被ったにもかかわらず、役員としてやるべきことを適切にやらないと、株主から責められることになります。株主に対する説明責任という意味でも、企業としてリリースは出すのではないかと思います」

 

 家裁送致された少年の今後は、どういう展開が考えられるのだろうか?

 

「ほかの人の寿司にわさびを乗せるという行為自体は、かなり悪質です。わさびに深刻なアレルギーがある人もいるわけですから。傷害とか殺人とはいわないまでも、その行為自体、動画を拡散させて企業の信用を低下させたことのほかにもう1個、悪質性が加わっているような印象があります。本人の状況がわからないので予想は難しいですが、反省度合いやそのほかの事情によっては、処分しないという判断がなされる可能性もありえますし、保護観察処分になる可能性もあると思います。最後は裁判所の判断となります」

 

 とはいえ、刑事事件の結果が報道機関に公表されるかどうかは、警察などの判断によるのだという。

 

「たとえば刑事事件で処分なしとなった場合、警察や裁判所にその結果を公表する義務はないんです。スシローのような民事裁判の場合は、裁判所に行けば記録を閲覧できるので、ずっと記録を追って見ていくと、いつ終わったか、どういう結果で終わったかというのはわかるんですが。ただ、企業としては終わったことを公表しない可能性もあります」

 

 日ごろから、企業研修やセミナー講演で、社員たちに向けて、SNSに問題投稿をすることについてのリスクを話すことも多い猿倉弁護士が言う。

 

「こういうことをすると、いまの時代は、ほぼ間違いなくネット上で個人や職場・学校の特定までされます。あくまで個人がやったことでも、職場のほかのスタッフの個人情報まで特定されたり、彼女や家族までさらされたりということがあるので、けっして当事者ひとりの問題ではすまないんです。

 

 まして、今回のスシローや、はま寿司の件以前から、同じようなことで訴えられているケースがけっこうあるのに、なんでいまだにやる人がいるんだろうと疑問だったのですが、それは、『こういうことをすると本当に取り返しのつかない、悲惨な目に遭う』という、世の中へのメッセージの届かせ方が弱かったからかもしれません。そういった意味では、今回のスシローの高額な損害賠償請求はインパクトがあり、抑止という意味で非常に効果的だったのではないでしょうか」

 

 負の連鎖のごとく、次々と繰り返されてきた迷惑行為。社会的な責任を負うというのがどういうことか、彼らは今後、身をもって知ることになりそうだ。

( SmartFLASH )

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