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公明・山口代表 原発処理水放出「海水浴期は避けるべき」発言に「与党党首が風評加害」SNSで批判殺到
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.07.03 16:16 最終更新日:2023.07.03 16:19
7月2日、公明党の山口那津男代表は、東京電力福島第1原発の処理水を海洋放出する時期に関し「直近に迫った海水浴シーズンは避けたほうがよい」と述べた。
「風評を招かないということが大事でありますし、IAEA(国際原子力機関)など国際機関の客観的な説明を普及していく、浸透させていくということが重要でありますから、直近に迫った海水浴シーズンなどは避けたほうがよいのではないかと思います」
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福島市で街頭演説後、記者団に答えた。処理水の海洋放出を巡っては、政府と東電が「夏ごろ」の開始を目指している。
処理水を希釈して海に流すための、海底トンネルなどの設備の設置が6月26日に完了。IAEAのグロッシ事務局長が4~7日に来日し、放出計画の評価を盛り込んだIAEAの包括報告書を岸田文雄首相に直接、説明する見通しだ。岸田首相が放出の是非、時期を最終判断する前提がそろうことになる。
岸田首相の最終判断を前に、政府に慎重な対応を求めた山口氏の発言に、与野党から批判の声が上がった。
救急医としてドクターヘリの普及に奔走してきた自民党の松本尚(ひさし)衆院議員は7月2日、自身のTwitterにこう書きこんだ。
《こういう発言こそ風評被害を惹起するということが分からないのか?福島の産業復興のためには国民が一丸となって風評を跳ねつけるべき時です》
日本維新の会の音喜多駿政調会長は同日、自身のTwitterで、なんらかの対応を求めた。
《山口那津男代表のこの発言はいくらなんでも不見識。このような見解・発言こそが風評被害を招くことがわからないのか。与党の一角として、撤回するなりきちんとした対応をしてほしい》
立憲民主党の小川淳也衆院議員は7月3日、自身のTwitterにこう書きこんだ。
《海水浴シーズンにダメなら、海水浴シーズンが終わってもダメ、なんじゃないか》
放出をめぐっては、韓国・中国を含む近隣諸国でも物議を醸している。
日韓関係改善を目指してきた尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権と与党「国民の力」は、IAEAの検証で安全性が確認されれば、処理水の放出を容認する立場だ。
一方、最大野党「共に民主党」など野党側は、国民の不安をあおり、政府や与党を批判するキャンペーンを進めてきた。6月30日には、国会で、処理水の海洋放出計画の撤回を求める決議案を賛成多数で可決。与党が採決を拒むなか、国会で多数を占める野党が採決を強行した。
中国外務省の汪文斌報道官は6月7日、「安全無害というのなら、なぜ日本の国内の湖に流さないのか」と発言。「海は世界の公共財産だ、日本の下水道ではない」と警告した。
中国メディアは「処理水」ではなく、「核汚染水」と呼んでおり、批判的な報道を連日、続けている。
日本が科学的に安全だと説明しても、受け入れる様子はないなかでの、山口代表の「海水浴期は避けるべき」発言は、中韓も意識してのものと思われるが、SNSでも批判的な声が多く上がっている。
《これから海水浴シーズンなのに、東北の観光産業の復興を邪魔する最低の風評加害者》
《風評加害する与党党首…。もう公明党は連立から追い出した方がいいよ》
《その発言こそが風評被害を作ります。頼むから風評被害を作らないで下さい。問題ない水にして放出するのに問題ある水と認識されるじゃないですか。福島の方々の生活をこれ以上苦しめないで下さい》
政府と東電が「夏ごろ」の開始を目指す処理水の海洋放出。山口代表の発言は、それに水を差す形となってしまったようだ。
( SmartFLASH )