8月31日、岸田文雄首相が「新しい資本主義実現会議」で表明した「2030年代半ばまでに最低賃金の全国加重平均を1500円まで引き上げる」という目標。これに経済界からも肯定的な意見が相次いだ。
経団連の十倉雅和会長は、8月31日、記者団に「そんなにむちゃな話ではないと思う。そうなるように経済環境を持っていかなきゃいけない」と語った。
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日本商工会議所の小林健会頭も9月1日、「政府が目標感を出すこと自体は、特に否定しません。そういうもの(目標)がなければ、なかなか引っ張っていくのも大変でしょう。(中小企業も)1500円を払える企業体にしていかなければいけない」と述べている。
「最低賃金の引き上げについては、労働者の生計費や賃金水準、企業の支払い能力などから、労使の代表と学識経験者が目安を決めています。今年は政府が目標を1000円と掲げ、結果として過去最大となる43円の引き上げで、1004円になりました」(経済担当記者)。
岸田首相は自信満々の表情だったが、現時点で日本の最低賃金の伸び率は主要国に比べて大きく見劣りしている。
2023年1~4月の為替相場で各国の最低賃金を比較すると、日本は961円で最低レベル。ドイツ・フランス1386円、イギリス1131円で、日本は韓国の991円よりも下回っている(日本総研『全国平均1000円超時代の最低賃金の在り方』より)。ちなみに、JETROによると、オーストラリアは7月1日から時給2230円に引き上げている。
こうしたことを受け、岸田首相の「最低時給1500円」に批判的な意見が数多く寄せられている。「X」では、インフルエンサーのちきりん氏が、
《現時点での他の先進国の賃金より低い時給を10年後の達成目標にするなんて、本当に日本て余裕があるというか呑気というかスピード間の欠如した国というか、腰が抜けそう》
と酷評したほか、
《もうその頃には、先進国は、2,000円はゆうに超えてるよ! 高いところなら2,500円くらいかもね?差が開く一方や!》
など批判的な声が寄せられた。ニュースのコメント欄でも、
《12年で500円アップって毎年40円ぐらいだからなあ 停滞してた時期が長すぎて、そんな額の賃上げでもビックリしちゃう所もあるんだろうか》
《岸田さんは、どう言う根拠で、目指すのか言ってくれよ…。この様な話の時は何時も中身がないと言うか…。「どうやって」と言う話がまるでない…》
など、疑問視する意見が多かった。
岸田首相は、向こう10年ちょっとで最低賃金を1.5倍にするとしたわけだが、はたして実現できるのだろうか。
( SmartFLASH )