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自民はそもそも勘違い!推薦候補が選挙で圧勝した秘密は「絶対に組織の支援を受けるな」【泉房穂の「ケンカは勝つ!」第21回】

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.11.03 06:00 最終更新日:2023.11.03 06:00

自民はそもそも勘違い!推薦候補が選挙で圧勝した秘密は「絶対に組織の支援を受けるな」【泉房穂の「ケンカは勝つ!」第21回】

「最初から当選は確信していたけど、所沢は出口調査がないから結局、開票を待って、万歳したのは夜の10時半やったね」(泉氏)

 

 10月22日は「選挙サンデー」でした。参院徳島・高知選挙区と衆院長崎4区の両補選という国政選挙に加え、埼玉の所沢市長選の投開票がおこなわれた。


 この3つのうち、私が応援で入ったのは徳島・高知と所沢。両方とも、私の推薦候補が大差で勝利した。一方、長崎では立憲の候補が敗戦。結局、国政選挙で自民は1勝1敗に終わった。

 


 この結果からわかることは単純。有権者は、与党も野党も選ばなかったということ。


 まず、国民は今の岸田政権に対し、負担ばかり増やして「ええかげんにせえよ」と怒っている。急に減税を唱え始めたけど、その場しのぎなのがバレバレ。


 徳島・高知で広田一さん(55)が圧勝したのは、無所属で戦ったから。マスコミはこの補選を「与野党対決」と書いたが的外れで、真のテーマは国民負担増をやめえよというもの。それをちゃんとわかった広田陣営は、自民支持者や保守層にも食いこんだ。


 だが、長崎では相も変わらず与野党対決を前面に打ち出した。泉健太代表を始め立憲の幹部が応援に入ったのに、前回の衆院選以上に離されて負けた。与野党対決なら自民が勝つわけです。


 そして所沢市長選も、同じく無所属の小野塚勝俊くん(51)が想定どおり勝利。9月13日に小野塚くんと一緒に、所沢市役所で立候補の記者会見をした時点で選挙は終わっていた。すでに勝つ確信があった。


 小野塚くんには6月ぐらいから相談を受けていて、何度も会い、所沢市政の課題などをつぶさに確認しながら、それを踏まえて選挙戦略を練った。街頭演説には、選挙前に3回、本番でも初日、中日、最終日の3回入っています。その過程で、市民の間では現職に対するアレルギーが強いことがわかった。


 だからもし選挙当日に出口調査をしたら、投票終了の夜8時に「ゼロ当」(※開票率0%で「当選確実」を報じること)やなと思っていました。


 結果、小野塚くんは約5万7000票を獲得し、次点に約1万6000票差をつけた。対立候補の藤本正人氏は自公推薦で、3期12年もやっている現職。当然知名度は高い。でも、圧勝は私の読みどおりでした。


 藤本氏は、市内の小中学校にエアコンを設置していなかったことや、コロナ禍で所沢に保健所がないことが批判された。旧統一教会との関係も取りざたされたのに開き直っている。そもそも、マイナス要素が多かった。


 今回の選挙で私が考えるポイントはふたつ。


 ひとつは、市民を見るか組織を見るか。藤本氏は、自民や公明の支援を受け、組織のほうを向いている。私が小野塚くんに伝えた応援の条件は、「絶対に組織の支援を受けるな」ということ。組織が言い寄ってきても無視しろと。受け入れたとたん、市民は離れるから、徹頭徹尾、市民と一緒にやっていく姿勢を貫けと。


 もうひとつは、本気かどうか。相手は3期12年間、市長をやりながら、子供対策など、ほとんど何もしてこなかった。ところが、選挙戦で不利になると、子供の医療費無償化や、保健所を作ると言い出した。急にそんなことを宣言しても、誰も信用せん。


 そこで、小野塚くんにはこう指示した。やりたいことは全部書き出せと。すると彼は「市長就任日に、所沢を中核市にしての保健所設置を表明」「来年3月の議会では、最初に18歳までの子供の医療費や給食費の無償化の予算案を出す」と選挙ビラに記し、全戸に配布したのです。


 視線の先は、市民か組織か。やる気があるのかないのか。このふたつを争点化できたら、絶対に負けない。


 とにかく、市民のニーズや気持ちに寄り添うことがすべて。有権者は自らの生活のため、子供のために何をやってくれるのかと切実な思いを抱えている。その市民の視点に立てば、選挙は勝てる。


 今回の市長選は、街の空気を初めて見たときに勝利を確信した。私に言わせれば、街頭演説は「出口調査」と一緒。道行く人が足を止めるかどうか。話を5分だけ聞いて去るのか、最後まで聞くのか。


 今回は、立ち止まったら帰らずに最後まで聞いてくれる人が多かった。つまり、市民の関心が高いということだから、必ず勝つと思った。


 選挙戦の最終日の夕方に所沢に入ると、河野太郎デジタル大臣と遭遇。「前明石市長・泉房穂来る」という看板の横に、「河野デジタル大臣来る」という掲示があった。まるで「河野対泉」の対決の構図。でも、河野さんも来ると知って、正直、「ありがとう」という気持ちになった。


「組織対市民」の戦いの場に、大臣を呼ぶ感性そのものに、市民は「ノー」を突きつけた。しかも、マイナンバーでゴタゴタしているし、国民のために何かやってくれたわけでもない河野さんが来ても、票を減らすだけよ。


 自民はそもそも勘違いしている。


 今回、長崎や徳島・高知に、今井絵理子参院議員が応援に入っていたが、これで票が増えるわけない。今井さんが「私も子育てを頑張っています」というても、普通のお母さんが聞いたら、「子供を放っといて不倫した人や」としか思わん。20年以上前のアイドルを起用するなんて、自民はオッサンの好みで政治をやってる証拠やね。


 私の今後の課題は、政権交代をどう実現するか。ほんまに政権を取るなら、国政選挙、とくに小選挙区で勝たなあかん。現在の小選挙区は、自民党に支配されている。


 その自民党に小選挙区で「市民派」が勝てるということが、先の日曜日に実証されたわけや。同じことを、全国の小選挙区で「せーの、どん」でやったら、市民派が総選挙で多数派を取れるはず。


 だから所沢市長選は、私にとって小選挙区選挙のいいテストになった。市民派による政権交代への手応えを掴めたので、今回の結果に世間はもっと注目してほしいね。

( 週刊FLASH 2023年11月14日号 )

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