建設費が当初予算の1250億円から最大2350億円になり、大会運営費用も809億円から1160億円になる見込みの大阪・関西万博。12月25日には、新たな見通しの甘さが露呈した。「プレハブのパビリオン『タイプX』について、24棟分の資材を発注したが、採用する国は最大でも3カ国にとどまり、キャンセルで十数億円がかかることがわかった」と、テレビ朝日が報じたのだ。
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「『タイプX』は、参加国が独自にデザインする『タイプA』とは異なり、箱型のプレハブです。建築資材の高騰などから、パビリオン建設が進んでいないため、経済産業省が代替案として、建築費が安く工期も短いこのタイプを各国に提示していました。しかし想定ほど申し込みがなく、やむなく縮小しました」(週刊誌記者)
ちなみに「タイプA」は現在、およそ50棟が計画されているというが、着工した国はない。
いまさらだが前途多難な万博。協会は、上振れした大会運営費用1160億円の8割にあたる約970億円をチケット収入、残る約190億円を公式キャラクター『ミャクミャク』などのグッズ販売で充当するとしているが、果たして目論見どおりに行くのだろうか。
経済ジャーナリストの須田慎一郎氏が、12月24日放送の『そこまで言って委員会NP』(読売テレビ)で、万博が経済効果を及ぼすための来場者数について「東京ディズニーランド、ディズニーシー、USJ、タイガース(阪神球場)の、1日当たりの入場者数、これ全部合わせると大体15万人ちょっと。毎日、平日もそれくらい押しかけないとダメなんです」と語ると、スタジオは騒然となった。あらためて、須田氏に聞いた。
「現実は万博を開いてみないとわからないですけど、1日15万人はとんでもない数字です。そして考えなければいけないのは、想定どおりに進まなかったときの『負の利益』です。お金はかけたけど、人が来なかった。マイナスコストですね。人は来なくても会場警備費などは必要です。それが後から請求される。払わないわけにはいきませんから、税金を投入せざるを得ません」
“出口戦略”を見据えるべきだとする須田氏だが、「だからと言って、途中まで作っておいて『コストがかかりますから中止します』では、何も便益が生まれません」とも言う。
「ある意味、ギャンブルかもしれませんが、やったほうが経済活動は活発になりますし、(長い目で見れば)税収増にもつながるでしょう。やれば、何らかの便益は生まれるはずです」
SNSには《それは絶対に叶わない目標値ですね》《交通手段が脆弱過ぎてそんなに 来場するなんて不可能なのに》など、ため息が聞こえてきそうな書き込みが多かった。まだまだ、実現までには紆余曲折がありそうだ。
( SmartFLASH )