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「社員の妊娠には順番がある」元共同通信記者が明かしたマタハラ事情…育休明けの社員には「どういう顔して復帰するんだ」

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.12.27 06:00 最終更新日:2023.12.27 06:00

「社員の妊娠には順番がある」元共同通信記者が明かしたマタハラ事情…育休明けの社員には「どういう顔して復帰するんだ」

共同通信東京本社にはためく社旗

 

「もともと報道に興味があり、共同通信は風通しがよくのびのびとした社風だと聞いて入社しました。ニュースを扱うことにやり甲斐を持って働いていましたが、実態は “どの口が社会のあるべき姿を世間に説けるんだ” と驚くほどの昭和体質で、結局、耐えられなくなって退社しました」

 

 こう肩を落とすのは、共同通信社の関西のとある支局に勤務していた20代女性のAさんだ。

 

 共同通信社は、日本国内外のニュースを取り扱う通信社で、日々大量のニュースを国内外に配信している。同社を退社したAさんが、最初に違和感を覚えたのは、新人研修でのことだった。

 

 

「入社して最初に本社で受けた、新入社員研修のときのことです。新入社員全員が記事の書き方などの講義を受けるのですが、そのなかで『女性の働き方について』という内容で、現役の女性記者が利用できる社内制度などを説明する機会がありました。

 

 私はてっきり、女性でも働きやすい環境についてポジティブな話があると思っていたのですが、彼女の話は衝撃的でした。その記者は5分ほど遅れながら現れると、こう言い放ったんです。

 

『みなさんにはっきり言います。会社はこの講演会で、女性の働きやすさについてアピールしたかったのでしょうが、現実はそうではありません。私は現在ワンオペ育児中ですが、多忙すぎて育児をしながら記者として働ける環境ではありません。そういう状況になるということはわかっていたほうがいいです』

 

 こう言うと、早めに切り上げて降壇してしまいました。当然、新入社員は全員唖然としていましたね」

 

 Aさんは、すぐにその言葉に現実味を感じることになる。

 

「その後、講演者だった彼女が、社会部の記者として、私の所属していた支局に急遽出張で来たんですが、小さなお子さんも連れてきたんです。

 

 そして、『本当に申し訳ないんだけど、ちょっとこの子見てくれるかしら』と言い残し、急いで取材を終わらせて、すぐにお子さんを連れて飛行機で戻っていきました。

 

 事前説明なく子どもが支局にいる状況に驚きつつも、そのときは支局長がクレヨンを買ってきて、事務の方が対応していました。どうしても預ける場所がなかったんでしょうね……。研修での言葉が裏づけられた出来事でした」

 

 Aさん自身も過酷な体験をした。

 

「私が希望していた部署の先輩が、出張で私の支局に来ることになったので、支局の先輩が取りはからってくれて、懇親会が開かれました。

 

 30代の女性の先輩だったのですが、そのとき女性の働き方などについて質問したら、『これだけは言っておこうと思って。Aさん結婚してると思うんだけど、結婚している記者はほかにもいて、“順番” があるからね』と言われたんです。

 

 最初は “順番待ち” の意味がわからなかったのですが、話を聞くと、どうやら “出産の順番待ち” のようでした。その話を聞いたときは産休をもうすぐ終える方がいたようで、『その次は私の番だから、私より先に妊娠しないようにね』と言いたかったようです。確かに私は既婚者ですが、出産のタイミングも指示されるのか……と愕然としました」

 

 マタハラ被害にあったのは、Aさんだけではないという。

 

「私の1つ上の先輩で入社後すぐに妊娠して産休に入り、育休を経て復帰のタイミングで2人めを身ごもった女性記者は、社内でもよく思われておらず、『どういう顔して復帰するつもりだろう』と同僚たちから言われていましたよ。

 

 彼女のケースを例にあげて、『ああいうふうにならないように気をつけてね』と冗談めかして注意されることもありました」

 

 マタハラではないが、どうしようもない事情の休職に対して厳しい対応をされることもある。同社のある記者は、こんなエピソードを語ってくれた。

 

「ある女性記者が病気にかかって、手術のため休職したのです。術後1年くらいは安静にしてほしいと医者から言われたらしいのですが、休職日数には上限があるため、会社に『休職があけても数カ月は負担の少ない働き方をさせてもらえないか』と相談したんです。

 

 しかし、『時短勤務などは応じられない。休職の延長もできない』とにべもなく言われたそうで、結局、退職してしまいました。その記者は優秀だったし、もう少し会社として融通を利かせた対応ができたんじゃないか、と疑問に思います」

 

 別の女性記者は、実家に住む家族が病気になったため、実家のある地域への転勤を申し出たが、内示が出てみると、まったく別の地域で、しかも多忙な部署だった。この女性は泣く泣く退職したが、内示が出た後だったので、再度の人員調整が必要になり、上司から「裏切り者」とまで言われたという。

 

 共同通信社に、このようなハラスメントの実態を把握しているか問い合わせると、以下のような回答が返ってきた。

 

《ご指摘のような事実があるかないかにかかわらず、個別の事案についてはお答えしていません。弊社ではハラスメント関連の法令や指針に則り、ハラスメント防止に関する規定を制定しているほか、社内外に相談窓口を設置してパワハラ、セクハラ、マタハラなどの各種ハラスメント相談に対応しています。また、ハラスメント防止のためのハンドブックを作成し、研修やセミナーを適宜行うなど防止措置を講じています。》

 

 たびたび取り上げられるハラスメント問題。会社に社員たちの思いは届くのか――。

( SmartFLASH )

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