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「やりたい放題」「立派な犯罪」警視庁公安部による大川原化工機「データ隠し」問題 OBも驚く“事件化誘導”への焦り
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2024.02.16 06:00 最終更新日:2024.02.16 06:00
軍事転用可能な機器を不正輸出したとして、大川原化工機(神奈川県横浜市)の社長らが起訴され、後に起訴が取り消された事件で、2月14日付の毎日新聞は、立件に不利なデータを警視庁公安部が除外した疑いがあることを報じた。
同社の噴霧乾燥機が、生物化学テロに転用される可能性を疑った公安部は、実際に輸出された製品の同型機を使って、2018~2019年に実験をおこなった。経済産業省の省令で「内部を殺菌できるもの」が輸出規制の対象になっていることから、公安部は機器内部の温度を「110度2時間以上」維持できれば殺菌できると考え、稼働させた機器の3カ所の温度を測定。そのうち、2カ所は条件を満たしたが、1カ所は80度前後で推移した。公安部はその未達箇所のデータを除外し、経産省に報告したという。
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この報道を受け、SNSでは
《やりたい放題ですね。解体すべき》
《公安がそんなことするんだ》
《ストーリーありき?》
《無実の方を陥れた? 立派な犯罪》
などと、批判が殺到した。
逮捕・起訴の違法性については、同社が起こした国家賠償訴訟ですでに認められており、東京地裁は都と国に計約1億6200万円の賠償を命じた。また、その裁判の口頭弁論では、捜査に携わった警部補が「事件は捏造だと思う」と、異例の証言をおこなっている。
警視庁公安部OBの勝丸円覚氏は、驚きを隠せない様子で語る。
「捜査員が公判の途中でそういう言葉を使うというのは、警視庁が始まって以来のこと。衝撃的です。
なぜこういう事件が起きたのか、私も頭を悩ませています。あくまで見立てですが、判断を下す幹部が、“いけいけどんどん”の姿勢の部下が上げてきた材料を見落としたか、あるいはその部下が調書の内容を軽く書き、口頭で『文章上はこうですが、実際は違います』などと報告し、事件化に誘導したのかもしれません。
今回のように決定的な証拠がないケースでは、普通、捜査班のなかで積極派と慎重派に分かれ、最終的に意思統一して事件化するかしないかが決まります。ですが、今回は意思統一がなされないまま事件化に走り、裁判まで行ってしまった。戦前とは違うので“暴走”という言い方はしたくないですが、どこかで見落としがあったのでしょう。また、警察関係者の証言にもあったように、『現場が功を焦った』のかもしれません」
刑事訴訟に詳しい山岸純弁護士は、検察官の責任に着目する。
「世の中で、いわゆる冤罪や捏造などと言われている事件がありますが、その前に、刑事訴訟の大前提を理解しなければなりません。
刑事訴訟法は『起訴独占主義』というルールを定め、検察官のみが刑事事件を起訴できるとしています。
起訴とは、刑事事件を始めるということです。つまり、裁判所に『この人を有罪にしてください』という“依頼”をできるのは検察官だけであり、世の中的に、『どう考えても殺人犯だろ』『逮捕して刑務所に送るべきだろ』と言われている人物でも、検察官だけが、起訴するか、しないか(刑罰を受けさせるかどうか)を決めることができるわけです。
検察官が、『いろいろ考えたけど、この人は反省しているから起訴しない』とすれば、犯罪は“存在しない”ことになります(犯罪とは、刑事裁判がおこなわれて裁判官が『有罪』と宣言して初めて成立します)。一方、冤罪を作れば、その責任の大半は検察官にあると言えます。
もうひとつ、『検察官一体の原則』というルールがあります。
これは、検察官はトップの検事総長を筆頭に、上命下達で仕事がおこなわれるということです。検察官は、検事総長も下っ端の検事も、同じ考えで同じ事件処理をするということです。
だから検察官は、上司が『この事件は起訴する』と決めたら、何がなんでも起訴しなければならないわけです。結果、強面の上司に『なんとか起訴しろ、有罪にしろ』と言われた気弱な部下が、障害者郵便制度悪用事件の村木厚子さんのときのように、証拠を改ざんするといったふざけたことをしてしまうのです。
このあたり、ダイハツの不正検査や、架空売上をするような“体育会系の営業”と同じでしょう。
今回の件も、起訴することを命令された担当検事が、有罪にするための要件から“逆算”して証拠類をそろえ、その過程においてインチキをしたのでしょう。
弁護士にもたまにいますが、司法研修所で培った法曹精神を忘れきった連中が、自らの能力を悪用してやらかす事件のひとつです」
裁判のため、同社社長ら3人は1年近く身柄を拘束され、うち1人は、がんのため勾留中に亡くなった。地裁判決を不服とした都と国が控訴したことを受け、社長は「あきれた」と語った。
( SmartFLASH )