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あだ名は「殺人鬼」手術ミス連発で患者が次々死亡…現役医師が語る「本当にヤバかった事故」「危ない医師の見分け方」

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2024.02.29 06:00 最終更新日:2024.02.29 06:00

あだ名は「殺人鬼」手術ミス連発で患者が次々死亡…現役医師が語る「本当にヤバかった事故」「危ない医師の見分け方」

“竹田くん” のように、技術が未熟すぎるのに「手術が大好き」な医師は一定数いる(写真はイメージ)

 

 2023年1月に「はてなブログ」で連載が始まった4コマ漫画『脳外科医 竹田くん』。

 

 赤池市という架空の町にある市民病院に赴任してきた竹田くんだが、手術を受けた患者は後遺症に苦しみ、死亡事故も発生する。その描写が、2019年から兵庫県の赤穂市民病院で立て続けに起きた医療事故と酷似している――。

 

 ネット上でそう話題になると、地元紙「赤穂民報」も《登場人物の名前や顔立ちも実在する関係者を連想させるもの》であることを報じた。

 

 

 2024年2月、竹田くんのモデルとされる40代の男性医師が、赤穂市民病院を依願退職後に勤務していた大阪府内の病院でも患者を死亡させ、遺族から民事訴訟を起こされたことを「赤穂民報」が続報。重大な医療ミスを連発しても、なぜ男性医師は白衣を着続けられていたのか。現役医師3人が衝撃の実態を語った!

 

■登場する医師

 

医師A(都内の総合病院内科に勤務)
医師B(全国展開する大手病院外科に勤務)
医師C(東京近郊で内科外科クリニックを開業)

 

医師A 「どうやって医者になったんだ?」みたいな人はいますよね。『竹田くん』は、ウェブで連載が始まってすぐ、医療関係者の間で話題になりました。似たような医師が、みんな一人は思い当たるんじゃないでしょうか。

 

 私が知っている “竹田くん” は、胃がんの手術のときに腹腔動脈を根元から切ってしまい、術後に胆管が腐った患者さんを、死亡させてしまいました。

 

医師A うわ……絶対に切ってはいけない箇所ですし、内臓血管でいちばん太い血管ですから、あり得ないですよね。

 

医師B ええ(苦笑)。運よくというか、そのときの患者さんの家族は、彼の説明に納得し、訴訟にはなりませんでした。しかし、ほかの医師は「マジか……」とドン引きしていました。当時、彼は40代で、医師になってすでに15、16年はたっていたと思いますが、本当にヤバかったです。

 

医師C 僕が勤務していた総合病院では、気管にチューブを挿入する際に肺に穴を開けてしまい、患者さんは術後に人工呼吸器を一度も外すことができないまま亡くなったケースがありました。しかも、執刀した医師が患者の様子を診るのが当たり前なのに、その中堅医師は、外科志望の研修医に診察をまかせていたんです。

 

■心電図で電極を一直線に “クリリン貼り” した医師

 

医師A 漫画の『竹田くん』では逆に、研修医がやることになっていたカテーテルを竹田くんが横取りして、患者の容体を悪化させていましたね。検証委員会の報告書では、技術が未熟すぎて病院長から「手術をしてはいけない」と禁止されていたのに、本人は手術が大好きという……。

 

医師C どっちが迷惑なんでしょうね。僕の勤務先のケースでは、遺族はさすがに納得がいかなかったようで、看護師に「おかしくないですか?」と詰め寄っていました。看護師たちは、裏でその医師に “殺人鬼” とあだ名をつけていましたよ。

 

医師B 今なら “竹田くん” というあだ名になっているかもしれませんね。

 

医師C 本当ですよね。そのときは、訴えるには知識や証拠が足りず、遺族は泣き寝入りしたようです。

 

医師A 手術だけではなく、診察や検査でも医師の資質が問われるケースはありますよね。心電図の読解は、専門とする科にかかわらず、臨床に必要な知識ですよね。

 

医師B 大きな病院だと、心電図は検査技師さんにまかせがちで、あんまりふれる機会がないんですけどね。

 

医師A まかせるぶんにはいいんですよ。心電図検査では、電極を貼る位置が重要ですよね。とくに胸部誘導は、電極の位置が一肋間ずれるだけで、記録される波形が大きく異なってしまいます。ところが、ある医師はいつも一直線に電極を貼っているのが話題になって……。 “クリリン貼り” とネタにされて、けっこう噂になっていましたよ。

 

医師B ああ、『ドラゴンボール』の。たしかにあの額にある点みたいですね(笑)。私の所属する病院は、人数が多いぶん、一定数はヤバい医師がいるんですよ。グループの病院のひとつで、手術がすごく下手なのに、執刀を黙認されていた医師がいたんです。

 

医師C 『竹田くん』では、臨床工学技士が “殺人行為に加担したくない” と、手術への参加を拒否していましたよね。どうして、その先生は不問に付されていたのですか?

 

医師B その医師が担当するのは、みんなもう手の施しようがなく、ほかの病院でも「手術はできない」と告げられた患者さんだけなんです。それでも最後の望みに懸ける家族にとって、その医師は “厳しい状態でも手術に挑む名医” なんです。彼は術後、「最善を尽くしました」と言い、患者さんの家族からは感謝されていました。

 

医師A 病院としては、そういった患者さんを集められれば、儲かりますもんね。

 

医師B そうなんです。皆さん、術後はICUに入って、ほどなく亡くなるんですけどね。当然、それらは医療事故や「ヒヤリ・ハット事例」にはカウントされていませんが、助かる見込みの患者さんを手術したら、重大な事態を招いているはずです。

 

医師C その先生は、今もその病院に所属しているんですか?

 

医師B その後、依願退職になりました。手術だけではなく、あまりにもミスが多かったんです。今は地方の病院にいるそうですが、さすがに手術はしていないと思います。ちなみに、その医師の後任の先生も、外来の患者に抗がん剤を半年も処方していて、大騒ぎになっていました。

 

医師C 長期間、毎日飲ませるなんて考えられませんね。でも、僕も過去に数年間、医療過疎地の病院で勤務した経験がありますが、医師不足で指導医のチェックが入らないこともありますからね。

 

 さきほど、術後の診察を研修医にまかせていた中堅医師について話しましたが、通常はそんなことはあり得ない。でも、研修後3~5年めくらいの若手医師が、“竹田くん” 化していくことは、地方の病院だとあり得る話だと思います。

 

医師B 私は、離島の病院に勤務した経験があるんですが、その島には名物院長先生がいました。たぶん今も現役だと思いますが、その当時80歳くらいでした。

 

医師A その先生、知っています。有名ですよね。

 

医師B 耳が遠くて、補聴器をつけているんですが、その上から聴診器をつけて「おーぉ、問題ないね」とか言って診察しているんです。“ちゃんと聞こえてないだろ!” って内心思っていました(笑)。もともと外科医だったので、傷の診察で鑷子(せっし=ピンセット)も使うんですが、手が震えているから、ガーゼとかも落としちゃうという。

( 週刊FLASH 2024年3月12日号 )

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