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「怪しいサイトなの?」謎の中国激安ECサイト「Temu」なぜドラレコが1027円で売れるのか…本国担当者が初回答

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2024.05.10 06:00 最終更新日:2024.05.10 06:00

「怪しいサイトなの?」謎の中国激安ECサイト「Temu」なぜドラレコが1027円で売れるのか…本国担当者が初回答

中国激安ECサイト「Temu(テム)」(写真提供・CFOTO)

 

「億万長者のように買い物をしよう!」

 

 こんなキャッチコピーで世界中を席巻している激安ECサイト「Temu」をご存知だろうか?

 

 家電、ファッション、日用品など、さまざまな商品を販売する、Amazonや楽天市場のようなネットショッピングサイトだ。

 

 

 一見すると、防水電気シェーバーが1507円、スパイラル耳かきが59円、ワイヤレス充電スタンドが1318円、偏光スポーツサングラスが305円と、商品と価格のバランスがおかしい。だがじつは、ここからさらに安くなるのだ。

 

 たとえば、定価1万278円のドライブレコーダーが2419円で売られているのも驚きだが、しょっちゅう配布される90%オフなどのクーポンを使えば、なんと1027円で購入できるのだ(※価格は変動します)。SNSの宣伝を見たユーザーからは《怪しいサイトなの?》と、心配の声が上がるほどだ。

 

 だが、アップルによると、全世界で2023年のアプリダウンロードランキング1位がTemu。「日本経済新聞」によると、日本国内の利用者数は、サービス開始から約半年の2024年1月で、1500万人を突破しているのだ。

 

 そこで本誌は、Temuに取材を敢行。本国の広報担当者が、踏み込んだ質問にも答えるのは日本初のことだ!

 

■日本上陸はわずか10カ月前 いまや60カ国超に

 

 Temuが生まれたのは2022年9月。わずかな期間で急拡大できた秘密を、広報のKong Ho Chua氏が解説する。

 

「Temuはアメリカ・デラウェア州で法人化され、現在の本社はボストンです。海外進出は2023年2月、カナダで始まり、3月にはオーストラリア、4月からイギリス、ドイツ、フランスなどへ展開。アジアでは日本が最初で、同年7月からサービスを開始しました。現在、世界63の国と地域で展開しています」

 

 Temuを保有しているのは、2020年にアリババを抜き、年間アクティブユーザー数で中国1位となったEC大手のPDDホールディングス。同社のノウハウが、世界で4億6700万人が利用するTemuの急成長を支える。

 

 また、アプリの知名度を上げるために、Temuは大胆な広告戦略に打って出た。

 

 2023年2月、アメリカでもっとも高額なCM枠として知られるスーパーボウルに出広。その料金は、約18億8000万円ともいわれるが(Temuは非公表)、全米視聴者数が史上最多の1億2370万人を記録し、現地調査会社EDOの「効果的なスポットCM」でトップ16入り。CM放送の翌日には、アプリのDLランキングで1位を獲得。Temuの快進撃が始まった。

 

■梱包はちょっと雑……でも、ちゃんと届いた!

 

 本誌記者が初めてTemuを利用したのは、2024年2月26日。ちゃんと届くのか不安を感じながら、日用品を2個、748円で購入した。

 

 注文確認メールには《74.4%の配達は6日以内に届きます》。配達に8日以上かかったら、600円を返金してくれるという。配達予定日は、3月1日~5日とアバウトだったが、3月2日に無事到着。

 

 梱包に緩衝材などは入っていなかったが、商品自体に問題はなかった。その後、毎日のようにメールで「お客様専用のクーポン」が届き、再び商品を購入。「大幅値引き」「今だけ大特価」的なメールが届くたびに、何か必要なものはないかと探しまわるように。

 

 結果、バッグや電化製品などにも手を広げ、現在まで計7回購入している。

 

■記者も驚いた……安くなったら返金!

 

「この間、6939円で買ったカバンが、今日見たら5000円近くに値下がりしていた……」

 

 本誌記者が陥った “通販あるある” だが、TemuにはAmazonなどのライバルにはない独自の返金サービスがある。

 

「当社では、購入後30日以内に対象商品の価格が下がった場合、お客様が損をしないよう、差額を返金しております」(Chua氏、以下同)

 記者が高値掴みしたカバンも、わずか数クリックの申請で、2060円戻ってきた!

 

■レビューは高評価ばかり! のなぜ

 

 高評価なアイテムが揃うTemu。一部メディアで「悪いレビューを削除している」と報じられたが?

 

「削除しておりません。クオリティが悪いものを減らすことも我々にとっては必要なこと。悪いレビューも大切だと考えています」

 

■コピー品が売られているのでは?

 

 偽ブランド品があふれる中国だが、Temuは?

 

「当社は知的財産保護を非常に重視しており、偽造品を根絶するために、検証、監視、報告の包括的なシステムを採用しています。侵した販売者は、永久に追放される場合があります」

 

■では、なぜこんなに安いのか?

 

 商品は中国から航空便で届くのに、なぜか1400円以上頼めば送料無料。しかも国内発送は、安心ブランドのヤマト運輸、佐川急便、日本郵便だ。なぜ、こんな激安価格が実現できているのか。

 

「Temuに出品しているメーカーの大部分は、世界のほとんどの日用品を生産している中国に拠点をもっています。Temuは、それぞれのメーカーとお客様を、プラットフォームで直接つないでいます」

 

 メーカーは、Temuで売れた数や、デザインの好不評をすぐに商品に反映できる。

 

「そして、本来は中国製品が日本の消費者に届くまでにかかる倉庫の保管料や配送などのコスト、メーカーや卸業者への手数料を、Temuはすべてカットしているのです。

 

 多くの方は『価格=質』という印象を持ち、安いと質が悪いと思いがちです。しかし、Temuでは非効率的な中間マージンを省き、ほかとまったく同じものを、より安く売り出すことができるのです」

 

■商品が届く経路は?

 

 Temuは自社で倉庫を持たない。Chua氏に聞くと、こんな流れで “スピード配達” を実現しているという。

 

(1)日本で商品を注文
(2)Temuからメーカーへ直接、注文情報が届く
(3)メーカーから「Temuの関連会社の倉庫」へ商品が発送される
(4)「Temuの関連会社の倉庫」で商品の検査、精査、梱包がおこなわれる
(5)日本へ海外輸送
(6)宅配業者が注文者へ配達

 

■日本で人気の商品は?

 

「人気があるのは日用品です。ペン、タオル、キッチン用品、ホームウエア、お風呂マットのほか、毎日使うものはお金がかかりますので、こういったカテゴリーは万国共通で人気があります。それを安い価格で手に入れることができるので、お客様をハッピーにしますね」

 

■2024年4月6日放送の『オールスター感謝祭』(TBS系)では、番組とコラボしたCMが流れ、話題に。日本での受け入れられ方は?

 

「私が日本を訪れた際、表参道を歩いていたら、20代の女性たちが笑顔でTemuの話をしていました。ポジティブな体験をしているのではないかと感じました。日本に進出して、たくさんの好意的なフィードバックを受けています。『Temuは注文すればすぐに届く』『商品がバラエティに富んでいる』と、多くの喜びの声が届いています」

 

■最後に読者にメッセージを

 

「Temuは日本に来てまだ日は浅いですが、お客様との対話を通して、ニーズについて学ぶ機会があることに、とても感謝しています。これからも学びの姿勢を忘れずに、日本でのサービスを展開していきたいと思っています」

 

 中国人観光客によるインバウンド消費が復活しつつある今、“爆買い返し” するのもいいかもしれない。

( 週刊FLASH 2024年5月21日号 )

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