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岸田首相、能登地方への“復興応援割”表明に「輪島朝市」担当者が苦言「『かわいそうね』で終わる旅になる」
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2024.07.02 15:54 最終更新日:2024.07.02 15:54
7月1日、岸田文雄首相は発災から半年を迎えた「能登半島地震」の被災地である能登地域への、旅行費用の7割を補助する方針を打ち出した。
「復興応援割」と名づけられ、「復興次第でただちに開始できるよう、具体化を進める」と、首相は石川県内の視察後に明かした。
ただ、石川県内では7月1日時点で、いまだ2000人超の避難者がおり、被災した建物の多くも解体などがなされず、残されたままだ。
なかでも、地震によって大規模な火災が発生し、甚大な被害が出たのは輪島市の「朝市通り」だった。約240棟の建物が全焼し、現在もがれきが多く残されたままだ。
「能登のほうは『まだ一向に生活は変わらないね』となってしまう」
こう危機感を話したのは「輪島朝市組合」の担当者だ。
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岸田首相が掲げた「復興応援割」については《現状回復のスピードを上げるべき》など、優先順位が違うという意見が、Xなどでは多く聞かれている。
そこで本誌は、被災地が感じる“実情”を「輪島朝市組合」に電話で尋ねた。担当者が続ける。
「旅行費用を補助するというのは、震災で風評被害に近いことが起きた、金沢市や加賀市・山中温泉といった観光地には必要かなと思います。ただ、能登地方で考えると、七尾市・和倉温泉の有名旅館『加賀屋』さんも大きな被害を受けて、営業再開は2026年にすると方針を決めたばかりです。
輪島朝市も、まずは売るものが必要ですが、それは何かというと漁港で獲れた魚です。だから、まずは港が直らないといけない。そして、宿泊施設の整備があってこその輪島朝市だと思っています。
もちろん、朝市もいままでにないようなものとして、再興したいと思いますけど、周囲の環境が整わないうちに、観光客の方だけ来られても、難しいですよね。
そうなると結局、金沢から往復で来るしかなく、金沢は儲かるかもしれませんが……」
「復興応援割」では、現在も被災復興を目指している地域のプラスにならない、というのが地元の認識のようだ。
またそもそも、観光客の対応ができるかも厳しい見通しだという。
「能登に観光客に来ていただいても『(復興が進んでなくて)かわいそうね』と言われて、終わってしまう旅になりそうです。まず、朝市としては、港の整備を急いでもらわないと。
そういったことが整った後で、観光客に来ていただきたいです。だから、『復興応援割』は、いまではないと思いますね」(同前)
“聞く力”の首相に、被災地からの苦言は聞こえるのだろうか――。
( SmartFLASH )