社会・政治
相場の6倍! 東京都港区が指定する「ガードパイプ」独自デザインで超高額の謎を区に聞いた
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2024.07.05 14:25 最終更新日:2024.07.05 14:25
「港区指定のガードパイプのデザインはオリジナルのものなのですが、ほかの区のものに比べて異常に高いんです。われわれ工事業者としては、どうも納得がいかなくて……」
そう話すのは、道路工事を請け負う、都内の業者の男性だ。「ガードパイプ」とは、道路と歩道を区切るために設置されているパイプ式のパネルのこと。レール状のものはガードレールと呼ばれている。
【関連記事:電通は入札停止中なのに…大阪に続き東京でも“子会社”が事業受注の事態に批判】
東京都の場合、都道には、都が指定したガードパイプが設置されている。深緑色で、イチョウの葉をかたどったガードパイプは、都民なら誰もが見たことがあるだろう。一方で区道の場合は、それぞれの区が指定するガードパイプが設置されている。港区の場合は、6色のカラフルな棒が中央に挟まれた、奇妙なデザインだ。前出の業者はこう話す。
「工事業者は、都や区が指定したガードパイプを使って工事をしなければいけません。今回、港区が新しく指定したガードパイプを見たときは驚きました。
通常のガードパイプは1mあたり約7000円が相場。ところが、港区指定のガードパイプは1mあたり4万円を超えるのです」
じつに、通常の6倍にも跳ね上がった計算になる。業者が続ける。
「金額が跳ね上がった分、安全性が格段に向上したなら、まだわかります。しかしそうでもありません。しかも、これまで区が使用していたガードパイプは、どこのメーカーでも作れたものでしたが、新しいガードパイプは、ある1社しか製造していないんです」
港区指定のガードパイプは、すでに区内の一部で設置されており、今後、増えていく予定だ。なぜ、通常の6倍ほどの値段で作られているのか。港区の土木課担当者に聞いた。
「たしかに、港区指定のガードパイプは、一般的なものに比べて費用は高いです。ただ、この値段になる、ということは港区としても当然、確認をとっていて、承認を得ているものです。区が指定したデザインでの制作をお願いしているので、高くなるのもやむを得ないと思っています。
値段の話でいえば、たとえばオールステンレスでつくる場合もあります。そうすればかなりの期間、メンテナンスフリーになる、というメリットがありますが、4万円では済まないことになります」
では、製造を1社が独占しているのはなぜなのか。
「今回の図面でガードパイプを作成できる製造業者なら、どこでもよかったんです。今回は、たまたま1社だったというだけです。なので、独占的に依頼している、というのは違います」
意図的に1社を選んでいるわけではないという。また、デザインについてはこう語った。
「港区には『シティプロモーションシンボルマーク』というものがあります。のれんをイメージしたデザインになっていて、そちらも6色にカラーリングされています。今回のガードパイプについては、こちらのマークをデザインとして取り入れたものになります」
港区のホームページによると、シティプロモーションシンボルマークは「区の都市イメージを表現し、魅力を伝える」目的で作成されたという。シンボルマークを浸透させるため、通常の6倍の費用をかけてガードパイプがつくられている事実を、セレブぞろいの港区民はどれだけ把握しているのか。
( SmartFLASH )