8月14日、岸田文雄首相が、9月の自民党総裁選に出馬しないと記者会見で述べた。
「岸田さんが(総裁選に)出ないということは、石破さんは確実に出ますね」と語るのは、ある自民党関係者だ。
どういうことか――。この関係者が続ける。
「6月27日、岸田首相はホテルニューオータニの中国料理店で、石破茂元幹事長らと会食しています。じつは、このときに首相と石破さんは、ある約束をしたのではないかという話が党内に出回っていました。
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その約束とは『岸田首相が総裁選に出馬した場合は、石破さんは岸田さんを支えるため、総裁選には出馬しない』というもの。
つまり、岸田首相が出馬を断念した場合のみ、石破さんは出馬するというわけです。なので、おそらく近く、石破さんにも動きがあるはずです」
次期総裁候補として、つねに国民人気では高い支持率を維持してきた石破氏。しかし、すんなりと石破氏に決まるのかというと、そう単純ではなさそうだ。
政治部記者がこう話す。
「総裁選は、岸田政権下で活躍の場を与えられなかった、いわゆる“非主流派”と、麻生派、旧岸田派、旧茂木派の“主流派”の争いになります。
政策論争で、新総裁を決めようなんてのは表向きの話ですよ。これからは、どちらが主導権を握るかという権力闘争に突入するでしょう。
そんななか、石破さんは国会議員のなかに同志が少ないため、菅義偉(よしひで)前首相のバックアップが不可欠と見られていますが、どうも雲行きが怪しくなってきました」
そもそも石破氏には、出馬できない可能性すらあるという。
「菅さんら“非主流派”の本命は、やはり小泉進次郎氏ですよ。党の重鎮OBである森喜朗元首相が、強烈に進次郎氏をプッシュしているんです。
森さんは、旧安倍派の萩生田光一前政調会長に『進次郎を推せ』と指令を出していると聞いています。菅さんと萩生田さんも良好な関係ですし、引退する二階俊博元幹事長も、進次郎氏につくようですね。
つまり、石破さんは菅さんの支援をあてにできない状況になりつつあります。一方の麻生派、旧岸田派、旧茂木派は、新内閣になって、自分たちが“非主流派”に転落することだけは絶対に避けたい。
河野太郎デジタル大臣も、麻生太郎副総裁に出馬の意向を伝えていますが、支援の確約は取れていない。麻生さんは、茂木敏充幹事長も“コマ”のひとつと考えていて、そこに岸田首相も乗っかるという見方もありますが、首相が掲げた『新生自民党』と真反対ですよね」(同前)
一気に権力争いが加速する、魑魅魍魎の自民党内だが、ある関係者は、こんなことを数日前に話していた。
「岸田さんにはぜひとも出馬していただきたい。そして、みごとに負けてほしい。そうすれば、自民党の支持率は確実に上がりますから」
本当の「新生自民党」とは、このようなことを指すような気がしてならない。
( SmartFLASH )