ジロリ……。
10月8日、石破首相の所信表明演説に対する代表質問で、「疑似政権交代では政治は変わらない。政権交代こそ最大の政治改革」と高らかに語った、立憲民主党の野田佳彦代表。改めて“宣戦布告”した野田代表をにらむ石破首相の眼光は鋭かった。
しかし、その立憲内部では早くも火種が上がっている。発端は、立憲の代表選で野田代表を支援したことから総合選挙対策本部長代行に就任した小沢一郎氏の言動だ。
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10月3日、記者団に「(石破首相は)確実に総裁になるという状況じゃなかったこともあって、いろいろと理想論、悪く言えば『きれいごと』を言った」「総裁になったあとの発言が『違うじゃないか』といった不信感が一般の人にある」「(野党が共闘すれば)自民党の過半数割れなんてもんじゃなく、勝つ」などと語り、来る総選挙で政権交代を狙う構えを見せていた。しかし、8日には野党共闘が進まないことから「撤退」を匂わせる発言をして、党内に波紋を広げている。
「本部長代行に就任した当初から候補者の1本化について『そう簡単にはいかない』『時間がないから難しい』と漏らしていた小沢氏ですが、この日はさらに踏み込んで『9日の衆院解散後に協議できるはずがない。魔法使いでもない限り難しい』と語り、ついには代表就任から2週間以上経過しながら具体的な動きを見せなかった野田氏に対し、『(野田代表は)その間にできることをするべきだった』と愚痴の矛先を向けていました」(政治担当記者)
小沢氏は、「政策や考え方に隔たりはない。同根だ」として国民民主党との協議を積極的に進める戦略だったが、国民も立憲も同一選挙区に立候補している議員を下ろすことができず暗礁に乗り上げている。
小沢氏はなぜ、選挙間近のこの時期に野田批判とも取れる発言をしたのか。政治ジャーナリストの宮崎信行氏に聞いた。
「私もあの発言には驚きましたが、もっと驚いたのは野田代表だと思います。この数週間で、野田代表と小沢氏の間で何か問題が生じたという話は伝わってきませんが、今回の衆院選で立憲が惨敗したら野田氏の責任問題に発展します。
小沢氏はそのときに影響力を発揮できるように執行部と距離を置き始めたと、野田代表が思っても不思議ではありません。もともと、仲が良くない二人ですから」
野党第一党の内部では、早くも足並みが乱れつつあるようだ。小沢氏に対しては、Xにも批判のポストが溢れている。
《立憲民主党が自滅です。内紛状態です。野党共闘なしで小沢一郎がキレている》
《自分達の候補者を下ろす話をしないと野党共闘は無理なんだが》
《いまさら何だ! だったら野田佳彦を代表から降ろして今からでも吉田はるみに替えろよ!》
まずは身内で「共闘」の精神を固めることが先決のようだ。
( SmartFLASH )