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「もう選挙にならない」自民党 “2000万円の裏公認”に国民激怒で党内大混乱…元凶は岸田前首相の“有権者を舐めた”判断

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2024.10.25 20:03 最終更新日:2024.10.25 20:03

「もう選挙にならない」自民党 “2000万円の裏公認”に国民激怒で党内大混乱…元凶は岸田前首相の“有権者を舐めた”判断

応援演説をする石破首相(写真・梅基展央)

 

「もう選挙にならない。これは厳しいですよ」

 

 と肩を落とすのは、麻生派二所属する中堅自民党議員の秘書だ。

 

 総選挙の終盤、日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」が驚愕のスクープを放った。自民党が、裏金問題で非公認とした候補者が代表を務める党支部に、公示後になって2000万円を振り込んでいたと報じたのだ。森山裕幹事長は会見で、「党勢拡大のための活動費であり、違法性はない」と述べ、ほぼ同じ“弁解文書”を公認候補が代表を務める各支部に送った。

 

 

 さらに、石破茂首相も「候補者の選挙に使われることはない」と断言するなど弁明に追われている。とはいえ、これで納得できる有権者は少ない。

 

「そもそも裏金事件は旧安倍派の問題なんですよ。ウチの派閥にもありましたけど、事務所の慰労会の一つでも開けば吹っ飛ぶ程度の金額です。でも、未公認候補者への2000万円の支給は、党規処分を有名無実化する偽装工作と言えるようなもの。党全体の問題になり、一気に有権者の間で反発が広がっています」(前出・秘書)

 

 石破首相の言い分とは裏腹に、この2000万円は選挙活動に利用される可能性がある。

 

「たしかに、党支部に振り込まれた資金が党が公認していない候補者の選挙資金に流用されることは制度上、ありません。ただし、党支部から候補者の資金管理団体に寄付されれば選挙資金に使えます。実際、森山裕幹事長名で配られた“2000万円の取り扱い”について書かれた文書にも、こうした注意書きがありました」

 

 もともと逆風の中にあった自民党を危機的状況に追い込んだ2000万円問題。犯人はいったい誰なのか。

 

「まず、森山幹事長が“主犯”と言えますね。森山幹事長は2022年8月の岸田内閣発足と同時に、党人事で選対本部長に就任。次期総選挙で適用される10増10減に伴う選挙区調整を担いました。また、自派でも裏金問題を抱えた茂木敏充幹事長に代わり、一連の党規処分を主導しています。そして、石破茂内閣では幹事長に“出世”しました。総選挙前に旧安倍派幹部を非公認とし、裏金を受けた議員を比例名簿に載せないなどの追加処分を断行したのも森山幹事長です」

 

 つまり、裏金事件の処分を下したのは、一貫して森山幹事長なのだ。だが、裏金議員に対して厳しい態度を取り続けた同氏が、なぜここにきて“救済策”を講じたのか。

 

「“黒幕”は岸田文雄前首相ですよ。党務の責任者である幹事長とはいえ、勝手に2000万円の支出を決めることはできません。岸田首相は、総選挙で裏金議員を公認するか、非公認とするか最後まで迷っていました。結局、非公認にすると決めたのは、総選挙の直前に開かれた石破首相と森山幹事長、小泉進次郎選対委員長の会議でですが、その時に2000万円の活動費の支給を、“岸田前首相の方針”として引き継ぐことに決まりました」(自民党関係者)

 

 要するに今回の総選挙における自民党の戦略は、2000万円の支出を含めて岸田=森山ラインが決定しているということだ。そして今回、裏金議員を非公認としたことで、比例名簿には大きな穴が開いた。それを埋めるために出された方針が、女性候補の重点補充だ。

 

「比例名簿に載せる顔写真が、公示日に間に合わなかった候補者がいるくらいです。刷新感を出すためにも、女子であればほぼ100%候補者として認められました。中には公示日の2日前に決まった候補者すらいました」(同前)

 

 一連の決定の背景には、岸田前首相を含む自民党首脳陣の“甘すぎる読み”があったという。

 

「総選挙前の情勢調査では、自民党の単独過半数は難しいものの、公明党を含めた自公なら過半数は維持できるという見込みでした。そして、純減分はほぼ旧安倍派の議員。旧安倍派という“危険分子”が消えることで、単独過半数ではなくなったとしても政局は安定する、という読みが岸田前首相にあったのです」(政治部記者)

 

 だが、選挙戦も終盤に入り、裏金問題が有権者に及ぼす影響を過小評価していたことが明らかになった。複数のメディアで自民党の獲得議席が200議席割れ、比例区に至っては50議席前半の可能性が濃厚という結果が出ているのだ。

 

「今考えれば“有権者を舐めていた”ということに尽きるのでしょうね。岸田さんだって自公与党で過半数割れまでは考えていなかったでしょう。しかし、野党の諸派が連帯できているとも言えず、政権交代にはならないと考えています」(自民党議員)

 

 では、“自民惨敗”後の政局はどうなるのか。

 

「自公で過半数割れなら少数与党という選択になりますね。かつて日本新党の細川護熙首相が辞任し、さらに日本社会党が連立を離脱したことで少数与党になった羽田孜政権の前例もあります。もっとも、在任期間は2カ月で、その後、自社さ連立政権になりました。いずれにせよ、石破さんは敗戦の責任を取って、辞任するかもしれません。

 

 その場合、林芳正さんが臨時代理を務め、総裁選をやり直すことになります。ここで、総裁選で抜群の存在感を示した高市早苗さんが当選することはまずないですね。今回の選挙では安倍さんに近かった議員ほど落選危機に瀕しており、旧安倍派が力を取り戻すことはないですから。任期限定として、加藤勝信元官房長官が代役を務めるのがいちばんの落とし所と言われています」(同前)

 

 いずれにせよ、自民党が大混乱に陥るのは間違いなさそうだ。

( SmartFLASH )

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