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女子高生が85歳男性に正面衝突「自転車死亡事故」過去には9500万円賠償も…「自転車保険」加入が進まぬ背景を東京都に聞いた

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2024.12.10 17:55 最終更新日:2024.12.10 17:55

女子高生が85歳男性に正面衝突「自転車死亡事故」過去には9500万円賠償も…「自転車保険」加入が進まぬ背景を東京都に聞いた

写真はイメージです(写真・AC)

 

 12月8日午後5時頃、東京・三鷹市の歩道で、女子高生が乗る自転車が、散歩中の85歳の男性と衝突。男性が死亡する痛ましい事故があった。

 

「事故現場は緩やかな下り坂で、女子高生の自転車が下っており、スピードは出ていたようです。男性とは正面衝突だったということです。男性はその場に倒れ、頭を強く打って心肺停止の状態になり、すぐに病院に搬送されましたが、その後、死亡が確認されました。

 

 女子高校生は任意の取り調べに、『寒かったから下を向いていた。男性が歩いていたことに気がつかなかった』と語っているそうです」(事件担当記者)

 

 警察庁によると、全国における2022年の自転車と歩行者の事故は2905件で、2021年、2020年と比べて毎年10%ほど増加している。2022年の自転車と歩行者の事故のうち、死者・重傷者数は312人で、ここ数年は300人台前半で横ばいとなっているが、決して少ない人数ではない。

 

 

 気になるのは「事故の補償」だろう。日本損害保険協会のホームページには、いくつか判決事例が掲載されている。具体的には、

 

●男子小学生(11歳)が夜間、帰宅途中に自転車で走行中、歩道と車道の区別のない道路において歩行中の女性(62歳)と正面衝突。女性は頭蓋骨骨折等の傷害を負い、意識が戻らない状態となった。

 

→この事故では、9521万円の高額賠償の判決が下された

 

●男子高校生が夜間、イヤホンで音楽を聞きながら無灯火で自転車を運転中に、パトカーの追跡を受けて逃走し、職務質問中の警察官(25歳)と衝突。警察官は、頭蓋骨骨折等で約2か月後に死亡した

 

→この事故では、9330万円の高額賠償の判決が下された

 

●男子高校生が昼間、自転車横断帯のかなり手前の歩道から車道を斜めに横断し、対向車線を自転車で直進してきた男性会社員(24歳)と衝突。男性会社員に重大な障害(言語機能の喪失等)が残った

 

→この事故では、9266万円の高額賠償の判決が下された

 

 などなど、自転車事故での高額賠償は決して稀有な例ではないことがわかる。そのため、各都道府県では「自転車損害賠償責任保険」などの加入を義務づけている。

 

「たとえば、自転車安全整備店で整備点検を受けた場合に貼られる『TSマーク』には、賠償責任保険や傷害保険が付帯しています。保険料は点検費用(2000~3000円程度)に含まれ、1年程度で更新する必要がありますが、誰が乗っても事故への補償がされます。

 

 また、火災保険・自動車保険の特約として付帯される『個人賠償責任保険』もあります。保険契約者の家族などに限定されることもありますが、高額の賠償金にも対応できることが多いようです。

 

 ただ、加入率が伸び悩んでいるのが現状です。『被害者への賠償保険加入』が義務化されている東京都の生活文化スポーツ局によると、TSマークなどに『自分で加入している』が44.1%、『世帯主が加入している保険でカバーされている』が19.1%で、合計しても63.2%にとどまっているんです。10代~30代ではおよそ55%しか加入していません」(同)

 

 なぜここまで加入率が伸び悩んでいるのだろうか。東京都の担当者に背景を聞いた。

 

「自転車は利用者を限定することが難しく、車のような車検制度もないため、自賠責保険のように強制加入していただくことができません。(未加入で)罰則がないことも伸び悩みの理由かと思います」

 

 もしものための保険加入はもちろんだが、法整備も急務ということなのだろう。

( SmartFLASH )

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