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山尾志桜里の政策顧問「倉持麟太郎弁護士」安倍改憲案を批判(1)社会・政治 2018.01.31

山尾志桜里の政策顧問「倉持麟太郎弁護士」安倍改憲案を批判(1)

 

「見たか、これが山尾志桜里だ」

 

2017年12月10日、都内で開催された「ゴー宣道場」。道場を主催する漫画家・小林よしのり氏は満足げに振り返った。

 

この日のテーマは「憲法改正の作法を教えよう」。応募者数は通常の2倍。いつもより座席を増やした会場に、身動きもままならないほど多数の参加者が全国から集まった。

 

 拍手がひときわ大きく鳴り響いたのは“主役”がマイクを握ったときだった。山尾志桜里衆議院議員(43)が熱弁を振るった。

 

「『なぜ9条を変えたほうがいいんですか』という質問が直球で来たんです。私の答えはこうです。『憲法9条は残念ながら安保法制(※注1)を阻止できなかったから』。この事実を、護憲派の人も直視したほうがいいんですね。そこからが、スタートラインなんです」

 

 9条の形骸化を憂う発言。その山尾氏が政策顧問として選んだのが倉持麟太郎弁護士(34)である。2人が主張する「立憲的改憲論」とは何か。倉持氏が100分間にわたって、語り尽くした。

 

 先手を打ったのは安倍晋三首相だった。2017年5月3日、憲法記念日に、「日本会議」の集会にビデオメッセージを寄せ、戦争放棄を定めた憲法9条について「自衛隊を明文で書き込むという考え方は国民的な議論に値する」と述べたのである。倉持氏は、この安倍改憲草案を「欺瞞」と一言の下に切って捨てる。

 

「憲法9条は、戦力保持も交戦権も否定している。にもかかわらず、自衛隊は、いまや世界の五指に入る“軍隊” です。そもそも、朝鮮戦争のときに、警察予備隊、保安隊として発足した当初から、自衛隊は憲法9条との矛盾を背負ってきたわけです。

 

 本来、9条の文言に合わせるなら自衛隊は解消を目指すのが筋です。でなければ憲法を変えるしかない。安倍改憲案は、こうした矛盾を1ミリも変えぬまま、ただ『自衛隊の存在を明記する』という“加憲”でごまかそうとしているのです」

 

 発足当初から「違憲」の疑いがつきまとった自衛隊は、その後も政府の「解釈」によって矛盾を抱えたまま存続していく。最初の解釈改憲は「昭和47年見解」だった。

 

「憲法9条では平和主義を謳っているが、憲法13条には『生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、……最大の尊重を必要とする』と書いてある。これを根拠に、『急迫不正の侵害』など旧三要件(※2)という制限付きで自衛力を保持できるという解釈がなされてきたのです。この解釈変更を僕は『インチキA』といっています」

 

 この「昭和47年見解」が、2014年7月1日に閣議決定された集団的自衛権(※3)の容認につながっていった。

 

「旧三要件は、『我が国に対する』武力攻撃への自衛権行使を前提としていたのですが、昭和47年見解には『我が国に対する』とは書いてなかった。その隙をついて『我が国と密接に関係する他国』に対する攻撃でも自衛の措置は取れると読み替えて集団的自衛権の根拠とされたんです。『インチキB』です」

 

 本来、憲法とは権力を縛る「権力統制規範」だという。だが、現実に、憲法9条はその機能を失っている。それを倉持氏は危惧するのだ。

 

「立憲主義を貫徹するなら、国家権力最大の暴力といえる自衛権の発動について国内最高法規たる憲法で縛り、統制すべきです。安倍総理は自衛隊を正当化するだけでその権能についてはなんら縛らないわけです。つまり、自衛権の発動をコントロールできない。自衛隊が、いつどこで何ができるのかということは、まったくわからない。こうして解釈だけが無限に広がっていくんです。

 

 稲田朋美防衛大臣(当時)が、南スーダンの陸上自衛隊の日報の『戦闘』を、9条上問題があるからと『衝突』と言い換えた。これは『窃盗』を『借りてきた』と言い換えるようなものです。安倍加憲は、窃盗を『借りてきた』というと固定化するようなものです」

 

 そして、倉持氏は自らの改憲案を語り始めた。その核心は憲法9条の改正だ。

 

「9条1項では『戦争の放棄』、2項では『交戦権の否認・戦力の不保持』を謳っている。これを、1項、2項は残したまま、9条の2を新設する。新設条項には、『急迫不正の侵害』など旧三要件の範囲内で個別的自衛権(※4)を行使する限りにおいて、交戦権行使・戦力保持を認めるが、それ以外はいっさい認めないとします。交戦権は戦争をする権利で、憲法制定時には国連憲章の成立によってすでに世界から消滅していた概念です。

 

 しかし、従来の政府見解では2項の交戦権に一定の意味を持たせてきた。これを重視すれば、交戦権を一部解除し統制する見解もありうると考えます。つまり、我が国の防衛は統制された個別的自衛権で厳正に対応する一方、専守防衛を貫き、我が国が攻撃を受けていないにもかかわらず海外派兵等を許す集団的自衛権は行使しないという価値判断です。本来は2項(交戦権の否認)を削除すべきですが、そこに手を入れることへのアレルギーを考慮した“次善の策”です」

 

自衛権の行使を明言した改憲案には、いわゆる「護憲派」からの反発も予想されるが、それは織り込みずみだという。

 

「いわゆる護憲派は『憲法9条があるから平和が維持できた』と言ってきましたが、その9条で集団的自衛権まで認められてしまった事実は、9条が自衛権を縛る規範として機能不全を起こしていることを証明しました。『憲法守れ』も大事ですが、守られないときに『憲法を守らせるシステム』を憲法に内蔵することのほうがより重要です。

 

 諸外国では、権力を統制するために、どんどん憲法を変えて権力を縛ろう、という議論を吹っかけるのは、むしろリベラルな勢力です。個人の権利保障を充実化させ権力を縛るという立憲主義の核心を理解するならば、立憲主義の価値を強力に推進する我々の改憲論に乗ってくるのが本物じゃないでしょうか。

 

 憲法典の文字を一文字でも変えるのか変えないのか、という旧来型の『護憲』にも『改憲』にも一石を投じ、論争を誘発するのが立憲的改憲のプロジェクトです」

 

※注1「安保法制」→安全保障関連法案。集団的自衛権の行使可能などを柱とする法案。2015年9月に可決・成立した。
※注2「旧三要件」→1、我が国に対する急迫不正の侵害がある。2、これを排除するために他の適当な手段がないこと。3、必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと。
※注3「集団的自衛権」→ある国が武力攻撃を受けた場合、被攻撃国と密接な関係にある他国が共同して防衛にあたる権利。「憲法9条との関係で行使できない」という解釈を歴代内閣は示していたが、安倍内閣は2014年7月の閣議決定で解釈を変更した。
※注4「個別的自衛権」→武力攻撃を受けた国が、自国防衛のために必要な武力を行使する権利

(週刊FLASH 2018年1月2・9日合併号)

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