社会・政治
石破首相「10万円商品券問題」で立憲・野田代表「退陣など簡単に求めない」の“生煮え”姿勢

野田佳彦元首相(写真・長谷川 新)
「私たちは石破チルドレンです」「全員、石破派だ」
3月3日、石破首相の主催した2024年10月の衆院選で初当選した新人議員15人との会食では、このような言葉が飛び交ったという。さながら「石破派決起集会」の様相だったようだ。しかしまさか、その会食で「政局」に繋がる問題が発生するとは、首相は想像だにしなかったに違いない。
「ときの首相と初当選議員が懇親会を開くのはよくあることです。しかし石破首相の秘書が、会食当日の昼に各議員の事務所に出向き、『お土産代』として10万円の商品券を手渡したことから寄付行為の疑いが浮上。『政治資金規正法違反ではないか』と大問題になりました」(政治担当記者)
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鉄道ファンという共通の趣味があり、石破首相と個人的な交流も深い日本維新の会の前原誠司共同代表は14日の記者会見で、「最もそういうことをしないタイプの人だと思って付き合っていたので意外で驚いている」と語ったが、多くの国民もそう思っていただろう。
この失態に、各報道機関が週末におこなった世論調査での内閣支持率は、毎日新聞が2月調査の30%から23%、朝日新聞は同40%から26%、読売新聞は同39%から31%など軒並み急落した。
7月に参院選を控えていることもあり、野党は追及に勢いづいている。しかし、温度差があるようだ。野党担当政治部記者が解説する。
「日本維新の会の吉村洋文共同代表は14日、朝日新聞の取材に『許されないこと。出処進退について自ら厳しい判断をするべきだ』と答えました。これは、2025年度予算案の衆院採決に賛成したことで『維新の会は与党の補完勢力』というレッテルを貼られることを恐れての発言でしょう。参院選なども考えると、この疑惑では正攻法を取るしかありません。
また、国民民主党の玉木雄一郎代表は記者団に『首相が何らかの形で責任を取らないと、予算も法律も前に進まない可能性が高い。あらゆる選択肢を視野に厳しく向き合う』と、強気の口調。内閣不信任決議案賛成も辞さず、といった様子でした」
一方、最大野党の立憲民主党の対応はどうにも煮え切らない。
「野田佳彦代表は16日、訪問先の青森県で『(石破首相には)政倫審での説明を求める』としました。
その上で『内閣不信任決議案や退陣を求める声があるが、私は簡単に求めない。すぐおわびをして問題をスルーさせることの繰り返しでは改革につながらず、むしろ自民党が喜ぶのではないか』とも語りました。今回の商品券問題に限らず、このところ立憲民主党の存在感が薄い印象です」(前出・野党担当政治部記者)
読売新聞の世論調査でも、政党支持率は国民民主党が12%(前回比4ポイント上昇)、立憲民主党が6%(前回比2ポイント下落)とダブルスコアの差だった。他の調査も概ね、同様である。
立憲民主党は国民からの支持を失いつつあるのだろうか――。