社会・政治
大久保公園から“立ちんぼ”女性が消えた! 風俗店への“復帰”の一方で“残党”による美人局が横行

28歳トリマーの女性
「春休みから新学期が始まる時期。また増えるのではないかと心配していたのですが、杞憂でした。大久保公園の“立ちんぼ”はほとんど消えましたね」
そう明かすのは東京都新宿区・歌舞伎町の飲食店店主だ。日本最大の繁華街である歌舞伎町。その一角にある大久保公園周辺は、“客待ち”をする女性が集うとされる場所だった。
その近くにある、「トー横」と呼ばれるシネシティ広場に集まる未成年を含む若い女性が、売春目的に集まる男性を待つようになったのは、2020年4月ごろから。政府がコロナ禍で緊急事態宣言を発令した時期とほぼ一致する。
「もともと大久保公園には、外国人の街娼がいました。そこに若い日本人の女性が立つようになり、2020年の梅雨入りごろには、夕方から夜にかけて100人以上が立つようになりました。
原因はいくつかあります。まず、風俗店がコロナ感染拡大を防ぐために、予約の入っている風俗嬢だけを出勤させるようになり“暇”になった風俗嬢が増えたこと。それから、歌舞伎町に数店あった出会い喫茶が営業自粛に入ったこと。“立ちんぼ”が増えるにつれ“客”も増え、それを目当てに新たな“立ちんぼ”がやってくる――。こんなサイクルを経て、最盛期には大久保公園をぐるりと囲う形で400人以上が立っていました」(同前)
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男性客の多くは中高年。娘と変わらないような年齢の女性に声をかけ、1、2分の交渉の末、まとまれば近くのラブホテルに連れだって入っていく、異様としか言いようもない状態だった。当初は巡回に留めていた警察が、ようやく重い腰を上げたのは2024年1月のことだった。歌舞伎町の事情に詳しい風俗ライターはこう語る。
「マイクロバスが横づけされて、女性が一斉に検挙されました。その後も断続的に一斉検挙があって、強化月間に指定された10月には50人が逮捕されています。逮捕された女性からのヒアリングで、売春で得た資金の約31%が、ホストクラブなどでの遊興費に使われていることがわかりました。なかには、ツケがたまった担当ホストの指示で“立たされている”女性もいて、これが悪質ホスト問題として、警察が介入する端緒のひとつとなりました。このころから、立ちんぼの数は目に見えて減っていき、いまは平日だと30人ほどになっています」
この間、新宿区では大久保公園の外周を改修。北側のガードレールは女性が座ったり寄りかかったりして、客待ちできないように外されている。また巡回警備を置き、周辺に留まらないよう指導を徹底するなどの対策もおこなわれた。
「客とのトラブルは避けられないので、女性らは集団で客待ちをしたいわけです。いまも立ちんぼはいますが、近隣のホテル街に、数人が固まって客待ちをしている状態です。“新顔”が参入し難い環境になっているようで、古株ばかり。それもあって客も激減しています。
副業的に立ちんぼをしていた女性の多くは、“本業”であり、一定の安全が担保されている風俗店や、営業再開した出会い喫茶に戻ったようです」(同前)
一方で、新たな問題も発生している。買春目的の男性が、女性の友人と称する第三者から脅迫を受け、金品を脅し取られる事件が続発しているという。
「ラブホテルの敷地ギリギリで客待ちをしている女性は、とくに危ないようです。女性から声をかけ、ホテルの入り口の直前で第三者が現れ、脅迫されるそうです。まさに古典的な美人局(つつもたせ)の手口ですが、男性は現金を持って遊びに来ているケースが多いので、多くの被害が出ています。集団で取り囲み、コンビニATMで多額の現金を引き出させるケースもあるそうです。
要するに、立ちんぼが激減した結果、いまだ残っている人たちはかなり悪質な“仕事”をしている可能性があるということですね。買売春行為が減っているのはいいことでしょうが、客も女性も風俗店などに回ったわけですから、“健全化”したとは言えません」(同前)
イタチごっこは今後も続きそうだ――。