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ソニー「冬のボーナス廃止」で広がる波紋…なぜ大企業は「賞与の給与化」を進めるのか、その意図と影響は?

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記事投稿日:2025.05.23 14:45 最終更新日:2025.05.23 14:45
出典元: SmartFLASH
著者: 『FLASH』編集部
ソニー「冬のボーナス廃止」で広がる波紋…なぜ大企業は「賞与の給与化」を進めるのか、その意図と影響は?

2025年2月13日、ソニーグループ業績説明会に登壇した吉田憲一郎会長CEO(左)と十時裕樹社長COO兼CFO(写真・共同通信)

 

 気温が30度を超え、はやくも夏到来の予感がする。例年であれば、サラリーマンが胸を躍らす季節のようだ──。

 

 2025年1月、ソニーグループは同年4月入社の正社員の初任給を、大卒なら31万3000円、大学院卒なら34万3000円と、これまでより約10%増やすと発表した。

 

「ソニーやバンダイは賞与の見直しとして、冬の支給を廃止して年1回に削減。大和ハウスは《月例給与水準の大幅な改定を行う》として、賞与の給与化、つまりボーナスを基本給に分配して支給する方針へと舵を切りました」(経済担当記者)

 

 

 大企業を中心に始まった賞与の給与化だが、雇用側のメリットは何なのか。人事ジャーナリスト・溝上憲文氏に話を聞いた。

 

「2000年以降は、多くの企業が基本給を減らしてボーナスを増やすということをやってきました。ボーナスは業績次第で変えられるので、基本給を低く設定できて人件費を減らせたんです。

 

 そのうえ、ボーナスの割合が大きいと、会社がおかしくなったときに固定給が経営を圧迫しないのでよかったんです。

 

 最近は逆で、ボーナスを減らして基本給を増やすという動きが多いですね。その理由は間違いなく初任給アップです。つまり、初任給を引き上げて、優秀な人材を獲得することが目的です。要は見栄えですよ。

 

 大和ハウスはボーナスのウエイトを下げて、初任給を35万円に上げました。少子高齢化による人手不足のなかで、一流企業と言われるところが優秀な学生をとにかく採用しようと思っているんです。これは儲かっている大企業だからできる技ですね」

 

 若年層へのアピールの側面が大きいという賞与の給与化。40代から50代の “中堅” サラリーマンへの影響ももちろんあるという。

 

「すでに、ほとんどのサラリーマンは、住宅ローンのボーナス払いをやめている人が多いと思います。2000年以降、額面が大きく変動するようになってきたからです。そのため、ボーナスが減ったからといって大変だということにはならないでしょう。

 

 そもそも、全体の年収は変わりません。むしろ、会社の業績が悪くなっても基本給を減らせないので、基本的には得ですね。

 

 リアルな話だと、世の奥さんは、ボーナスは夏と冬に出るものだと思っているんですよね。でも、じつは期末手当も入れると3回に分けて払っている会社もけっこうあります。

 

 その手当を旦那は別口座を作って遊びで使っていたりします。もしボーナスがなくなったら、そうした “へそくり” がなくなる可能性がありますね。それは、サラリーマンにとっては深刻です。毎月の月給は奥さんにガッチリ握られてますから、今後は “妻との春闘” をどう戦っていくかが重要ですね(笑)」(溝上氏)

 

 今後も企業の動向から目が離せない。

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