社会・政治
小泉進次郎氏“お膝元”市長選で自民党推薦候補“敗北”それでも「人気は衰えていない」と語られる“理由”

2025年5月22日、大臣就任翌日に開かれた衆院本会議で挨拶攻めにあう小泉進次郎農水相(写真・長谷川 新)
夏の参議院議員選挙を前に、自民党と公明党、そして小泉進次郎農水相にとってはショックな結果となった。
6月15日に投開票された神奈川県三浦市長選で、自民党が推薦し、公明党横須賀総支部が支持した現職の吉田英男氏(69)が6期めを前に落選し、新人で元化学メーカー社員の出口嘉一氏(43)が当選したのだ。
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政治担当記者が言う。
「三浦市は、横須賀市とともに小泉氏の選挙区である神奈川11区のひとつ。小泉氏の地盤です。小泉氏は、6月8日の告示日には吉田氏の出陣式に応援メッセージを寄せましたが、有権者には届かなかったようです。
吉田氏は、小中学校の給食無償化や高齢者への終活支援などを訴えましたが、すでに5期20年間、市長の椅子に座り続けていたため、多選批判が絶えませんでした。さらに、初当選した2005年以降、2017年を除いて3回は無投票での当選でした。油断していたとは思いたくないのですが…」
吉田陣営には多選批判のほかに、三浦市の人口減少という点がマイナスに働いたようだ。
「三浦市の人口は、1994年の約5万4000人をピークに、2025年5月現在で約3万9000人と3割近く減少しています。その間20年、市長を務めた吉田氏は、効果的な人口減対策を打てなかったと判断されたわけです。
一方、当選した出口氏は、教育と子育て問題、就労支援や高齢化対策などを公約として掲げ、移住人口を増やすと訴えていました。有権者は三浦市の未来を、若い候補者に託したということでしょう」(同前)
“お膝元”の現職市長の落選で、小泉氏人気に陰りが見え始めたのかと思いきや、自民党ベテラン秘書はそれを否定する。
「吉田氏の敗戦理由は、多選批判に尽きると思います。5期20年もやれば、市民も新鮮さを求めますから。新鮮で、やる気十分の候補者が出てくれば、さすがに小泉さんの地盤とはいえ、簡単には勝てないでしょう。今回の投票率は、過去最低だった2017年の投票率38.9%を5ポイント強上回り、44.0%でしたから、投票率が上がった分の多くは出口氏の票に回ったのではないでしょうか」
そして、こう続ける。
「小泉氏の人気が衰えたわけではないと思います。最新の共同通信の世論調査(6月14、15日)では、石破内閣の支持率は前回の5月よりも5.3ポイント上がり、37.0%とやや回復したのも、小泉農水相の素早い備蓄米放出の対応のおかげです。同世論調査では、小泉氏が進める備蓄米の放出対応について、大いに納得するが26.3%、ある程度納得するが43.6%と、約7割の方が評価していますから」
6月22日には、小泉氏のもうひとつの地盤である横須賀市で市長選がおこなわれる。タレント・上地雄輔の父で、3選を目指す現職の上地克明市長は、自民党と公明党の推薦で戦う。ほかに無所属で元横須賀市議の新人、小幡沙保里氏と共産党推進の新人、為壮(ためそう)稔氏が立候補している。はたして、小泉氏は牙城を守ることができるだろうか。