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【和歌山カレー事件】林眞須美死刑囚の無実訴える長男が語った父・健治さんの存在「ひとりで続けるのは難しかった」

社会・政治 記事投稿日:2026.04.07 06:00 最終更新日:2026.04.07 06:00

【和歌山カレー事件】林眞須美死刑囚の無実訴える長男が語った父・健治さんの存在「ひとりで続けるのは難しかった」

自宅の跡地に佇む林氏(長男)。2000年に放火のため全焼したが、壁の落書きを消した跡がいまも残る(写真・木村哲夫)

 

 1998年7月、和歌山市内での夏祭りで提供されたカレーに毒物が混入され、4人が死亡、60人以上が中毒症状を起こした「和歌山カレー事件」。犯人であるとして逮捕され、最高裁で死刑が確定した林眞須美死刑囚については、その強烈なキャラクターを記憶している方も多いだろう。

 

 ただし、2025年公開のドキュメンタリー映画『マミー』でも明らかにされているとおり、この事件は冤罪の可能性が非常に高い。にもかかわらず嫌疑がかけられ、長女は自死し、次女と三女は音信不通となるなど、家庭は崩壊した。そんななか、ひとりで尽力しているのが長男である(私は“林くん”と呼んでいるので、以後もそう表記させていただく)。母親の無実を訴えるべく、仕事の合間を利用して、Xでの投稿、トークイベント、講演会などを精力的に展開しているのだ。

 

 話題になったのでご存知の方もいるだろうが、3月16日に大阪弁護士会が女性死刑囚の人権侵害の申し立てについて、大阪拘置所に改善勧告をした。女性死刑囚は2002年から監視カメラつきの部屋に収容されているため、排泄行為や着替えを刑務官に監視されるのは人権侵害だと訴えたのである。

 

 このことについて林くんと話したとき、驚くべき話を聞いた。面会時にかわされたという会話の内容だ。

 

「報道には出ないんですけど、(排泄後に)『今日はぎょうさん出たな』みたいな、嫌がらせみたいな一言があるから嫌だっていうんですよね。着替えするときにも監視カメラで男性職員に見られたり、女性職員から『ちょっと痩せたんじゃない?』とか言われたりするのも嫌だと。あの場で過ごしていないとわからないような“ちょっとした嫌なこと”ですし、“本人いわく”なんですけど」

 

 なお、編集部が法務省に質問状を送ってくれたところ、以下のような返答が届いた。

 

「ご指摘いただいている事案については承知しておらず、見解を述べることは差し控えます」(法務省矯正局)

 

 いかにも判で押したような回答だが、少しでも多くの方に、「もし、自分の家族が同じ目に遭ったとしたら」とイメージしていただきたいと思う。私が林くんに話を聞き続けているのも、そんな思いがあるからだ。

 

 妻の無実を訴え続けている健治さんも、妻がそんな目に遭っていると知ったらどんな気持ちになるだろう。考えるだけで心が痛むが、現在80歳ながら、元気にお過ごしではあるようだ。

 

「元気は元気ですね。いまひとり暮らししてて、2週間に1回か月に1回ぐらいデイサービスを楽しんでいるみたいです。そこで集まる人たちも、事情を知ってくれているみたいで」

 

 となると、事件のことを詮索する人もいそうな気がするが、幸いにもそういうことはないようだ。

 

「居心地よく過ごせてるとは言ってるんで、みんな受け入れてくれていそうですね。なんていうかもう、80代の人たちは(事件のことを)あまり気にしてないというか」

 

 たしかに、そんなものなのかもしれない。

 

 そんな健治さんはいま、車椅子でしか移動できない状態なので、実際に動けるのは林くんだけだ。かなりの負担だろうと思うが、それでも、父親が元気でいてくれることは大きな心の支えになっているようだ。

 

「大きいですよね。あの人がいなかったら、ひとりで続けるのは難しかったかもわかんないです」

 

 かつて両親が、繰り返し保険金詐欺をおこなっていたことは事実だ。カレー事件とは関係のないそのことが、「だから、あいつらは悪人だ」というようなイメージを生み出したりもした。

 

 そのため林くんも悩まされたと話していたが、それでも親は親、家族は家族。かつて拙著『抗う練習』のなかで対談した際の、彼の言葉がずっと心に残っている。

 

「いくら過去に法を犯したからと言って、僕はもう(親のことを)好きになっちゃってるので、嫌いになれって言われてもなれないんですよ」

 

 たしかに、そういうものではないだろうか。これもまた、「自分だったら、どうだろう」と考えていただきたいことのひとつだ。

 

取材/文・印南敦史
いんなみあつし 作家・書評家。林家の長男と数年来の交流を持ち、著書『抗う練習』(2024年、フォレスト出版)では対談もおこなっている

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出典元: SmartFLASH

著者: 『FLASH』編集部

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