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元FBI長官が暴露「トランプの『フェイクニュース』はこうして生まれた」社会・政治 投稿日:2018.08.24 16:00

元FBI長官が暴露「トランプの『フェイクニュース』はこうして生まれた」

ロイター/AFLO

 

 トランプ大統領から解任された元FBI長官ジェームズ・コミーが、回顧録を発売した。全米で100万部を突破した『より高き忠誠』より、トランプ大統領の決め台詞となった「フェイクニュース」発言が生まれた瞬間を紹介しよう。

 

 

 2016年のアメリカ大統領選挙にロシアがおこなった干渉の全貌は、オバマ大統領の指示を受けて、CIA(中央情報局)、NSA(国家安全保障局)、FBI(連邦捜査局)の分析官たちが、国家情報長官室の分析官と連携して、1カ月を費やしてあらゆる情報を調べ上げた。

 

 

 4つの機関がかかわったこのアセスメントは衝撃的であるとともに、単純でもあった。ロシア連邦の大統領、ウラジーミル・プーチンが広範な活動を指示していた、というものだ。

 

 サイバー活動やソーシャルメディア、国営メディアを通じて行われたその活動には、いくつもの目的があった。アメリカの民主主義のプロセスに対する信頼を損なうこと、ヒラリー・クリントンの評判を傷つけること、クリントンの大統領選出を妨害し、選出された場合に彼女の政権を貶めること、さらに、ドナルド・トランプの当選を後押しすることだ。

 

 そのアセスメントのなかには、トランプに関するさまざまな疑惑が書かれた文書が存在した。のちに「スティール文書」と呼ばれるようになるこの文書は、アメリカの同盟国の信頼できる元情報部員がまとめたものだが、内容の真偽は十分に確認されていなかった。

 

 文書には、いくつか常軌を逸した話も記されていた。

 

 そのひとつは、トランプが2013年にモスクワを訪れたとき、売春婦たちと異様な性行為に及んだというものだ。売春婦たちは、オバマ夫妻もかつて泊まったことがある高級ホテル、ザ・リッツ・カールトンのプレジデンシャルスイートのベッドの上で放尿したという。

 

 さらに、こうした性行為を、ロシアの情報当局が脅迫に用いるために盗撮していたという疑惑にも触れていた。われわれはメディアが近くこの文書について報道するとみていて、トランプ次期大統領に警告しておくことが重要であると結論づけた。

 

 私がトランプと対面するのは初めてだった。トランプとの1分かそこらの挨拶が終わったあと、私はこれから話す文書の性質や、彼がこの文書について知っておくのが重要だとわれわれが判断した理由について説明した。

 

 続いて、文書に書かれている疑惑、つまり彼が2013年にモスクワのホテルで売春婦と一緒にいて、その様子がロシア側に撮影されたという疑惑の概要を話しはじめた。

 

 ただし、あるエピソードにだけは触れないでおいた。彼が売春婦たちに、オバマ大統領とファーストレディが使ったベッドを汚すため、その上に排尿させたという話だ。

 

 私が話していると、トランプはいきなり、もういいというような口調でさえぎった。そして、その話は事実ではないとしきりに訴えた。

 

 私は、FBIがこの疑惑を信じていると言っているわけではないと説明した。われわれはただ、こうした疑惑が存在し、流布していることを、あなたが知っておくべきと判断しただけだ、と。

 
 トランプはふたたび疑惑を強く否定し、私が売春婦のサービスを必要とするような男に見えるか、と訊ねた。そんなはずがないだろうと言わんばかりの口ぶりだった。

 

 それからトランプは、女性たちから性的暴行で訴えられている件について話しはじめた。私が持ち出してもいない話題だ。彼は何人かの女性の名前を挙げた。どうやら、それぞれの女性がどんな主張をしているかを憶えているようだった。

 

 彼の自己弁護の口調はどんどん激しくなり、私たちの話は破滅的な結末を迎えそうな雲行きになってきた。私は本能的に「あなたはわれわれの捜査対象ではありません」というセリフを口にしていた。それを聞いて、トランプはようやく静かになった。

 

 トランプとの面会から4日後の1月10日、ニュースサイトのバズフィードが、私がトランプに説明した35ページの文書の全文を掲載した。記事はこう始まっていた。

 

《ドナルド・トランプ次期大統領にロシアが長年接近し、支援を行っていたとするトランプに関する極秘情報を入手した――。真偽は未確認ながら、ここ数週間、そう主張する爆弾文書が議員や情報部員、記者たちのあいだに出回っている》

 

 報道を受けて、次期大統領はこうツイートした。
「フェイクニュース――完全な政治的魔女狩りだ!」

 

 翌1月11日、私は次期大統領とふたたび話をした。オバマとは過去3年に一度も電話で話したことはなく、ふたりだけで会ったのもたった2回だった。それに対してトランプとは、まだオバマ政権が続いているというのに5日で2回もふたりだけの話し合いをすることになった。

 

 私はFBI本部のオフィスの窓際に立ち、電話機を耳に当てていた。次期大統領は、トランプ・タワーで私から説明されたことについて、ずっと考えていると語った。

 

 2013年にミス・ユニバースの大会に出席するためモスクワを訪れた際、同行した人たちにも話を聞いたという。そして、今になって思い出したが、モスクワでは一泊もしなかったと主張した。ニューヨークから現地に着いたあと、ホテルに寄ったが、それは単に着替えをするためで、その晩のうちに帰国の途についたというのだ。

 

 続いて、彼は驚くべきことを言った。私が説明の際にあえて言及しなかった疑惑を、自分から持ち出したのである。

 

「きみにもこれが事実でないとわかる理由がもうひとつある。私は極度の潔癖症なんだ。私が自分の周りにいる者に交互に小便をさせるわけがない。絶対に」

 

 正直に言うと、私はそれを聞いて思わず吹き出しそうになった。私はワシントン記念塔やそのほかの建物を眺めながら、こんな感慨にとらわれていた。FBI長官と次期大統領がこんなことについて話すことになるとは、私とこの国にいったい何が起きてしまったのだろう。

 

 次期大統領は、私がとくに気にしていなかった部分について2度目の反論をしたあと、電話を切った。私は首席補佐官を探しに行った。世の中がおかしくなってしまった、そして私もそれに巻き込まれてしまったらしい、と伝えるために。世の中は、その後もおかしいままだった。

 

 

 以上、『より高き忠誠』(光文社)を元に再構成しました。知られざるトランプ政権の裏話が、今はじめて明らかになります。

 

●『より高き忠誠』詳細はこちら

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