関脇の正代(28)が優勝し、幕を閉じた大相撲九月場所(秋場所)。白鵬、鶴竜という両横綱が不在で、場所前から “本命なき秋” といわれていたとおり、優勝は千秋楽までもつれ込んだ。さぞかし、会場の両国国技館は盛り上がったのだろう……と思いきや、相撲担当記者は意外な言葉を口にする。
【関連記事:記者を恫喝、若手に言いがかり…白鵬 出るわ、出るわの大悪評】
「たしかに、優勝争いのトップに立つ力士が日替わりのような状況だったので、協会としては嬉しい誤算でした。ところがほとんどの日で、観客が上限まで集まらなかったのです。
日本相撲協会は、新型コロナウイルスの感染対策として、秋場所の観客数を各日最大2500人までと定めていました。そのため、少ないチケットをめぐって熾烈な争奪戦が繰り広げられると、場所前には考えられていました。ところが……。
蓋を開けてみれば、通常4名が座るところを1名のみに限定したマス席は空席が目立ち、2階席にいたっては、ほぼ無人のような状態の日もありました。
場所前に玉ノ井部屋で集団感染が起こり、秋場所の中止を訴える親方もいましたが、協会は『問題なし』として、開催強行を発表しました。でも、相撲ファンのほうが『問題あり』として、両国国技館に足を運ぶことをためらったのです。本場所のチケットは、もはや “プラチナ” ではありませんよ」
また、ある親方は、「新型コロナウイルスの影響だけでなく、協会の集客方法にも問題がある」と指摘する。
「実際に国技館でお客様をチェックしてみると、客層が若く、どちらかというと “相撲オタク” のような方が多かったんです。逆に、紆余曲折があった角界を昔から支えてくださった、年配のお客様が少なくなったように見えました。
じつは、秋場所のチケットはインターネット販売のみだったんです。ITにうといご年配の方は、チケットの買い方すら知らないかもしれません。それに加え、外国人観光客を呼べないことも、大きな痛手でした」
両横綱がともに35歳と、今後に多くを望めないいま、人気面での心配は続く。
「大相撲は、人気低迷がこれから続くかもしれません。既存のファンを満足させつつ、新規のファンをいかに増やすのか、真剣に考えなおすべき時期です」(前出の記者)
八百長問題や力士暴行死事件などを通じて、一度落ちた人気を取り戻すのに時間がかかることは、協会側もわかっているはず。日本人横綱の誕生が、特効薬になるのは間違いないが……。