大坂なおみ(23)が絶好調だ。2月8日に始まったテニスの全豪オープン。4度めのグランドスラム制覇に向け、世界ランク3位の大坂は、1回戦で同39位のアナスタシア・パブリュチェンコワ(29)をわずか68分のストレートで退けると、続く2回戦、3回戦、4回戦と順調に勝ち進み、2月16日には準々決勝にストレートで勝ち、4強入りを果たした。準決勝は、2月18日だ。
大坂は前哨戦の大会・ギプスランド・トロフィーで、肩の違和感から準決勝を棄権して、周囲を慌てさせたのだが……。
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「この快進撃を目にすれば、前哨戦の棄権は、全豪に照準を合わせてのことだったのだと納得できます」と語るのは、「テニスジャーナル」元編集長の井山夏生氏(60)だ。
「全豪OPの戦いぶりを見ると、肩の不安を感じさせないどころか、大坂なおみのテニス人生のなかで、もっともいいテニスを見せているのではないでしょうか。1回戦のパブリュチェンコワは簡単な相手ではなかったですが、終始、圧倒していましたからね」
今大会で大坂は、ほかにもいい意味で周囲の予想を裏切ったことがある。「脂肪もいとわない、攻めの “体重アップ” ですよ」と語るのは、スポーツ紙記者だ。
「大坂は、エキシビションマッチでセパレートタイプのウエアを着ていました。そこで注目を集めたのが、大坂の『おなか』です。柔らかな脂肪に包まれたおなかが、ぶるんぶるんと揺れていたんです。
2019年に大坂が全豪OPを制し、世界ランク1位になった際は、彼女はハードなトレーニングで体を相当絞っていました。そのため今回は、調整不足なのではないかと心配されていたのです。しかし、ふたを開ければ時速195kmの豪快サーブがこの体のおかげで繰り出されています。むしろ、この “肉” 体改造は大成功でした」
前出の井山氏も、大坂のボディを絶賛する。
「たしかに、二の腕も太くなっているし、全体的に体が大きくなった印象はありますね。でも、それがオーバーウエイトだとは思いません。その証拠に、フットワークが素晴らしく、届かないと思ったボールにも鋭く反応しています」
大坂のフットワークの進歩には、2020年6月に専属トレーナーに就任した中村豊氏(48)の存在が大きいという。同氏は、かつての世界ランク1位、マリア・シャラポワ氏(33)のトレーナーを務めたことでも知られている。
「彼が担当するようになって体は大きくなったのですが、それと同時に体が柔らかくもなっています。踏ん張るときに股を大きく広げられるようになり、以前は無理だったボールにも追いつくことができるようになったんです」
もうひとつ、井山氏が今大会の大坂の特徴として挙げるのが「踏み込みの強さ」だ。
「全豪のようなハードコートでは、踏み込んだときに足元が『キュッ、キュッ』と鳴ることがありますが、これは強く踏み込まないと鳴らない音です。
今大会で、大坂の足元からこの音がよく出るんです。それだけ強く踏み込めているということです。逆に、怪我とコロナから復活した錦織圭(31・全豪1回戦負け)は、この音が少なかったです」
大坂には、世界の女子テニス界で頭ひとつ抜け出す実力があると、井山氏は断言する。
「大坂は、体が大きくなったことで、パワーもさらにつきました。サーブ、フォアハンド、バックのすべてで力強さが増しています。このままいけば、1990年代前半にグランドスラム9勝を果たしたモニカ・セレシュ氏(47)の領域にいけるかもしれません」
“腹ぽちゃスマッシュ” で、天下をとれ!
写真・AFP/アフロ
(週刊FLASH 2021年3月1日号)