東京五輪で、また新たな金字塔が打ち立てられた。8月2日、体操女子個人種目の床運動で、日本のエース・村上茉愛(24)が14.166で銅メダルを獲得した。
五輪の体操で日本女子がメダルを獲得したのは、1964年に開催された東京大会の団体総合の銅メダル以来、じつに57年ぶり。個人種目でのメダル獲得は、日本人初となった。
【関連記事:体操で銀「村上茉愛」小学生で最高難度技「シリバス」成功】
村上はこれまでも、2017年の世界選手権の種目別床運動で、日本女子63年ぶりとなる金メダルを獲得。2018年の世界選手権の個人総合では、日本女子初の銀メダルを獲得するなど、重く閉ざされてきた日本女子体操会の扉をひとつずつこじ開けてきた。
東京五輪の個人総合でも、日本人最高位となる5位に入賞。“本業” でもある床運動の決勝に向けて「メダルを獲りにいけると思えるほど自信がある」と話していた。見事な演技を披露し、その言葉どおり、銅メダルを獲得した。
今大会はエースとして、キャプテンとしてチームを引っ張ってきた村上だが、“大のスイーツ好き” という、かわいらしい一面もある。体操関係者は、こんなエピソードを教えてくれた。
「高校生のころ、太りやすい彼女は体重制限が課せられていたのに、隠れて大好きなケーキを食べていた。
体重が増えてしまい、コーチが激怒。そのあとは練習をさせてもらえず、階段の上り下りダッシュを泣きながらやっていたこともある。
それぐらい甘いものには目がなくて、スイーツ好き。でも、そんなことがあっても笑い飛ばせるのが、彼女のいいところ」
スイーツだけではなく、食べること、笑わせることが大好きな女の子でもある。10年近く一緒に練習をしてきた同級生が、彼女の素顔を明かす。
「茉愛は食べるのが大好きで、以前はパテやバウンズにこだわった本格的なハンバーガーにハマっていました。体重管理があるので、体重を気にしながらも美味しそうに食べていましたね。
性格はとにかく明るくて素直。学校でも人気者で、休み時間になると、自然とまわりに人が集まってくるんですが、茉愛はよく “変顔” をしてみんなを笑わせていました」
7月29日、団体決勝で5位に終わったあと、SNSで自身への誹謗中傷があったことを告白し、涙を流した。だが、この日は、村上のトレードマークでもあるはちきれんばかりの笑顔で表彰台に上がり満足そうにこう話した。。
「これ以上ないぐらいの出来で3番だったので、自分では受け止めて満足したいです」
「競技人生の集大成」として臨んだ東京五輪だったが、メダル獲得から一夜明けた会見で今後について問われると「まだまだ、頑張りたいと思う」と、現役続行を宣言。10月に開催される世界選手権を目標に掲げた。
持病の腰痛に何度も苦しみながらも、銅メダルを獲得した村上。明るい笑顔と “ゴムまり娘” と呼ばれるパワーとスピードで、日本の女子体操界を牽引していく。