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若い選手に頭を下げ…フットサル転向の松井大輔が狙う “逆・二刀流”!「カズさんも『またサッカーに戻って来ればいい』と」

スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2021.10.16 06:00 最終更新日:2021.10.16 06:00

若い選手に頭を下げ…フットサル転向の松井大輔が狙う “逆・二刀流”!「カズさんも『またサッカーに戻って来ればいい』と」

 

「オファーをもらったときに、まずおもしろそうだなと。もちろん、引退することも頭をよぎりました。ただ、40歳という節目の年に何か新しいことをやってみたいという思いが強くて、フットサルへ挑戦しようと決めました。今はワクワク感しかないし、人生何が起こるかわからないと痛感しています(笑)」

 

 

 サッカーからフットサルへの競技転向。9月、ベトナムのサッカー1部リーグ・サイゴンFCから、日本のフットサル・FリーグのY.S.C.C.横浜へ “移籍” した元サッカー日本代表MF松井大輔(40)は、その理由を明かす。

 

 16強入りした2010年南アフリカW杯で主力として活躍した松井は、これまでフランスを中心に海外5カ国で計13チームを渡り歩いてきた。そんな男も、さすがに40歳での新天地がフットサルチームになるとは予想していなかったが、今は新鮮な気持ちですべてを楽しんでいるという。

 

「仕事を抱えている選手もいるので、練習は朝6時から8時まで。毎日4時半に起きて、『めざましテレビ』が始まるころには家を出ています。

 

 練習後は時間があるので、テレビ解説だったり、サッカースクールの指導など “副業” もできるかなって。

 

 若い選手が多くて、なかには父親が僕と同い年の選手もいると聞き、合流したころは僕一人ポツンと場違いな感じもありました。でも今は、みんなフレンドリーに接してくれています」

 

 サッカーとフットサルは、コートの大小やプレーする人数、オフサイドの有無などの違いはあれ、足でボールを扱いゴールを奪い合うという点では似た競技といえる。だが、実際は「似て非なるもの」だと松井は強調する。

 

「足でボールを扱いますが、同じなのはそこだけ。フットサルはセットプレーが多く、サインを覚えるのがまず大変。

 

 それに基本、フィールドの4人(GKを除く)が1セットになってプレーするので、すでに出来上がっているセットに入らないといけない難しさがあります。

 

 狭いコートで仲間がこう動いたら自分はこう動くなど、阿吽の呼吸が求められます。サッカーならポジションによっては多少のミスは許されますが、フットサルではミスがすぐに失点に繋がってしまう。

 

 今は正直、僕が足手まといになっている感もあるし、練習では毎回若手を質問攻めにするなど基本から教えてもらっています(苦笑)」

 

 昨年12月から今夏までプレーしていたベトナムでは、6月以降ロックダウン(都市封鎖)の影響で、リーグ再開の目途が立たなかったことも帰国を後押しした。

 

 松井も約3カ月間はベトナムで隔離生活を強いられ、その間はほとんど体を動かすことができず、食事も軍の人が運んできたものを食べる生活だったそうだ。

 

「ロックダウン中は家から一歩も出られず、ボールにふれることもできませんでした。今は体力を戻したくて、フットサルの練習の後、サッカーの練習にも参加させてもらってます。さすがに両方フルに出ると疲労感がハンパない(笑)。でも、少しずつ体力は戻ってきている気がします」

 

 フットサルへの転向については、京都パープルサンガや横浜FCでチームメイトだった先輩のカズ(三浦知良)にも相談。カズは2012年に、横浜FCの選手でありながらFリーグのエスポラーダ北海道の選手としても試合に出場し、フットサル日本代表としてW杯に出場した経験もある。

 

「カズさんはいつもポジティブで『フットサルもいいんじゃない』って。Jリーグ創設時からのスーパースターなのに、実際に会うと気さくで兄貴的な存在。誰よりも練習していましたし、自分もカズさんを見てここまで現役を続けてきた部分があるかもしれません。

 

 それに、カズさんは『またサッカーに戻りたくなったら戻ってくればいい』と言ってくれました。今はサッカーの練習にも参加しているので、来年はフットサルからサッカーに出張する “逆・二刀流” もありかもですね(笑)」

 

 先輩カズは54歳で、今なお現役選手としてプレーする。

 

「そこまでは絶対に無理。でも、前にカズさんから『いつか地域リーグのチームをJリーグに昇格させるのもおもしろそう。大輔、そのときは集合ね』なんて言われたこともあったし、次は(より選手寿命の長い)ビーチサッカーをやるかもしれない(笑)」

 

 サッカー日本代表は、W杯アジア最終予選の真っただ中。9月のオマーンとの初戦に続き、第3戦のサウジアラビア戦も敗れる苦しいスタートとなった。

 

「最終予選に簡単な試合は1つもないですが、かなりヤバい状況です。巻き返すには点を取って勝つことだけを考えるしかない。そのためのカギは、3人の攻撃的MFをどう起用するか。緊迫した展開では、ラッキーボーイの存在も必要で、実績より調子のよさで選ぶのもひとつの手」

 

 予選突破に向けたキーマンを挙げると、誰になるか。

 

「攻撃がFWの大迫(勇也)くん頼みでは行き詰まってしまう。森保ジャパンでは南野(拓実)くんも得点源だし、チームを引っ張るくらいの気持ちでやってほしい」

 

 来年1月まで続くFリーグだが、Y.S.C.C.は現在12チーム中4位と好位置をキープしている。サッカー界きってのテクニシャンとしても知られた松井がどんなプレーを見せてくれるか楽しみだ。

 

「チームが優勝することがいちばんですが、とにかく楽しみたい気持ちが強い。もちろん選手である以上、実力の世界ですし、まわりの選手に負けないようにしないといけないとも思っています。

 

 やってみると、フットサルは意外とフィジカル要素も強くて激しい。練習試合でも白熱して、一気にアドレナリンが出ましたから。サッカーとはまた違った興奮やおもしろさがあるので、僕自身試合を楽しみにしています」

 

写真・ヤナガワゴーッ! 取材&文・栗原正夫
※チーム成績は10月8日時点

 

(週刊FLASH 2021年10月26日号)

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