打っては、46本塁打、100打点。投げては9勝2敗、156奪三振――。前人未到の記録を打ち立てた大谷翔平の勢いには、日本国民が湧いた。
マスコミも総動員で大谷の活躍を報道した2021年。本誌は、新聞社、通信社らに「我が社が選ぶ大谷のベストショット」を聞いた。
【関連記事:大谷翔平、打率がたったの1割9分でも来季年俸が10倍になるカラクリ】
朝日新聞の加藤諒カメラマンは10月2日のマリナーズ戦(スコアは4-6)を振り返りこう語る。
「試合前のベンチ内で大谷選手が見せた仕草をとらえました。シーズン終盤では警戒され、申告敬遠などで打撃のチャンスが減った。本塁打王争いを意識していると本人は話していたので、フラストレーションも溜まっていたでしょう。
そんななか、ベンチではどんな表情をするのかと観察していて起こった出来事でした。バットの匂いを嗅いでいるようにも見えます。首をかしげているような様子が印象的でした。大谷選手は道具をとても大事にしています。たとえば申告敬遠で声を荒らげたりすることもなく、そっとバットを置く。
試合後、道具をベンチに置きっぱなしにする選手も多いのですが、大谷選手は毎回自分でベンチの裏から持ってきて、使い終わるときちんと持って戻る。道具愛が伝わってきます。この写真のシーンでは、バットを信じて『頼むよ』と思いをこめているように見えました。そして翌日、最終戦の第1打席で46号本塁打を放ったんです。思いが通じた瞬間だったのかなと感じました」