大相撲春場所の千秋楽。左上腕筋損傷を負った新横綱・稀勢の里が大逆転で賜杯を手にした。日本中から注目を集める大力士だが、自分から素顔を見せようとはしない。
「先代師匠(元横綱・隆の里)の方針もあり、テレビのバラエティ番組には出ないんです。だから、カメラの前で笑顔を見せることもほとんどない」(大相撲レポーター・横野レイコさん)
先代は徹底した管理と「角界一厳しい」といわれた稽古で知られていた。
「稀勢の里自身にも力士の“強いイメージ”にこだわりがあるんです。でも、素顔は違います。以前から、一緒に食事に行ったりしていたんですけど、すごく笑うし、よくしゃべる。ただ、部屋に取材に行ったときは先代の前で、絶対にそんな素振りはできません。怒られるのはわかっていましたからね」(横野さん)
相撲好きのタレント山根千佳さんは、「いちばんインタビューしにくい力士」だと言う。
「断トツでやりにくいです。何を聞いても『はい』『そうですね』(笑)。でも、カメラが回ってないところだと冗談も言う。歌も上手で、髙安関とEXILEを歌っていました」
横野さんいわく、「カラオケの十八番はBEGINの『島人ぬ宝』」という。
趣味はスポーツ観戦。とくにアメフトを好み、テレビでプロ顔負けの解説を披露したこともある。その縁で、アメフトの名門・関西学院大の鳥内秀晃監督と親交が深く、稀勢の里自身が「大阪の師匠」と慕う。
「うちの練習場に来てキャッチボールしたこともあるけど、『師匠』は社交辞令やねん(笑)。ふだんはアメフトの話ばっかりで、相撲の話はあまりしないよ。
でも、『いつも大一番で負けるのは考えすぎちゃうか。土俵に上がったら考えんとやったほうが得ちゃうか』と言ったことがある。そしたら『そうなんですが、仕切りのときに考えちゃうんです』言ゆうてたな」
■横綱として長く相撲を
横綱となった今、自身に期するものはあるのだろうか。
「横綱は弱くなったら引退や。本人はそれを気にしてた。早く引退したくない、長く相撲が取りたいと。でも怪我もないし、大丈夫やろ」(鳥内監督)
「鞄の中はサプリメントでいっぱい。健康管理はばっちりです。30歳の横綱ですが、これからが『稀勢の里時代』だと思います」(横野さん)
昇進後に取材で話した山根さんは、ある変化を感じ取ったという。
「これまで以上に『品格』を意識して、言葉を選びながら話していると感じました」
綱取りの次は「嫁取り」も気になる。
「現役の間は結婚しないと公言してますからね。でも横綱って大変だから、やっぱり支えてくれる奥さんはいたほうがいいと思いますよ」(横野さん)
大横綱になってほしい、と期待する声は多い。相撲解説者・舞の海秀平氏は「自分の型が大事」だと話す。
「4横綱のなかではもっとも安定している。ただ注文をつけたいのは、自分の型に相手をハメてほしいということ。強い力士は相手に合わせない。どんな相手でも得意な右四つにする。そうなれば大横綱への道が見えてきます」
(週刊FLASH 2017年3月28日、4月4日号)