スポーツ
サウジ、アルゼンチン撃破の秘密は「ほぼアル・ヒラル」の国内編成、1カ月前からリーグ中断で準備万端
スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2022.11.23 19:40 最終更新日:2022.11.23 19:40
11月22日におこなわれた「FIFAワールドカップ カタール2022」のグループリーグC組の第1節では、大方の予想を覆して、サウジアラビアが2対1で優勝候補のアルゼンチンを下した。
FWのリオネル・メッシを擁するアルゼンチンは、国際Aマッチ36戦無敗でカタールに乗り込んだが、まさかの大金星の献上となってしまった。
この試合で、ひとつ話題になったのが、大番狂わせを演じたサウジアラビアのスターティングメンバーだ。じつに11人中9人が「アル・ヒラル」所属選手なのである。
【関連記事:カタールW杯で頻発する「地獄のアディショナルタイム」怪我で交代続出に「見ててつらい」の声】
それに気づいたインターネット上のサッカーファンからは、こんな声が。
《やるな~サウジアラビア!これがW杯の醍醐味。それにしてもサウジアラビア代表のメンバーがほぼアルヒラルな件》
《アルゼンチンを倒したサウジアラビアの選手がほぼアルヒラルでやばい》
《サウジ代表ほぼアルヒラルなので知った顔がいたな》
アル・ヒラルは、同国リーグ優勝18回、AFCチャンピオンズリーグ優勝4回を誇る、サウジアラビアきっての名門だ。近年もAFCチャンピオンズリーグの決勝で、J1リーグの浦和レッズと対戦している。
中東のサッカーに詳しいサッカーライターが解説する。
「1970年代の代表チームは、ひとつのクラブを中心にチームを作り上げてきました。オランダ代表はアヤックスのメンバーが中心だったし、旧西ドイツもバイエルン・ミュンヘンが中心でした。
でも、海外移籍が当たり前となったいま、ひとつのチームを中心に代表チームを作り上げることは難しくなっています。それだけに、サウジアラビアの代表チーム編成は特殊といえるでしょう。
それができるのは、サウジアラビアの国内事情が関係しています。ご存知のとおり、サウジアラビアは石油を中心とした天然資源が豊富で、経済的にも豊かな国として知られています。サウジアラビアのクラブも資金が潤沢で、選手の給料も高い。
サッカー選手は、より高給を求めて欧州などに移籍するわけですが、サウジアラビアの場合は国内にとどまっても高給が得られる。無理して海外に出て行く必要がありません。だからこそ、26選手すべてが国内リーグの所属なんです。
対して、日本代表で同一クラブに所属している選手は、川崎フロンターレの山根視来と谷口彰悟、独シュツットガルトの遠藤航と伊藤洋輝の2人ずつだけです」
では、ひとつのクラブを中心にチーム作りできる利点はなんなのか。
「代表チームの監督のほとんどは『代表チームは選手の強化の場ではない。強化はクラブに帰ってやるべきこと。代表は強化した選手の集合体で、連携を高めていく場』と話します。
となれば、サウジアラビアは強化と連携をアル・ヒラルでできてしまうわけです。さらに国内リーグはW杯開幕から1カ月も前の10月17日から中断しており、早い時期から準備を整えられる状況でした。今回の大番狂わせの裏には、こうした事情も隠されていたわけです」
これから強豪国に挑む日本代表も、学ぶべきところが多いかも。
写真・JMPA
( SmartFLASH )