スポーツ
中日ロドリゲス、MLBとの契約目指して亡命報道…過去にもあったキューバ出身選手の無断失踪
スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2023.03.29 19:30 最終更新日:2023.03.30 16:29
先のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)にキューバ代表として参加していた中日ドラゴンズのジャリエル・ロドリゲス投手(26)が、MLBとの契約を目指して亡命した模様――。そんなニュースが飛び込んできたのは、28日深夜のこと。
全米野球記者協会に所属しているフランシス・ロメロ記者が自身のTwitterで「情報源によると、ロドリゲスは数時間前にドミニカ共和国に到着した」とツイートしたことで発覚した。このことが報じられると、ネット上には、
《今回WBC出れたのも中日での活躍あってこそでしょ義理が通ってないにも程がある》
《キューバ野球選手ってメジャー行きたくても亡命しなくちゃメジャー一生行けないからなあ、恐れてたけど千載一遇くらいのチャンスやったんやろ》
などの声があふれた。
【関連記事:打者1位は阪神のバース…データで判明「今なら年俸7億超え」レジェンド外国人選手は?】
翌29日。本来であれば、この日に成田空港を経由し、12時前の便で中部国際空港に到着する予定だったロドリゲスの姿は、そこになかった。
中日ドラゴンズの加藤宏幸球団代表は、報道陣に「予定の便で来日しなかったということです。本人とはいっさい連絡が取れない状況です。現在、本人とキューバ野球連盟に連絡を取っていますが、正確な情報は何もない」と明かした。
ロドリゲスは昨季56試合に登板し、6勝2敗、防御率1.15。39ホールドをあげ、最優秀中継ぎのタイトルに輝いた。
オフにはドラゴンズと新たに2年契約を結んでおり、不動のセットアッパーとしての活躍が期待されていた。球団とロドリゲスは、来日予定を決めるため、1週間ほど前に連絡を取ったのが最後だという。
前述のフランシス・ロメロ記者によれば、「MLBスカウトによると、5年5000万ドル(約66億円)前後の契約となる可能性があり、先発3~5番手のローテーション投手としての期待がある」とのことだが、キューバメディア「JIT」は、29日、キューバ野球連盟がロドリゲスに違約金1000万ドル(約13億円)を請求すると報じた。その理由は、「ジャリエルが日本のようなハイレベルなリーグで成長し、キューバ代表を支えるためにおこなった努力と反する」とのことだ。
NPBに所属するキューバ出身の選手が、来日せず亡命したケースは、過去にもある。
2014年、横浜DeNAに入団したユリ・グリエル内野手は、翌シーズンも契約していたが、来日を拒否したことで契約解除となり、2016年2月にドミニカ共和国からハイチに亡命し、7月にMLBに入団した。
2017年、ソフトバンクに派遣されたオスカー・コラスは、三軍からスタート。2018、19年と三軍、二軍で実績を積み上げ、2019年8月に1軍初昇格。プロ初打席でホームランを放ったが、2020年1月にMLB入りを目指して亡命している。
NPB球団の契約下にある選手が、亡命のために無断で失踪した事例はこのケースが初めてとされており、NPBは2020年2月19日付けでコラスを「制限選手」として公示。ソフトバンクは同年12月2日にコラスを保留選手から外し、自由契約としている。
こうした経緯もあり、コラスがMLBのシカゴ・ホワイトソックスとマイナー契約を結んだのは、2022年1月26日と1年以上後のことになった。
社会主義国のキューバでは、プロ野球選手も国家公務員で、より多くの報酬を求めて大リーグでプレーするため、亡命する選手は昔からあとを絶たない。
現在、中日で活躍するダヤン・ビシエドにしても、2008年5月、いかだに乗ってキューバから亡命し、アメリカ合衆国のフロリダ半島に上陸した後、ドミニカ共和国で居住権を獲得。その後、MLBでの活躍を経て、現在に至っている。キューバの選手がメジャーでプレーするには、現在でも亡命するしかないのだ。
しかし、ロドリゲスは今季も中日と契約中の選手である。今回のようなことがまかり通ってしまえば、結局、ゴネたものが得をすることになりかねない。中日の対応と、ロドリゲスの今後に注目だ。
( SmartFLASH )