4月4日、楽天モバイルパーク宮城でおこなわれた楽天戦で、2023年シーズン初先発を果たした西武ライオンズの今井達也投手(24)。7回3安打無失点の好投で、今季初勝利を挙げた今井だが、久しぶりに彼の姿を見た人は驚いたに違いない。帽子からはメジャーリーガーばりに髪がはみ出し、力を込めた投球で帽子が脱げた際には、茶髪のロン毛が露わになったからだ。
ロン毛の男性を街中で見かけることがなくなった昨今、時代に逆光するかのように長髪をなびかせてプレーする今井の姿は、ある意味で斬新だが、今井にさかのぼること2年前から髪を伸ばしているのが、同じく西武ライオンズのエース、高橋光成(こうな)投手(26)だ。
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「負けるまで髪を切らない」と宣言して2021年のシーズンに臨んだ高橋は、その後も順調に髪を伸ばし続け、いまではついに肩まで届くロン毛となっている。練習中の高橋は、髪の毛を後ろで縛ってキャップの隙間から出すスタイルにしているほどで、自身も「過去最高の長さ」であることを明かしている。
もともと、髪が肩につくまでを目標にしていたという高橋は、肩についてしまった現在の自分の髪型について「迷走中」としながらも、今季は今井と「チームロン毛」としてがんばっていくと宣言。「メンバー募集中」とも話している。
くしくも、ともに夏の甲子園の優勝投手にして、西武のドラ1コンビ(高橋は2014年ドラフト1位、今井は2016年ドラフト1位)が結成した「チームロン毛」について、ネット上での反応は
《最初見た時はうわってなったけど見慣れると割と似合って見える。ロン毛は割とすきw》
《まるでたてがみの様 まさにライオンズ》
といった、肯定的な意見があがる一方で、
《これに関しては無言。。。わたしの思ってるロン毛はちがう笑》
など、複雑な感想も聞こえてくる。
パ・リーグでロン毛の投手といえば、もうひとりいる。レッドソックスから今季、3年ぶりに千葉ロッテに復帰した澤村拓一投手(35)は、2月のロッテの春季キャンプに、肩までかかるストレートなロン毛で登場。NPB復帰後初登板となった4月4日の日ハム戦でマウンドに上がった澤村の帽子からは髪がはみ出しておらず、一瞬「澤村、ついに髪切った?」と思わせたものの、その長髪は、後ろできれいに結ばれていた。
「チームロン毛」の2人や澤村ほどではないものの、先のWBCでも活躍した日ハムの伊藤大海(ひろみ)投手(25)も、帽子から髪がはみ出るほどの長髪だ。日本のプロ野球界は、サッカーなどに比べると、帽子をかぶるうえに個性的な髪型の選手が少ないこともあってか、伊藤は過去に自身の長髪について「それがひとつ、野球に興味を持つきっかけでもいいなと思う」と語っている。
ところで、プロ野球の歴史における日本人選手の「ロン毛」と聞いて、40~50代のプロ野球ファンが真っ先に思い浮かべるのは、なんといっても1989年までロッテ・オリオンズ(のちに広島~ダイエー)に在籍した、水上善雄氏だろう。まだロン毛のプロ野球選手など誰もいなかった1988年、散髪できないままキャンプインしたことで髪が伸び始めた水上氏は、打撃で好調が続いていたこともあって、ゲンを担いで長髪を継続。球団からは「見苦しいから切ってこい」と言われるも、それに反発し、ロッテを退団する1989年まで、長髪を貫いてプレーを続けた。
水上氏の場合、高橋や澤村のように髪全体を伸ばしたロン毛というより、襟足の長いウルフカットのような長髪。しかも野手だっただけに、帽子やヘルメットから後ろ髪をなびかせてプレーする水上の姿は、とくに子供たちにはかなり異様に映ったようだ。水上氏自身は、後に「いま思えば薄っぺらな反骨心でした」と振り返っているが、あの時代にロン毛を貫き通した意思の強さは、ある意味、賞賛に値する。
こうして振り返ってみると、なぜかパ・リーグに多いロン毛選手。今後、セ・リーグでもロン毛の選手が出てくることも期待したい。
( SmartFLASH )