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大谷翔平、本塁打量産の秘密はバット“魔改造”日本代理店代表が明かす「グリップを細く」「ノブを小さく」

スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2023.08.01 06:00 最終更新日:2023.08.01 06:00

大谷翔平、本塁打量産の秘密はバット“魔改造”日本代理店代表が明かす「グリップを細く」「ノブを小さく」

ベンチでバットの匂いをかぐ大谷。バットは88cm、907g。昨季より2.5cm長くしている(7月1日撮影、写真・スポニチ/アフロ)

 

 大谷翔平の打棒が爆発している。後半戦も勢いは止まらず、リーグ2位に10本差の39本塁打。それを支えているのが、今季から使用している米チャンドラー社(以下、C社)製のバットだ。

 

 大谷はシーズン開幕前に、現地メディアにC社のバットについてこう答えている。

 

 

「硬めの感じかなとは思います。形状も多少は変わってはいるんですけどね。口では説明しづらいですけど。そこらへんの微妙な違いはあります」

 

“説明しづらい”微妙な変化を、C社の正規代理店「エスアールエス」代表の宇野誠一氏が代弁する。

 

「C社のバットは、これまで大谷選手が使用していたアオダモやイエローバーチ(白樺の一種)よりもさらに硬い、メープル(カエデ)材を使っています」

 

 メープルは、2000年代にホームランを量産したバリー・ボンズ(元ジャイアンツなど)が使用し、いまやもっとも人気の高いバット素材だ。

 

「硬くて木目が細かく、弾きが強いのに折れにくいのが特徴です。ただ、打ち損じると手がとてもしびれます。大谷選手もときどき、ファウルを打った後に手をブラブラさせていますよね」(同前)

 

 C社は「折れないバット」の開発を目指し、2009年に創業。2019年に経営危機に陥ったが、同社のバットの愛用者であるヨエニス・セスペデス(元メッツなど、WBCキューバ代表)が経営権を買い取ったという経緯がある。

 

「メジャーでは、バットはほかの用具と違って、契約のしばりを受けないことが多いのです。選手たちはさまざまなメーカーのバットを取り寄せ、打撃不振に陥ると、別のバットに変えてみることも珍しくありません」(同前)

 

 大谷は2022年シーズン開幕前、バットの好みや要望について、こう語ったと報じられている。

 

「飛距離には困っていない。ボールにコンタクトする確率を上げたい。自分は純粋なパワーで勝負するタイプではないので、バーチのようなちょっとテクニカルなタイプのバットのほうが合う」

 

 自信満々に語っていた大谷だが、この年、C社のバットを使用し、ア・リーグ新記録の62号を放ったアーロン・ジャッジ(ヤンキース)との本塁打王争いに敗れた。

 

「大谷選手は、ジャッジや彼が使うC社のバットのことを相当、意識したはずです」(宇野氏)

 

 大谷がC社のバットを使うことを宇野氏が知らされたのは、突然のことだった。

 

「2月中旬、C社の担当者とやり取りしているとき、『Shohei Ohtaniとサインしたよ』と、不意に言われたんです」

 

 大谷のバットは、ジャッジモデルをベースにしたものだ。

 

「グリップをやや細く、ノブ(グリップエンドの端)を小さくしてほしい」

 

 という大谷からの要望を受けて、ジャッジモデルを“魔改造”したという大谷モデルだが、本人は満足することはないようだ。

 

「大谷選手の21号から30号までの本塁打は、つや消しのジャッジモデルを使っていました。キャンプ中に数タイプを試したと思われますが、シーズン中も、確認できる限り2タイプのバットを使いわけているようです」(宇野氏)

 

 今季、C社のバットはNPBでも使えることになった。

 

「契約上、選手の名前は明かせませんが、スター選手から続々と注文が入っています」

 

 トレード期限を迎え、エンゼルス残留が報じられた大谷。本塁打記録だけでなく、バットの歴史まで塗り替えそうだ。

 

取材&文・鈴木隆祐 ※成績は7月31日現在、日時は日本時間

( 週刊FLASH 2023年8月15日号 )

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