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サッカーイラン代表「12日戦争」で北中米W杯出場に暗雲…史上初の「3カ国共催大会」中止の可能性も

2025年6月5日、2026 FIFA W杯アジア最終予選にのぞむイラン代表(写真・ロイター/アフロ)
「(両国が)『12日戦争』を終わらせるための持久力と勇気、知性を示したことを祝福する」
2025年6月24日、トランプ米大統領は、自身のSNSサイト「トゥルース・ソーシャル」に、イスラエルとイラン、そしてアメリカを巻き込んだ戦争の「終結」について投稿した。
イスラエルとイランが現在おこなっている軍事行動が完了するまで一定の時間を与え、それが完了した時点で段階的に停戦が始まるとのことだった。SNSへの投稿のため表情はわからないが、得意満面だったことは間違いない。
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両国の戦争の影響は多方面に及んでいるが、FIFA(国際サッカー連盟)もそのうちの1つだろう。
「イランは3月25日、2026年北中米W杯アジア最終予選のグループAでウズベキスタンと2-2で引き分け、本大会の出場権を獲得しました。
開催国の1つであるアメリカは、イラン国民の入国を禁止していましたが、W杯に出場する選手やスタッフ、関係者の家族に関しては免除されるため、本来であれば出場に問題はないはずでした。
ところが、政治情勢の激化で、状況が変わる可能性が出てきた。それだけに『12日戦争』の終結にFIFAは喜んだと言われています」(サッカーライター)
実は、終結宣言の直前、イランが隣国にある米軍基地の攻撃を宣言したことで、話はよりややこしくなったという。
「6月23日、イランはカタールにある米軍のアルウデイド空軍基地を攻撃しました。このときは事前にイランがアメリカに攻撃を予告していて、いわば “出来レース” だったこともあり、死傷者は出ませんでした。
ところが、停戦から数時間後、イランのミサイル攻撃が再び始まったと報じられたことで、予断を許さない状態が続いているんです。イランは攻撃を否定しており、事態の詳細はよくわかりません。 しかし、仮に今後、事態が悪化した場合、イランはヨルダンなどにある別の米軍基地を攻撃すると予想されます。
ヨルダンは初のW杯予選突破を決めたばかり。カタールにしても、10月8~14日から始まるアジアのプレーオフ進出を決めており、開催地の1つとなるわけです。
もし戦争が再び始まって混乱が長引くようなことになれば、史上初となるメキシコ、カナダ、アメリカの3カ国による共催大会が、中止に追い込まれる可能性もあるんです」(同)
うまく開催できたとしても、組み合わせ抽選会でアメリカのグループDにイランが入ってしまったらどうなるかなど、心配事は多い。無事に開催できるといいのだが──。