
ベルギー・KRCヘンク所属でサッカー日本代表の伊東純也選手(写真・共同通信)
「仮に冗談だとしても許される内容ではありません。依頼人を利用して“関係”を持ちかけるなど言語道断です」
怒りを隠さずこう語るのは、弁護士の加藤博太郎氏(加藤・轟木法律事務所)だ。ベルギー・KRCヘンク所属でサッカー日本代表の伊東純也選手をめぐり、2024年に「週刊新潮」が報じた“性加害事件”。この一連の問題で、同選手の代理人を務める人物だ。
加藤氏が問題視するのは、本誌が入手したある“LINEのやり取り”である。都内在住の女性A子さんに送られたそのメッセージは、にわかには信じがたい内容だった。
《頼むから伊東純也と関係持ってくれ》
送信者は弁護士の高橋裕樹氏。A子さんは、このLINEが送信された2025年9月当時、高橋氏と委任契約を結んでいた“依頼人”である。上記のメッセージは、高橋氏から送られたこんなLINEが端を発している。
《サッカー選手ないの?》
このメッセージに、《会ったことない》《(別の有名スポーツ選手の名前を出して)カラオケ行ったことはあるけど》と返す。これに対し、高橋氏が、問題の“依頼文”を送っているのだ。
さらに高橋氏は、こう切実に感情を吐露している。
《裁判で勝つだけじゃなく周辺でも勝ちたい》
《俺のためなんだ許してくれ》
高橋氏の言う“俺のため”というのは、彼が受任している別の案件を鑑みれば納得がいくものかもしれない。高橋氏は、伊東選手をめぐる“性加害事件”で被害を訴えている女性2人の代理人なのだ。つまり、加藤氏とは裁判で対立する立場となる。
「伊東選手は、2024年1月に準強制性交罪で刑事告訴されました。女性2人が、2023年6月に大阪で性的行為を強要されたと主張していましたが、伊東選手サイドは事実無根と反論。伊東選手側も『虚偽告訴』として刑事訴訟を起こして互いに訴えている状況でしたが、結局どちらも不起訴。お互い検察審査会にも持ち込みましたが、やはり2025年1月に不起訴相当となっています。
しかし民事訴訟は現在も続いており、損害賠償請求をめぐって双方が訴えている状態です。伊東選手は、事実無根の刑事告訴で名誉を傷つけられたと主張しています」(社会部記者)
つまり、高橋氏がA子さんに送ったメッセージは、現在も続く民事訴訟を有利に運ぶために、そして《周辺でも》勝つために依頼した内容と読める。これについて加藤氏は、冒頭のように断じるのだ。
2008年に弁護士登録した高橋氏は、刑事裁判で「4連続無罪」を勝ち取ったことで一気に注目を集めた。“令和の無罪請負人”と称されることもあるが、YouTuberとしての一面も持つ。彼が運営するチャンネル「弁護士高橋裕樹のリーガルチェックちゃんねる」は、登録者数が9万人を超える。
こうした知名度と実績を頼ってか、高橋氏は、これまで“大物”を弁護してきた。2023年に常習的脅迫の罪などで起訴されたガーシーこと東谷義和氏。そして、ガーシーを参議院選挙で擁立した「NHKから国民を守る党」(以下、N国)の立花孝志氏だ。
立花氏の活動を現場で詳細にリポートしてきたジャーナリスト、選挙ウォッチャーちだい氏は、高橋氏をこう評する。
「弁護士としては優秀だと思いますよ。高橋さんはN国関連の“刑事事件担当”のような働きをしていますが、実刑は免れないと思われていたガーシーや立花氏に、執行猶予つきの判決を勝ち取っています。
私は頻繁にN国関係者らにSNS上で疑問をぶつけており、SNS上で口論になることや、私を訴えてくるような人もいます。高橋さんにもSNS上で質問をぶつけたことがありますが、彼からは特に返答や抗議もなく、いつもスルーされていました。弁護士という仕事に徹しているということなのかもしれません」
そんな依頼者をえり好みしない“令和の無罪請負人”の高橋氏が、なぜこのようなLINEをA子さんに送ったのか。
そもそも2人は、ある刑事トラブルでA子さんが高橋氏に代理人を依頼したことで知り合った。委任した当初から、彼女は高橋氏に恋愛感情を抱くようになったという。A子さんの友人女性が語る。
「『頼りになる』『声が魅力的』と、よく話していました。かなり夢中だったと思います」
やがて2人は、弁護士と依頼人という立場を超えた関係へと発展。2人きりで食事に行くなどして、親密なLINEを送り合う仲になった。
ただし高橋氏が一定の距離を保ち、2人の関係は曖昧なままだった。そんな関係に終止符を打ったのが、今回のLINEだった。A子さんは取材に対し、憔悴した様子で語る。
「好意も信頼もありました。でも、あのメッセージは耐えられなかった。少なくとも、私は『伊東選手と寝てこい』と言われたように感じました。私の気持ちを彼に利用されたのだと思います」
実際、件の《頼むから~》というLINEの後には《倫理どこいった》と、A子さんは抗議の文面を返している。
弁護士の紀藤正樹氏はこう指摘する。
「交際が周囲に公然とおこなわれたなら、弁護士職務基本規程の第6条(名誉と信用)などの規定に抵触する可能性はあります。また、高橋弁護士が委任を受けている訴訟の対立する当事者である伊東選手に接触を促すような働きかけを自分の関係者にしたとすれば第14条(違法行為の助長)などの規定に抵触する可能性はあります」
紀藤氏の言う弁護士職務基本規程の第6条には、このように記されている。
《弁護士は、名誉を重んじ、信用を維持するとともに、廉潔を保持し、常に品位を高めるように努める》
当の高橋氏は、このLINEの送信についてどのような見解を示すのか。本誌が高橋氏に質問すると、このように回答した。
《ご指摘のやり取りやメッセージ送信は認めますが、当事者の人間関係の下、全体の文脈の中でなされたものであり、特定の発言のみを切り出して評価すべき性質のものではありません》
《当該やり取りの中で、不法行為を行わせる意図をもって具体的な働きかけを行った事実等は一切存在しません》
また、弁護士職務基本規程に抵触する可能性については、《事実に反し、明確に否定致します》とし、本記事を掲載した場合の本誌への法的措置の可能性を明言した。
だが、冒頭のように、本誌は“特定の発言のみ”を確認しているわけではない。
そこで、再度高橋氏に、当該LINEの前後の文脈も含め質問したところ、前回回答の趣旨を《当職が民事訴訟を有利に進める目的で第三者に不法又は不適切な行為を働きかけたとの評価を否定したものであり、個別のメッセージの文言の正確性、抜粋の完全性又は文脈の相当性を確認又は承認したものではありません》と説明する。しかし、《個別のメッセージの本文やその前後のやり取りの詳細や趣旨については、第三者のプライバシー及び当方の職務上の守秘義務の観点から、個別の認否及び回答を差し控えさせていただきます》とした。
現在、A子さんは高橋氏に対する損害賠償請求と、千葉県弁護士会への懲戒請求を検討しているという。加藤氏は最後にこう語る。
「伊東選手も『信じられない』と絶句していました。意図がなんであれ、名前を使って女性に接触を促した事実は重い」
法廷の外で繰り広げられた“もうひとつの攻防”。弁護士としての品位が今、問われている。
![Smart FLASH[光文社週刊誌]](https://smart-flash.jp/wp-content/themes/original/img/common/logo.png)







