三者三様のオフの過ごし方で英気を養う力士たち。左から御嶽海、一山本、隆の勝(写真・松下穂香、坂井友紀)
7月12日に初日を迎え、千秋楽まで15日間にわたって開催される、大相撲名古屋場所(七月場所)。日夜、稽古に励む力士たちは、貴重なオフの時間をどのように過ごしていたのか。御嶽海、一山本、隆の勝という角界きっての人気力士3人のリフレッシュタイムに密着した。
■御嶽海(出羽海部屋/西前頭十一枚目) 人生初レコーディングでド緊張熱唱
角界に歌好きが多いのは有名な話だが、御嶽海(みたけうみ)もそのひとり。きっかけは、入門後からおこなっているスナック通いだった。
「スナックのお客さんは、歌が下手な人にはすごく冷たい。自分が歌っているときの反応が気になりだして、こりゃあ負けてられないな、と負けず嫌いに火がつきました(笑)」
恰幅がよいことから、声量があって歌がうまい力士は多い。なかには、ボイストレーニングに通う猛者までいるというが、御嶽海はあくまでも“実戦”にこだわっている。
「うまい人の歌を聴いたり、一緒に歌わせてもらったりして『この歌い方はいいな』と勉強しています。ボイトレに行こうと思ったことは、何度もあります。ただ『相撲より歌のほうがいいな』と言われたら、それはそれで嫌だなと(笑)」
だが歌好きが高じて、この日は人生初のレコーディング体験をすることに。挑んだ曲『ともしび』は、知人のベストセラー絵本作家、はせがわゆうじ氏が今回のためだけに作詞したものだ。
「練習? しましたよ。でも、話をいただいてから合間にパリ公演があったりと、あまり時間がなくて……」
さすがの御嶽海も、初のレコーディングにはいささか緊張気味。テイクごとの歌い直しは、2時間近くに及んだ。
だが、録音ブースから出てきた御嶽海の表情は、どこか晴れやかだ。
「あっという間すぎて…もうちょっと歌いたかったかな(笑)」
最後に七月場所について聞くと、真剣な面持ちで意気込みを語ってくれた。
「ここ2場所は連続して勝ち越しているし、名古屋は準ご当地なので、応援もいっぱい来ていただける。暑い名古屋場所は好きなので、いい成績を残せるようにしたいですけど、この歳になると、まずは怪我をしないこと。いまは、とにかく長く相撲を取り続けたい。そのうえで勝ち越し、と言い聞かせています」
将来的には、親方として角界に残りたい気持ちが強いというが、そこには「変革」も辞さない覚悟もある。
「僕が若いころは『横綱は怖い』ことが普通でした。大関に上げていただいたときは、白鵬さん、鶴竜さん、稀勢の里さん、みんな怖かった。いまでも親方として残っている元横綱を前にすると、ちょっと構えてしまいます。でもその感覚は、いまの若手たちには希薄で、だいぶ伸び伸びやっているように思います」
そして、時代の流れも承知のうえで、こう指摘した。
「強くなるためには、オンとオフを切り替えて、仕事場ではピリッとした雰囲気がないとダメだと思います。将来、どういったかたちで育成に関わるかわかりませんが、とにかく、強くなることに貪欲な力士を育てたいですね」
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