
巨人軍の橋上秀樹監督代行(写真・共同通信)
プロ野球は前半戦を終え、パ・リーグではソフトバンクが2位以下を引き離しつつあるのに対し、セ・リーグでは史上初めて、阪神と巨人が同率首位で折り返すという現象が起きている。
この珍現象も、ひとえに巨人のがんばりによるところが大きいようだ。
「昨オフ、松本剛外野手(元日ハム)、則本昂大(たかひろ)投手(元楽天)と実績のある選手をFAで獲得しましたが、一部OBからは『すでに峠を越した選手を取ってどうするんだ』といった声があがるなど、効果的な補強はできませんでした。
しかも、これまで“巨人の顔”としてチームを牽引してきた坂本勇人内野手や丸佳浩外野手も大ベテランとなって、多くを望めません。さらに追い打ちをかけるように、5月下旬には阿部慎之助前監督が娘への暴行で逮捕され、電撃辞任するなど、チームは大きく揺れ動きました。
この時点で『今季の巨人は終わった』といった声すらあがるほどでしたが、交流戦から後を継いだ橋上秀樹監督代行がすばらしい手腕を発揮し、チームを立て直しました。
近年どおり、交流戦は“パ高セ低”でしたが、巨人は唯一の勝ち越し。その最大の要因は、橋上監督代行にあったと言っても過言ではないでしょう」(スポーツ紙巨人担当記者)
また、ここ数年、補強はFA移籍に頼っていたこともあり、若手の育成がおろそかになっていたことは否めない。この面でも、橋上監督代行は積極的に動いた。
「2軍からの報告で1軍に上げた選手は即使ってみる、というのが“橋上流”ですね。阿部前監督は『(巨人で)育てると言ったら最下位になる』と、いわば勝利を求めたうえでの育成を拒否するような発言をして、大ひんしゅくを買いましたが、橋上監督代行はまったくの逆です。橋上監督代行も前半戦を振り返って『今年の柱は育成と勝利。少しずつ芽が出てきた』と語っています。
そして、もっとも成功しているのが、“ワークマンの黄色い手袋”で有名になった浦田俊輔内野手の1番固定でしょう。俊足好打で打率.277はセ・リーグ4位です。また25盗塁は、ヤクルトの岩田幸宏外野手と並んで堂々の1位です。巨人は他チームの4番ばかり集めたことで、盗塁などの“走り”をおろそかにしてきた流れがあっただけに、浦田の台頭は大きな進化といえるでしょう。ちなみに巨人での盗塁王となれば、2011年の藤村大介氏以来、15年ぶりのことになります」(同前)
こうした戦いぶりに、巨人の山口寿一(としかず)オーナーは「(来季に向け)まだ何も決まっていません」と前置きしたうえで「予期しない展開で監督代行を受けてもらったんですが、本人はご覧のとおり、ベンチの監督のイスには座らない。あくまでコーチのひとりとしての監督代行として、ほかのコーチたちともよく話し合いながらチーム運営をしているので。当初、私が想像していたよりも、よくやってくれていると感じています」と、その手腕を高く評価しているのだ。
ここまでの評価ならば、成績次第では続投の芽も出てくるのではないか。
「巨人では“外様”出身者が監督になることは、これまでありませんでした。橋上監督代行は、あくまでも緊急のためということです。ただ、ここまでの戦いを見て、巨人関係者からも『来年もまかせていいのではないか』といった声が出始めたようです。
また、フロント陣が何よりも懸念しているのが、新監督が決まったことで橋上監督代行が巨人を去り、他チームの監督になってしまうことです。すばらしい手腕を発揮していますから、セ・パ両リーグで下位に沈んでいるチームが狙ったとしても、何らおかしくないでしょう」(スポーツ紙デスク)
慣例を棄て、巨人の歴史が動くか。
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