
桑田真澄
巨人2軍監督から侍ジャパンU-12日本代表の監督となった桑田真澄氏が、8月4日、初指揮となる『第12回 BFA U12 アジア野球選手権』(中国・杭州で9日開幕)へ向けて、神奈川県内で会見をおこなった。
その際、小学生の選手たちの特徴について語ったコメントが話題となっている。
今回のU-12日本代表のメンバー15人中10人がすでに身長が160cm以上。自身はプロ野球選手としては小柄な174cmだっただけに、現在の小学生の肉体の成長には驚いているという。
「いまの子供たちは、パワーもありますしね。ボールも投げられますので。やはり時代と言いますか、すごいなっていうふうには思っています」
桑田はこう語った一方で、警鐘も鳴らした。
「プロも含め、いまの選手たちは、野球IQといいますか、野球を知るというところが少し雑になっているんじゃないかなと僕は思っているんですね」
体が大きくなれば、パワーやスピードを追い求めることは自然の流れだが、反面、「頭を使ったプレー」が疎かになっていくことを危惧したわけだ。
さらに、「わかりやすく言うと、うまいバッターというのが、僕はいますごく少なくなっていると思います。ピッチャーで言うと、コントロールのいいピッチャーがほとんどいないですよね。1球1球、ボールを出し入れできるピッチャーがなかなかいない。僕は、これは日本野球のすごい危機だなと思ってます」とまで言ったのだ。
「桑田監督の提言は、子供たちに向けただけでなく、日本球界全体に向けたもの。たとえば、先般のWBCでの日本代表の戦い方もそうです。
侍ジャパンには、大谷翔平ら本塁打の打てる日本人メジャーリーガーが5人参加しました。それで、日本はそれまでチームとして培ってきた “スモールベースボール” ではなく、長打に頼る戦術を用いました。
メディア、ファンもそれを支持した雰囲気がありましたよね。でも、結果は過去ワーストの準々決勝敗退になったわけです。
現在は、MLBの試合も頻繁に見られますし、アメリカのパワー&スピードを体現しているのが大谷翔平でもある。しかし、大谷は特別の存在であって、『日本には日本にあった野球がある』と桑田監督は言いたかったのではないでしょうか」(スポーツライター)
じつは、以前にも “MLB式野球” に警鐘を鳴らした人物がいる。日本とアメリカでともに大活躍したイチロー氏と松井秀喜氏だ。
2024年12月に人気ドキュメンタリー番組『情熱大陸』(TBS系)で2人の対談が実現し、大きな反響を呼んだ。それは、いまやMLBが当たり前のように取り入れる、データ重視の野球に疑問をもったやり取りだった。
松井氏が「いまのメジャーの試合を見て、ストレス溜まりませんか?」と疑問を投げかけると、イチロー氏は「めちゃめちゃ溜まるよ。まあ、退屈な野球」と酷評。それは、あまりにもデータ重視が強すぎて、「選手の気持ち、メンタルはデータに反映されないわけで。目に見えないことで大事なことはいっぱいあるのにな、って。でも、みんなそれ(データ重視)をやるから、そこの勝負みたいになっちゃって」と語っていたのだ。
これには松井氏も同調し、「打順の意味とか、薄れちゃっていますよね」と語っている。
「2人は『データは必要』としながらも、己の感性や考えることも大事な要素だと主張しました。そこは、桑田さんの言う『野球IQの向上=考える野球』に共通する部分だと思いますね」(同)
球界のレジェンド3人の共通意見だけに、この警鐘は重みを増す。桑田の監督としての手腕が、どのように子供たちの才能を開花させるのか、注目したい。
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