
松本剛(写真・共同通信)
現在、激しい首位争いを続ける巨人軍。今季開幕前、巨人の評判があまり高くなかったのは、例年とは違って補強が地味だったせいもある。とくにFAで獲った選手にはファンも大きな疑問を持っていた。そのFAで獲ったのは、則本昂大投手と松本剛外野手だった。
「特に首を傾げたくなったのが、松本でした。確かに日ハム時代の2022年は.347の高打率で、自身初の首位打者に輝きました。さらに盗塁もキャリアハイの21を記録し、好打とともに走れる外野手としての評価を得ました。
ところが、以降、成績は年々下がり、昨年に至っては66試合出場にとどまり、打率も.188とレギュラーを取ってから最低の数字となりました。年齢も32歳となったことから、すでに “終わった選手” との評価になってしまったのです。
評論家や巨人OBから、『なぜ峠を越した選手を獲ったのか』と、大きな疑問が持ち上がったのも仕方ない成績でした」(スポーツ紙巨人担当記者)
その評価どおり、オープン戦での打率は.176と苦しんだ。それでも何とか開幕戦の「2番・中堅手」のスタメンに名を連ねたが、調子はいっこうに上向かなかった。
ところが、勝手知ったるパ・リーグ相手の交流戦となると、18試合で打率.365を記録するなど状態を一気に上げていった。
その好調さは、セ・リーグ相手でも落ちることはなかった。打順を1番から2番に替え、1番に起用されることの多くなってきた浦田俊輔内野手と「ウラマツコンビ」として巨人のリードオフマンの役割を担うようになっていった。
「今季の巨人は、阿部慎之助前監督と橋上秀樹代行監督とで、選手起用の面で大きな違いが出ました。阿部前監督のときは、若手を起用し、『育てながら勝つ』ということに積極的ではありませんでしたが、橋上体制となってからは、若手をどんどん使うようになりました。巨人のオールドファンからは『名前のわかる選手がほとんどいない』と言われるほどです。
そうした若手主体のメンバーにあって、32歳の松本は “兄貴分” であり、まとめ役にもなっているようです。いまの巨人にとって、松本の存在感は日に日に高まっています」(同)
8月8日現在、松本は打撃ランキングに入るための規定打席には達していないが、このままレギュラーとして出続ければ、最終的には十分到達する可能性があるとみられる。さらに、松本にはもうひとつ大きな期待がかかっているという。
「巨人はこれまで、FA移籍で打者は松本を含め、16人獲得している。落合博満に始まり、広澤克実、清原和博ら、それこそ “日本の4番” を数多く獲得してきました。
ところが『球界の盟主』への加入というプレッシャーからか、巨人移籍1年めに規定打席に達し、打率3割を超えた選手は小笠原道大ただ一人なんです。
松本にはリードオフマンとしての活躍だけでなく、2人めの3割打者誕生の期待もあるのです。いまの好調さから見れば、十分にチャンスはあります」(スポーツ紙デスク)
開幕前には “不良債権” とさえ言われた男が、いまや巨人を引っ張る存在になっている。
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