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観客も報道陣も「サニブラウン旋風」に翻弄された日本選手権

スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2019.06.30 19:19 最終更新日:2019.06.30 19:19

観客も報道陣も「サニブラウン旋風」に翻弄された日本選手権

 

 6月30日、陸上の日本選手権がおこなわれ、男子200メートルでサニブラウン・アブデル・ハキーム(フロリダ大学)が20秒35で制覇。若干20歳ながら、6月28日の100メートルに続き、今大会2冠を達成した。

 

 今回の日本選手権、アメリカから凱旋したこの男に翻弄されっぱなしだった。
 大会前から、「まだ見ぬサニブラウン」をめぐって報道が過熱。元日本記録保持者の桐生祥秀との接戦が予想された100メートルの決勝は、「史上初の9秒台決戦」とうたわれた。

 


 
 観客の熱も高く、100メートル決勝が行われた28日は、夕方頃にメインスタンドのチケットが完売。1万4000人以上が詰めかけ、全方位のスタンドが満員状態に。長年取材する記者たちからも「日本選手権でこんなに人が入ったのは見たことがない」との声が漏れ聞こえてくるほど。

 

 だが、天候は毎日「ゲリラ豪雨」のような雨が降り注ぎ、不安定。

 

 会場の「博多の森陸上競技場」はメインスタンドの一部にしか屋根がない。6月28日から30日まで観戦したという男性は「最初の日に雨に打たれたらカバンが全部水浸しになって……。3日めからは、どうせ雨に打たれると思って、ほとんど荷物を持たないで来ました」と話していた。

 

 バックヤードでは、サニブラウンの一言を求めて「報道陣の熱い戦い」が。
 レース後は100人近い報道陣がミックスゾーンの囲み取材に集結。フジテレビ・宮司愛海アナ、TBS・上村彩子アナといった各局のスポーツアナに加え、水泳の松田丈志や高橋尚子、松岡修造というレジェンドアスリートたちも土砂降りのなか取材に励んでいた。

 

 中継をおこなったNHKにも手応えがあったのだろう。クルーたちからは、同じ陸上をテーマにした大河ドラマを引き合いに「これで『いだてん』のぶんの数字もね……」という冗談も。

 

 しかし不思議なのは、当の本人は、その喧騒をまったく意識していないようなところ。
 6月28日、100メートル決勝後には、10秒02の大会新記録について「なんとも言えないタイム」と言いのけた。レース前の様子について問われると、ケロっとした表情で「緊張はほとんどしなくなっちゃったかも」とも。

 

 6月30日の200メートル決勝後も、大勢の報道陣が待ち構えるミックスゾーンに入るやいなや、手にしていた清涼飲料水に口をつけ、「おいしい~」と一言。同学年かつ同じ東京出身で、走幅跳を制した橋岡優輝(日本大学)が取材を受けているところに乱入して、肩を抱くひと幕も見られた。

 

 東京五輪まで約1年、急成長した「異才」が陸上界を席巻する。

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