社会・政治
稲田防衛相「同じ筆跡の領収書260枚」発覚でも「みんなやってる」
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2016.08.26 06:00 最終更新日:2016.08.26 06:00
「ポスト安倍」の有力候補と目される稲田朋美防衛相(57)に「政治とカネ」の問題が発覚した。
「しんぶん赤旗日曜版」(8月14日号)は、稲田氏の資金管理団体「ともみ組」の政治資金収支報告書に添付してある領収書の写し(2012年~2014年の3年分)を開示請求で入手。そのなかに金額、宛名、年月日が同じ筆跡の領収書が、約260枚、約520万円分あったと報じた。
領収書は、自民党議員らによる政治資金パーティの会費(2万円)を稲田氏側が支払った際に、各議員側から受け取ったものだ。
本誌が稲田氏の事務所に確認すると、「(宛先や金額などを)その場で記載してもらうと受付を待っている多数の方に迷惑をかけ、パーティーの運営に支障を来すおそれがあり(中略)、主催団体に代わって弊事務所が記載することがあります」との答えが返ってきた。
稲田事務所はまた、「ほかの議員事務所もそうしている。これは自民党の政治資金パーティーの慣習だ」などと、「赤旗」の取材に答えている。
だが、この言い訳は一般社会では通用しない。白紙の領収書に自ら書き込んだものを、税務署は認めないからだ。
稲田氏側に白紙の領収書を渡したなかには、現職閣僚10人が含まれている。白紙で渡した理由を、本誌が入手した領収書を出した閣僚の事務所に聞いた。
政治資金を監督する立場にある総務省のトップ、高市早苗総務相の事務所は文書でこう回答した。
「政治資金パーティー当日の受付は大変混み合うこともあり、(中略)面識のある議員や秘書様などの場合には、当方に代わって金額や宛先などを記載していただくことを了解し、(白紙の)領収書をお渡しすることもあります」
まるで稲田氏の事務所と示し合わせたかのようだが、山本有二農水相、加藤勝信一億総活躍相、丸川珠代五輪担当相の事務所も、同様の回答を寄せた。
政治資金規正法に触れるかどうかについて、総務省政治資金課は「領収書を誰が書いたかについての規定はない。当省では領収書の実態まではわかりかねるので、司法の判断になる」と話す。
だが、「政治資金オンブズマン」共同代表で神戸学院大学の上脇博之教授は警鐘を鳴らす。
「稲田氏がそうだとは言いません。しかし、仮に4万円を支出したと書いて、実際は2万円しか支出していなかったら、差額の2万円は裏金にできます。白紙の領収書は、裏金作りの温床になりかねません」
「ポスト安倍」と言われても、白紙の領収書にちまちまと書き込むその姿は、宰相の器にはほど遠い。
(週刊FLASH 2016年9月6日号)