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安倍―トランプ「ゴルフ外交」は祖父「岸信介」がお手本だった

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2017.03.11 12:00 最終更新日:2017.03.11 14:23

安倍―トランプ「ゴルフ外交」は祖父「岸信介」がお手本だった

『ゴルフ中の岸総理とアイゼンハワー大統領。写真:gettyImages』

 

「私の腕前は、残念ながら大統領にはかなわないと思いますが、私のポリシーは、ネバーアップ、ネバーイン。つねに狙っていく。刻むという言葉は私の辞書にはありません」

 

 安倍晋三総理(62)とトランプ米大統領(70)による「ゴルフ外交」。これに先立つ日米首脳共同記者会見で、安倍総理は意気込みを語った。ジャーナリストの歳川隆雄氏が解説する。

 

「ゴルフは外交のツールになるという発想を、総理は祖父の岸信介元総理から学んでいます。カートで移動しながら、大統領と親密な会話ができる意義は非常に大きいです。オバマ前大統領もゴルフ好きでしたが、ラウンドは実現しませんでした」

 

 安倍総理が「ゴルフ外交」を信じる背景には、60年前の日米首脳会談がある。早稲田大学客員教授の春名幹男氏が、当時の秘話を明かす。

 

「岸総理がホワイトハウスに到着すると、アイゼンハワー大統領は突然、予定になかったゴルフを提案しました。サプライズを演出したのです。このころ、東南アジアが共産主義化する恐れがあり、『反共の同志』である岸総理を米側に取り込む必要がありました。そこで、日本の首脳をゴルフという特別なもて
なしで出迎えることとなったのです」

 

 ラウンド後、ともにシャワーを浴びた岸総理の印象を聞かれ、アイゼンハワー大統領はこう語っている。

 

「大統領ともなると、嫌なヤツとも笑いながら話をしなければならない。ところがゴルフは、好ましく思う相手でないと一緒にやれないものだ」

 

 スコアは、アイゼンハワー大統領の「74」に対し、岸総理は「99」と完敗だったが、意義は大きかった。

 

「日本を蔑視していたダレス国務長官らの意識が変わったのです。ゴルフを含め3日間にわたった会談で、米国は、岸総理を信頼に足る人物と判断しました。このゴルフ密談が、3年後の日米安保条約改定につながったわけです」(前出・春名氏)

 

 この日のゴルフは、もうひとつの秘話を生んだ。岸総理と同じ組でラウンドしたのが、プレスコット・ブッシュ上院議員だったのだ。息子と孫が後に大統領となる人物である。

 

「'06年、安倍総理がブッシュ大統領にあるものを手渡しました。それは岸総理がドライバーショットを打とうとする写真。余白には直筆で『Our family friendship from past to future(過去から未来へ続く私たち家族の友情)』と記し、祖父たちの『ゴルフ外交』の親密さを訴えたのです」(前出・歳川氏)

 

 今回の日米ゴルフ外交は、60年前を凌ぐ「蜜月」の演出だったのだ。

(週刊FLASH 2017年2月28日号)

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