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名曲散歩/郷ひろみ&樹木希林『林檎殺人事件』フニフニフニフニの謎
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2020.10.18 16:00 最終更新日:2020.10.18 16:00
東京・神田の古いビルの2階。そこには夜な夜な紳士淑女が集まり、うんちくを披露しあう歌謡曲バーがあるという。今宵も有線から、あの名曲が流れてきた。
お客さん:お、このイントロは、郷ひろみ&樹木希林の『林檎殺人事件』。『お化けのロック』に続く第2弾!
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マスター:そう、1978年のTBSドラマ『ムー一族』の劇中歌で大ヒット! 『ザ・ベストテン』では4週連続1位に輝いた。
お客さん:『ムー一族』はドラマの中で急にコントが始まったり、ドラマなのに生放送だったり、演出の久世光彦ワールドに彩られていた。
マスター:ぶっとんでいたよね、それでいて最後は泣かされるんだ。で、この『林檎殺人事件』なんだけど、作詞はあの阿久悠。
お客さん:大御所だね。
マスター:ただ、そこには久世光彦のコンセプトが色濃く反映されているんだ。『お化けのロック』の「♪イヒイヒ」みたいに、『林檎殺人事件』にも「♪フニフニフニフニ」と意味不明の歌詞があるよね。
お客さん:不思議な歌詞だよね。
マスター:だよねえ。でも、のちのち樹木希林が「実はちゃんとした意味がある」と明かしたんだ。
お客さん:ちゃんとした意味?
マスター:ヒントはレコードジャケットのイラスト。実は、おっぱいとおちんちんを持った天使が描かれている。
お客さん:たしかに、そんなふうに見える。
マスター:樹木希林がインタビューで「久世氏が詞に込めた思い」を語っていた。「私たちは男女を超えた “無性” や “両性具有” のような存在。『フニ』は2つとない、実際は1つという『不二』を意味している」という。どうやら仏教の言葉から来ているみたいだね。
お客さん:へー、楽しく歌っていたけど、けっこう深い意味があったんだね。
おっ、次の曲は……。
文/安野智彦
『グッド!モーニング』(テレビ朝日系)などを担当する放送作家。神田で「80年代酒場 部室」を開業中
参考:『朝日新聞』2017年5月20日