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池田エライザ、売れっ子女優が前代未聞の映画監督に…原点は「黄色い帽子の小学生」

エンタメ・アイドル 投稿日:2021.03.26 20:00FLASH編集部

池田エライザ、売れっ子女優が前代未聞の映画監督に…原点は「黄色い帽子の小学生」

(C)2020「夏、至るころ」製作委員会

 

 福岡県田川市を舞台に描かれ、町おこしタイアップの一面をもつ本作は、ほとんどのシーンが同市内で撮影された。メインキャストの2人は池田よりも年下で、撮影当時10代の若手男性俳優。演出には、新人監督らしからぬ “肌感覚” が活きていた。

 

「八方美人に振る舞っていたわけではないですが、結局は人と人なので、それぞれの役者にとって最善の監督でいられるように、人によって場面によって、都度都度で、演出方法はまったく違いました。

 

 主人公の親友役を演じた石内呂依くんは、今回が俳優デビュー作なのに、芝居は本当に達者で、初めてとは思えないくらい。だけど、『人生でまだ怒ったことがない』と言うんです。だから、怒りの感情を引っ張り上げてあげられるような煽りをしました。『あと1回しか撮んないからね?』と言ったりとか(笑)。

 

 一方で主人公を演じた倉くんの課題は、まずは町に順応すること。主役として(今作全編の舞台となった福岡県)田川市の空気をまとうことが大事でした。それから、こう伝えていました。

 

『本当に自分がそのセリフを言いたくなるまで、言わなくていい。いくら間を使ってもいいから、自分の中でその言葉のつじつまが合って、心臓から喉、喉から口を通って、「あ、いまスラっと言えるな」というときになったら言おう』

 

 彼は勘がいいので、自分の見え方だけでなく、芝居の “間” について、わかってしまうんです。でも、そのこなれた “間” が、いちばんシラける。だから、そうした器用な部分をほぐす作業を、合間の時間にしていました」

 

 彼ら若手俳優にとって池田は、役者の先輩でもある。

 

「うーん……そもそも、私がそんなに女優っぽくないですからね(苦笑)。役者として彼らの延長線上の存在になるどころか、女優らしく振る舞えていることが、ほとんどないんですよ……。いつも、ガリガリ何かを勉強していますし。

 

 だから池田組の現場では、役者としてアドバイスをすることはなくて、監督としての職務をまっとうしていました。むしろ監督をしているときのほうが、いつもの私というか、普段どおりなんです。裏方で『作品に愛情を持って、世のために働く』というほうが向いていますね。これも、性格です(笑)。

 

 撮影の合間には、彼らから『どうしましょうか?』と聞いてきてくれたので、『そーねえ』なんて言って、話し合いながら演出していきました。そんなことを重ねながら約2週間、朝集まって夕方には解散するようなきっちりした感じで、心身ともにすごくクリーンな現場でした」

 

 そんななか、自分が女優として殻を破ったときのような “原体験” に、監督として立ち会うことができた。

 

「主人公・倉くんの、情けない泣き顔を撮るときのことです。男性はとくになんですが、自意識を変えられなくて泣くのに手こずっていて。たとえが難しいんですが、『吐き方がわからないと、一生吐けない』というのと、同じかもしれません。

 

 うまくいかない状態だったので、1回、カメラを止めました。たぶん彼は、細かいことをいろいろ考えていたんでしょうね。だから私は、あくまで彼が演じた役の『翔ちゃん』に対して、言葉をかけ続けました。

 

『なにが悔しかったの? なんて言われたの? その言葉のなにが嫌だったの? 倉くんとしての言葉じゃなくて、あなたは翔ちゃんだからね』

 

 親友とずっと一緒にいることが当たり前だと感じていた少年が、急にドンと距離を置かれ、ショックを引きずっているシーン。ギャップに戸惑う心情に、私はすぐ隣で共感しながら、母親が息子に聞いているように語りかけたんです」

 

 すると、“ダム” が決壊のときを迎える。

 

「カメラが回っていないのに突然、倉くんが泣きそうになったと思ったら、まもなく泣き始めてしまって。慌てて、『やばい、それ本番でやって! じゃあ回すよ、はい、よーい』と。

 

 そして本番では、言葉で言い返せない子供みたいに、見ている側の心がギューッとなるような泣き方をしてくれたんです。そこまで信頼してもらえたことが嬉しくて、私もカメラの横で一緒に泣きました。本っ当に、幸せな体験でしたね」

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