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最新作『水星の魔女』がスタートした『ガンダム』シリーズ。低迷期や大コケ作もあった43年間の栄枯盛衰“マニアックヒストリー”

エンタメ・アイドル 投稿日:2022.10.03 17:30FLASH編集部

最新作『水星の魔女』がスタートした『ガンダム』シリーズ。低迷期や大コケ作もあった43年間の栄枯盛衰“マニアックヒストリー”

右から『機動戦士ガンダム』、『機動戦士Zガンダム』、『機動戦士ガンダムSEED』のDVD1巻

 

ガンダム』シリーズの最新テレビアニメシリーズ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』(MBS・TBS系)が、10月2日から放送スタートした。

 

 本作はじつに7年ぶりの完全新作テレビアニメとなっており、テレビシリーズでは初の女性を主人公に採用するなどして注目を集めている。

 

 

 さて、1979年に産声を上げて社会現象を巻き起こした『機動戦士ガンダム』。ロボットアニメの金字塔として知られているため、『ガンダム』シリーズがずっと高い人気を保ち続けていると思っている人も少なくないだろう。

 

 しかし43年もの歴史があれば、ヒットとは言い難い作品があったり、シリーズ全体が低迷していた時期があったりと、山あり谷ありで苦戦していたことも……。

 

 そこで今回、『ガンダム』シリーズと同い年である1979年生まれで、物心ついたころからのファンである筆者が、『ガンダム』テレビアニメシリーズの栄枯盛衰の歴史を振り返っていきたい。

 

■じつは打ち切りの憂き目に遭っていた初代『ガンダム』

 

 そもそも1979年の初代『機動戦士ガンダム』が、リアルに戦争を描いたことが当時はあまりに斬新であり、ストーリーのクオリティが高かったため、今日まで続くシリーズとなっているわけだが、じつは過去に打ち切りの憂き目に遭っている。

 

 子供向けのテレビアニメとしては難解すぎたためか視聴率が振るわず、終盤にハイティーンの熱狂的なファンがついていたものの、全52話予定が43話で打ち切られた。しかしその後、何度も再放送され劇場版三部作が大ヒットとなり、ガンプラも売れに売れて、伝説のロボットアニメとなったのだ。

 

 1985年に『機動戦士Zガンダム』、1986年には『機動戦士ガンダムZZ』と続編が作られ、高い人気を維持。特に『Zガンダム』が、初代からの正当続編ということで、多くのファンから厳しい目で見られながらも確固たる支持を得たことが、“シリーズ化”成功の礎になったのである。

 

 それから数作の映画作品やOVA(オリジナルビデオアニメ)作品が作られ、1993年に久しぶりのテレビアニメ『機動戦士Vガンダム』が放送された。「おかしいですよ、カテジナさん!」といった名ゼリフなど、筆者は好きな作品なのだが、これが“爆死”してしまう。

 

 まず『ガンダム』の生みの親であり、『Vガンダム』も監督した富野由悠季氏が、後年に「この作品は全否定したいと思っているものです」と語っているほど。また『ガンダム』シリーズとは思えないほど、作画が崩壊してひどい出来。もちろん、『ガンダム』以外のほかのアニメ作品と比較すればヒットといえる数字を残しているのかもしれないが、それ以前の『ガンダム』作品と比べると人気低迷は明らかだった。

 

 1994年には『機動武闘伝Gガンダム』、1995年には『新機動戦記ガンダムW』、1996年には『機動新世紀ガンダムX』、1999年には『∀ガンダム』と、テレビシリーズが続々制作。これらは各作品にコアなファンがついており、一定の人気を獲得していたが、初代や『Zガンダム』のころの盛り上がりに比べればパワーダウンは明白だ。

 

 個人的には、『Vガンダム』放送の1993年ごろから2000年代に入ったころまでは、『ガンダム』の長い歴史のなかで最大の低迷期だったと思っている。

 

■低迷していた人気を復活させた“中興の祖”『SEED』

 

 このまま『ガンダム』人気は下降線を辿り、忘れ去られていくのかもしれない……そんな不安を一蹴したのが、21世紀で初めて制作された2002年のテレビシリーズ『機動戦士ガンダムSEED』だった。『ガンダム』シリーズ43年の歴史を振り返るなかで、間違いなく“中興の祖”と呼べるほどの大ヒット作品となるのだ。

 

『ガンダムSEED』で特筆すべきは、ロボットアニメにもかかわらず多くの女性ファンを獲得したことだ。1995年の『ガンダムW』も一部の熱狂的な女性ファンを生んでいたが、それの比ではなかった。誤解を恐れずに言うと、『ガンダムSEED』のキャラクターデザインは、目が大きくキラキラした“萌えアニメふう”になっており、当初は古参ファンから批難されていたものの、結果としてそれが功を奏した形になった。

 

 ロボットアニメはほぼ男性ファンメインの市場だったが、女性ファンも取り込んだことで狙えるターゲット層が実質倍増したのは大きかったことだろう。グッズの収益でいうと、それまではガンプラ頼りだったが、キャラクターのフィギュアなども飛ぶように売れたのである。

 

 2004年には『ガンダムSEED』の正当続編『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』が制作され、2007年には世界観は異なるものの『ガンダムSEED』のビジネスモデルを踏襲したであろう『機動戦士ガンダム00』がスタートし、ともに大ヒットした。

 

 このころの『ガンダム』シリーズは絶対王者の風格を取り戻しており、ロボットアニメファンだけでなく、男女問わず全アニメファンから注目を集めるビッグコンテンツとなっていた。

 

■『妖怪ウォッチ』の生みの親が大コケさせた『AGE』

 

 しかし栄華は長くは続かず、2011年の『機動戦士ガンダムAGE』が大コケ。

 

 この作品はゲーム会社・レベルファイブの日野晃博社長が、シリーズ構成を担当するということで鳴り物入りでスタートしていた。『ガンダム』シリーズに再び子供ファンを取り込むミッションを背負った作品だったが、小学生たちにはさほど響かず、それだけでなく、初代から根づいていた男性ファンからも『ガンダムSEED』以降に掘り起こした女性ファンからもあまり受け入れられず……。

 

 余談だが、その2年後となる2013年に日野社長が手掛けた『妖怪ウォッチ』が、子供たちの間で一大ムーブメントを巻き起こしたのは皮肉な話である。

 

 その後、2014年に生みの親である富野監督が久しぶりに手掛けた『Gのレコンギスタ』が制作され、続いて2015年の『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』はスマッシュヒットを飛ばし、再び息を吹き返した『ガンダム』シリーズ。

 

 そして満を持して登場したのが、今回放送を開始した最新作『機動戦士ガンダム 水星の魔女』なのだ。

 

 完全新作のテレビアニメシリーズが約7年も期間が空いたのは、『ガンダムZZ』(1986年)から『Vガンダム』(1993年)と並んで最長。果たして『水星の魔女』は『Vガンダム』の悪夢を回避し、『ガンダムSEED』のようなブームを巻き起こすことができるのか……期待して観ていきたい。

 

堺屋大地
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『週刊女性PRIME』『日刊SPA!』などに寄稿中

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