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61歳になったキムラ緑子が語る役者人生「人に嫌われる役は、すごく燃える」
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2022.10.30 11:00 最終更新日:2022.10.30 11:00
それでも、私は嫌われる役を演じるのがおもしろい。たとえば、整形手術をして十数年逃亡を続けた福田和子さんの事件に興味があります。
あの事件は何度もドラマ化されていますけど、もしも私が福田和子さんを演じたら、『こいつが出てきたらテレビは見ない。もう顔を見るのも嫌だ』というくらい、一生人に嫌われる自信がありますね(笑)」
出演作の続くキムラが現在取り組んでいるのが、舞台『歌わせたい男たち』だ。
ある都立高校の保健室を舞台に、卒業式での「国歌斉唱」をめぐる教師たちの攻防を描いた作品だ。
「いろいろな事情があってシャンソン歌手をやめて、先生として第二の人生を始めようとする女性を演じます。
これまでシャンソン歌手として自由に生きてきた女性が、学校、つまり小さな世界ではこんなことが起きているの?ということに気づいて、少しずつ変わっていくんです。
生き方が違うけど、生きていくために話し合ったり激論したり。この人はこの後、どういう人生を歩んでいくかわからないけれど、これを見てどう思いますか? と問いかけるような作品です。本読みの段階で号泣しちゃったくらい、本当に素晴らしい作品なんです」
10月15日に誕生日を迎えたばかりの彼女は61歳に。
「また年を取っちゃった」と笑いながら、今後のことをこう話した。
「若いころに年が上の人たちから言われて『はあ……?』と思っていたことが、ようやくそういうことだったんだなとわかるようになってきました。もっと早く気づけば、死ぬまでに世の中や、まわりに配れるものがあったんだと思ってるんです。そうできたら違った人生だったかもしれませんが、私はボンクラな人間なので、あぁすいません、気づくのが遅かったです(笑)。
これからも楽しく生きていければそれでいいかな。最近、親が『馬力がきくのはあと15年くらいだぞ』と言うんです。そう考えると、第二の人生を踏み出せるか踏み出せないかは、今なんですよね。ちょっとやってみたいなと思うことはありますよ」
ビール片手に美味しそうに千草巻を頬張るキムラの表情は、劇団の仲間たちと東京に出てきたときの「青春時代」と変わらずにキラキラしていた。
きむらみどりこ
1961年10月15日生まれ、兵庫県出身 同志社女子大学卒業後、マキノノゾミが立ち上げた劇団「M.O.P.」の旗揚げに参加。2010年の解散まで看板女優として活躍。2013年、NHK連続テレビ小説『ごちそうさん』に出演し、注目を集める。舞台『有頂天』シリーズ、ドラマ『半分、青い。』(2018年、NHK)、『あなたのブツが、ここに』(2022年、NHK)など出演作多数。11月18日~12月11日まで舞台『歌わせたい男たち』に出演する
【居酒屋 千草】
住所/東京都新宿区新宿3-34-3 千草ビル1階
営業時間/17:00~23:00(L.O.22:00)
定休日/年中無休
写真・野澤亘伸
ヘアメイク・笹浦洋子
※舞台『歌わせたい男たち』は11月18日~12月11日、東京芸術劇場シアターイーストにて上演予定