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いしのようこ 居心地の悪さを感じたアイドル時代…志村けんさんが見出した「コメディエンヌの才能」

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2022.11.13 11:00 最終更新日:2022.11.13 11:00

いしのようこ 居心地の悪さを感じたアイドル時代…志村けんさんが見出した「コメディエンヌの才能」

いしのようこ

 

■コントも芝居も同じ常に全力で演じるのみ

 

 アイドル歌手と女優の二足のわらじを履くことになった彼女をお茶の間の人気者にしたのはコント番組だ。

 

志村けんのだいじょうぶだぁ』(フジテレビ)に出演し、志村けんさんとの息の合った掛け合いを見せ、コメディエンヌとしての才能を発揮していく。

 

「忘れもしません。『ドリフ大爆笑』(フジテレビ)にゲスト出演したときに志村さんから誘われたんです。そのときは丁重にお断わりしました(笑)。

 

 だって、右も左もわからないのにオチをまかされたりするのは怖かったから。そうしたら『勉強だと思って、3カ月来いよ』と言われて……。『私にオチをまかせないのなら、3カ月間だけお勉強に行きます』ということにして、いずれおいとまするという気持ちで、参加することにしました」

 

 そうやって始まったコント撮影。ただ3カ月たっても、誰からも「おつかれさま」の声が聞こえてこなかった。

 

「最初はあれ? でしたね。そしてそこからヤバい! になったんですよ。私は3カ月しかいないと考えてこの場所にいたけど、もしずっと続くことになるのならこのスタンスではダメだ、自分の居場所を見つけないと、と気づいて。そこからは必死でコントに臨みました」

 

 カメラマンや照明、美術といったスタッフに、自分の考えるセットを作ることは可能かを尋ねる日々。その「異変」に気づいたのは志村さんだった。

 

「一度、志村さんの楽屋に呼び出されて、『最近、すごくいろんなところに噛みついているけどなんなんだ?』と怒られたんです。でも当時の私は必死だから、『今、私は自分の居場所を急いで作っているんだから邪魔しないで』と逆に怒ったんです。そのとき志村さんは、ぽかーんとした顔になっていましたね(笑)」

 

 そんな姿を、志村さんをはじめとしたスタッフは「ようこは何かを模索しているらしい」とおもしろがるように。

 

「後から聞いた話ですが、当時志村さんは『オレ、怒られたんだよ。あいつおもしろいね』と言ってくれていたみたいで。ただ、その話をしてから “オチをまかさない” という話はなし崩しになってしまいましたが……」

 

 当時、コント番組にレギュラー出演するアイドルはほとんどいなかったため、いしのはどんどん希有な存在になっていった。

 

「そもそもコントを知らなかったというのも大きかったのですが、コントもお芝居も同じだと考えていて……。コント上で怒るシーンがあっても、お芝居のときと変わらず感情こめて怒っていたんですよ。まわりのみんなは軽く、『ダメでしょ』みたいな感じで言っているのにもかかわらず。私としては一生懸命だったし、当たり前だったのですが、どうもまわりから見ると新鮮だったようです」

 

 そうしてまわりからおもしろがられながら “笑い” を学んでいった。それはドラマや映画でも生かされるように。

 

「いちばん大きかったのは “間” を学べたことです。ドラマの台本などはオチとかそういうものはないですけど、読んでいて、ここで遊べるなって思う場所がわかるようになってきたというか。20代のころは、芝居で必要なことは体全部で吸収した感じがします」

 

 いしのは「自分ができることだけをするのではなく、常に新しいものを探していた」とこれまでの女優人生を振り返る。

 

「自分の引き出しだけを探ってできることをしていても、やっぱりおもしろいとは思えないんですよ。だから新しいモノを取り入れたいと思うけど、それはそんなにすぐに見つかるものではない。いっぱい恥ずかしい思いをして当たってくだけろと行動して、いろんな引き出しを作ってきた気がします。それはこれからも変わらないんじゃないかな」

 

 いしのといえば、事実婚していることを2019年にバラエティ番組で語り、話題に。

 

「べつに隠しているつもりはなかったので、ニュースになって逆に驚いちゃいました(笑)。

 

 私は、自分たちを型にはめる必要はないと思っていて。もともと根が真面目なタイプなので、妻になったら世間が求める妻になろうと勝手に意識して、苦しくなると思うんですよ。それって馬鹿げているなって。固定観念みたいなものに縛られたくないという気持ちは強いです。

 

 ただ、もし今後自分たちが今と違う形を求めるなら、その気持ちに従えばいいかなって。どうなるかはわからないですが」

 

 今後の話を振ると、「自分の気持ちに正直でいられたらいいかな。仕事を続けていくかも決めていないし。その場で起きることに対応しながら、気持ちには嘘をつかず生きていきたいです」と凛とした表情で語る。デビューのころから変わらず、まっすぐ一生懸命に生きる彼女を応援したい。

 

いしのようこ
1968年2月20日生まれ 兵庫県出身 1985年に『テディーボーイ・ブルース』でアイドル歌手としてデビュー。連続テレビ小説『おちょやん』(2020年)、『阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし』(2021年、ともにNHK)、『ミナミの帝王』シリーズなど話題作に出演。また『志村けんのだいじょうぶだぁ』(1987年~1993年)、『志村けんはいかがでしょう』(1993年~1995年、ともにフジテレビ)などに出演し、コメディエンヌとしても注目を集める

 

【KIRIN】
住所/東京都世田谷区船橋1-7-1
営業時間/18:00~24:00
定休日/休日曜

 

写真・伊東武志
ヘアメイク・村中サチエ

( 週刊FLASH 2022年11月22日号 )

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