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『100万回 言えばよかった』最終話の佐藤健に呆然…ファンタジーとはいえリアリティがなさすぎる【ネタバレあり】

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2023.03.18 16:38 最終更新日:2023.03.18 16:38

『100万回 言えばよかった』最終話の佐藤健に呆然…ファンタジーとはいえリアリティがなさすぎる【ネタバレあり】

 

 思い切り感動に水を差すようで申し訳ないが、個人的にはイマイチな最終話。“ファンタジー作品におけるリアリティ” を深く考えさせられる展開でもあった。

 

 3月17日の第10話で完結を迎えた井上真央主演の『100万回 言えばよかった』(TBS系)。プロポーズ直前に亡くなってしまった彼氏が、幽霊になって現れるというファンタジーラブストーリーである。

 

 中学時代の幼馴染みだったものの、長年離れ離れだった相馬悠依(井上)と鳥野直木(佐藤健)は、2年前に偶然再会して恋人同士に。しかし、直木は不可解な事件に巻き込まれて死亡し、幽霊になってしまう。

 

 

 悠依をはじめ、普通の人たちには直木の姿は見えず声も聞こえないのだが、代々霊が見える家系の寺に生まれた刑事・魚住譲(松山ケンイチ)は、彼が見えて会話することもできた。

 

 こうして、悠依、直木、魚住が協力しながら、直木が巻き込まれて殺害された事件の真相を追うサスペンスミステリーの要素もある物語。

 

■【ネタバレあり】戻ってきた直木に起きたミラクル

 

 最終話前の第9話の段階で、直木が巻き込まれた一連の事件の全貌と殺害犯が明らかとなり、すべて無事に解決。要するに最終話は、サスペンスミステリー要素が完結した状態で迎え、ラブストーリー主軸となっていた。

 

 また、第9話中盤では、事件が解決したことで幽霊の直木が消滅してしまう別れのシーンも描かれた。だが、成仏したはずの直木がなぜか再び悠依の前に現れ――というところで第9話は終了。

 

 迎えた最終話。

 

 まず言っておきたいのは、切ない終幕に感動はした。だから、全否定するつもりはなく、全話をとおしても良質な物語だったとは思う。ただ、大きな不満があったのも否めなかった。

 

 直木が再び現世に来られた理由は明確に示されなかったが、端的にまとめると、悠依たちと最後に過ごす時間として1日だけ戻ってきたような感じ。

 

 そして、悠依や魚住と楽しく過ごし、別れのシーンでは悠依と2人で海を見ながら「愛してる」を連呼。そのまま消えていくという涙腺を刺激するエンディングとなっていた。

 

 さて、ここから大きな問題点について言及したい。

 

 この最後の1日の直木は、霊体ではなく、生身の肉体の状態で帰ってきていたのだ。これまで、魚住の体に乗り移って、一時的に悠依とコミュニケーションを取ったことはあったが、今回は魚住の体を借りているわけではない。直木そのままの体で甦り、当然、悠依にも見えて、会話できて、触れ合うこともできた。

 

 ここがイマイチだと感じた最大の理由であり、“ファンタジー作品におけるリアリティ” の重要性を感じた部分でもある。

 

■“ウソ設定” だからこそ絶妙な塩梅が重要

 

 1日だけ戻ってきた直木には肉体があり、誰にでも見えて、誰とでも話せて、誰とでも触れ合えた。だが、どうしてこういう状態で甦ったのかというきちんとした説明も設定もなく、ただ “奇跡” として片付けられていた。簡単に言うと、ミラクルすぎるご都合主義に萎えたのだ。

 

 そもそも、死んだ恋人が幽霊として現れること自体がご都合主義なわけだが、その根底の設定まで否定するつもりはない。また、直木が魚住の体に乗り移れたり、直木の口笛は聴こえたり、キスなどの接触時に静電気が発生して存在を感じられたりという設定は、許容範囲といえた。

 

 それは、生きた人間の魂を押し出すと乗り移れるのかなとか、口笛のような高音なら霊感がない人でも感知できるのかなとか、視聴者が脳内補完できるものだからだ。幽霊の設定(ルール)を作っている時点でそれはウソなのだが、ウソはウソでも「ありえそうだな」と信じられる上手な匙加減だった。

 

 だが、さすがに特段の理由も設定もなく、生身の体ごと復活したのは意味不明でげんなり。

 

 というのも、中盤回で直木の遺体が発見され、葬式もおこなわれていたので、肉体は火葬されていたはず。そのため最終話の直木の肉体はどこから出てきたの? という疑問が頭のなかでずっとよぎってしまって、感動するはずの物語に没入しづらかったのだ。

 

 ファンタジー作品なんだからそんな細かいことをいちいち突っ込むのは無粋だよ、とお怒りになるファンもいるだろう。けれど、筆者からすれば、ファンタジー作品だからこそ “ウソ設定” の絶妙な塩梅が重要になってくると思うのである。

 

 ファンタジー作品はウソが前提なので、「ウソをつくな」と責めているわけではない。言いたいのは「ウソをつくなら上手に騙してほしい」ということ。ファンタジーだからこそ、「こんなのありえない」と感じさせないよう、繊細にこだわってほしかった。良質なラブストーリーだっただけに、最後が残念すぎた。

堺屋大地

恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『現代ビジネス』『集英社オンライン』『日刊SPA!』などに寄稿中

( SmartFLASH )

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