エンタメ・アイドルエンタメ・アイドル

『シン・仮面ライダー』庵野監督が描いた、斬新すぎるショッカーとの戦い/女子アナ横井弘海の「エンタメ時間」

エンタメ・アイドル 投稿日:2023.03.25 16:00FLASH編集部

『シン・仮面ライダー』庵野監督が描いた、斬新すぎるショッカーとの戦い/女子アナ横井弘海の「エンタメ時間」

 

『シン・ゴジラ』『シン・エヴァンゲリオン劇場版』など、庵野秀明監督が手がける『シン・』シリーズ。最新作の『シン・仮面ライダー』はどんな映画なのか気になって、映画館に足を運びました。

 

 1971年から73年まで放送された石ノ森章太郎氏原作の特撮テレビドラマ「仮面ライダー」50周年プロジェクトで、庵野氏は脚本も手がけています。

 

 

 みなさんは仮面ライダーにどんな記憶がありますか? 私は子供の頃、番組は見ていましたが、東京・文京区にある後楽園ゆうえんちで、何度となく「仮面ライダーショー」を見て、ライダーもショッカーもアクションがすごく迫力があったことを思いだします。

 

 弟は「仮面ライダー変身ベルト」を買ってもらったことがうれしかったと言っていました。当時、仮面ライダー1号と2号の変身ベルトは累計380万個も売り上げ、社会現象になったそうです。

 

 そして、「迫るショッカー、地獄の軍団!」という歌は『シン・仮面ライダー』でも流れるのですが、なぜか口ずさむことができる(笑)。

 

 言うまでもなく、仮面ライダーは時を超えて愛され、子供から大人まで多くの人々を虜にしてきた名作です。その石ノ森ワールドをリスペクトしながら、庵野秀明監督が新たな解釈で再構築し、現代の仮面ライダーに仕上げています。

 

 キャストも豪華で個性派揃い。仮面ライダー1号こと「本郷猛」を池松壮亮、ヒロインの「緑川ルリ子」を浜辺美波、仮面ライダー2号こと「一文字隼人」を柄本佑、「緑川博博士」を塚本晋也が演じ、本郷・ルリ子と「アンチSHOCKER同盟」を組む政府の男に竹野内豊、情報機関の男は斎藤工といった具合。

 

「SHOCKER」が放つ怪人は「オーグメント」と呼ばれるようになり、衣装デザインも洗練されました。蜘蛛男は「クモオーグ」で、その声を大森南朋、蝙蝠男は「コウモリオーグ」で手塚とおる、人間とサソリの合成「サソリオーグ」は長澤まさみ、人間・カマキリ・カメレオンの3種合成型「カマキリカメレオンオーグ」に本郷奏多、このほか、松坂桃李、市川実日子、仲村トオル、安田顕、西野七瀬、森山未來、松尾スズキなどなど。

 

 冒頭、スピード感あふれる圧倒的な映像で映画の世界に引きこまれます。最初のショッカーとの戦いで、派手な血ヘドや返り血が流れます。光の使い方といいアングルといい、あまり見たことのない表現で、これだけで庵野監督の “天才” ぶりがわかります。ですが、その戦闘シーンが激しすぎるのか、「PG12」に指定されました。大人に向けた仮面ライダーとも言えます。

 

 映画のストーリーを少し紹介すると、正義のヒーローである仮面ライダー(本郷猛)は「バッタオーグ」に変身できる能力を身につけた心優しい青年。秘密結社「SHOCKER」の放つ怪人たちと死闘を繰り広げます。テレビシリーズでは、世界の破滅と人類の支配を画策する悪の集団「ショッカー」で、ショッカーの戦闘員は、蜘蛛男やキノコモルグなど人間の自然破壊によって失われつつある動植物や菌類の能力を移植して洗脳した怪人を中心に構成されました。

 

 ところが、本作で明かされた「SHOCKER」の正式名称は、「Sustainable Happiness Organization with Computational Knowledge Embedded Remodeling」。直訳すると「計算知識を組み込んで改造しながら持続可能な幸福を目指す組織」? 人類に幸福をもたらすという目的が、人類全員をあの世に送る「ハビタット計画」となるに至ります。その計画を阻止するため、仮面ライダーは闘うのです。

 

 かつて仮面ライダーは、ベルトの風車ダイナモを起動し、風という自然の力を利用して変身しましたが、そこにも進化が見られます。シン・仮面ライダーは「プラーナ」という生命エネルギーを吸収・増幅させることで変身します。「変身!」もスマートに。

 

 一方、変わらず強調されたのは、仮面ライダーの心の優しさです。一発のパンチやキックで怪人たちをしとめるパワーを持ちながら、自らの攻撃が敵の命を奪うことに悩む姿を描きます。たまたま逃げることができた自分と、逃げられずにオーグにされた敵を倒すことへの複雑な思いが交錯するのでしょう。

 

 優しすぎることが弱点と指摘される本郷は、戦わずしてその場を逃れたり、必殺のキックをお見舞いすることに躊躇する良心をもったヒーローとして描かれ、ほろりとします。ルリ子役の浜辺さんはほぼ笑わないながら、そばにいる本郷に対する気持ちが少しずつ変化していくのがよくわかります。

 

 スタントマンに任せず、池松さんと柄本さんが変身スーツを身につけたまま動くアクションシーンも、あえてCGでカッコよく撮るわけでもなく、人間らしさが画面から伝わる映画でした。ちょっと昔の仮面ライダーショーを思い出しました。

 

 映画を見てから、どんなテレビシリーズだったか思いだしたくて、図書館に行ってみたところ、仮面ライダー関連本がいくつもあることに驚きました。なかでも、『仮面ライダー大全』(双葉社、2000年)は、仮面ライダー1号と2号のすべてを関係者のインタビューなどを交えて完全検証しています。石ノ森氏の思いを庵野監督がどう伝えようとしたのかよりわかった気がして、本を読んだ後、また映画を観に行きたくなりました。

横井弘海

東京都出身。慶應義塾大学法学部卒業後、テレビ東京パーソナリティ室(現アナウンス室)所属を経てフリー。アナウンサー時代に培った経験を活かし、アスリートや企業人、外交官などのインタビュー、司会、講演、執筆活動を続ける。旅行好きで、訪問国は70カ国以上。著書に『大使夫人』(朝日新聞社)

( SmartFLASH )

続きを見る

エンタメ・アイドル一覧をもっと見る

エンタメ・アイドル 一覧を見る

今、あなたにおすすめの記事