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「食べられたくない!」肉食恐竜への対抗手段はトゲトゲウロコ「恐竜博 2023」/女子アナ横井弘海の「エンタメ時間」
芸能・女子アナFLASH編集部
記事投稿日:2023.03.18 16:00 最終更新日:2023.03.18 16:00
国立科学博物館(東京・上野公園)で、6月18日(日)まで特別展「恐竜博 2023」が開催されています。
博物館に行くたび、巨大な恐竜の骨格や化石に見入ってしまうことがあります。恐竜の化石は2億年以上も昔のものが見つかっています。また、全長10m以上もある恐竜がこの地球にいたわけですから、どんな世界だったのか想像すると楽しいのです。
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今回の展覧会は、
第1章 装盾類の進化
第2章 鎧竜ズールのすべて
第3章 北半球における獣脚類の進化
第4章 南半球における獣脚類の進化
第5章 絶滅の最新研究
という構成。
本展を監修した真鍋真・国立科学博物館副館長の解説によれば、「今から約2億3000万年前の中生代三畳紀、最初期の恐竜は全長1mくらいの肉食だったと考えられています。その中から豊富な資源である植物を主食とする恐竜が出現し、恐竜の形や大きさに多様性が生まれました。
本展では、究極の防御のためにトゲやプレートを進化させた装盾類(体表に骨からなるウロコをもつ恐竜)の進化、そのような進化に対抗しなくてはならなかったさまざまな肉食恐竜たちの進化を比較しながら、恐竜たちの『攻・守』をキーワードに恐竜学の最前線を解説します」という展覧会です。
数ある恐竜のなかで、本展の目玉は、後期白亜紀時代のズール・クルリヴァスタトルです。
推定全長約6mの全身実物化石で、カナダ・ロイヤルオンタリオ博物館以外では初公開です。ズールは、2014年、カナダとの国境に近い米国モンタナ州で見つかりました。その発掘現場の再現が会場の中心に展示されています。鎧竜類アンキロサウルス類ですが、「鎧」という漢字からわかるように、捕食者から身を守るのに役立ったと考えられる「装甲」に全身を覆われた草食恐竜です。
胴体全体に高さ約5~6センチの三角錐、トゲトゲした骨質のウロコがたくさん見えます。この独特の形状に目が離せなくなりますが、鎧つまり皮骨の大部分が生きていたときの形と位置で、そのまま化石になっているのがすごいのだそう。
というのも、皮骨は皮膚の一部で、普通は皮膚が腐敗するとバラバラになり、からだのまわりに散乱した形で見つかるものなのだとか。その状態から、もともとの皮骨がどのように組み合わさっていたかを見極めるのは、ジグソーパズルをはめるようなもの。1個体で頭骨から尾まで発見されたのはアンキロサウルス類で初めてだそうで、鎧竜屈指の完全度を誇る化石なのです。ちなみに、普通なら残らない角質も保存されており、鎧竜の進化を解明する大きな手がかりになるそうです。
では、ズールの生きていた時代に、ちょっとタイムスリップしてみましょう。
悲しいことに、草食恐竜は、肉食恐竜に食べられてしまう運命にあります。しかし、ズールは自分の身を守るために、鎧に加えて、2.1mもある尾の先っぽに強力な棍棒(ハンマー状のコブ、推定7kg)をもっています。
棍棒を振り回せば、襲ってくるゴルゴサウルスの脛を破壊できたと考えられています。このゴルゴサウルスを「攻」を代表する恐竜とすれば、ズール・クルリヴァスタトルは「守」を代表する恐竜となります。そして、この2つの全身復元骨格を対峙するように展示し、闘いの様子を再現した映像を流していますので、何億年か前に戻ったような臨場感を体験できるはずです。
展覧会では、このほか2022年に新種と発表された、南半球の頂点的存在だったといわれる推定全長10mの肉食恐竜マイプ・マクロソラックスと、白亜紀末期に北半球の生態系のトップにいた獣脚類ティラノサウルス・レックスなどを対比しながら紹介しています。
今回、世界初公開されたティラノサウルス「タイソン」は、推定全長11.2mで、全身約300個の骨のうち177個が発見され、その一部が公開されています。並んで立つティラノサウルス「スコッティ」はさらに大きく、推定全長13m、体重は8.9トンに達したとも言われる史上最重量の個体です。見上げて圧倒され、こういう標本を作るのは、気の遠くなる作業だろうなぁとも感心しました。
余談ですが、ズール・クルリヴァスタトルの属名「ズール」は、映画『ゴーストバスターズ』に出てくるキャラクター「ズール」に顔が似ていることから名づけられました。学問の世界にもユーモアがあるのですね。
東京都出身。慶應義塾大学法学部卒業後、テレビ東京パーソナリティ室(現アナウンス室)所属を経てフリー。アナウンサー時代に培った経験を活かし、アスリートや企業人、外交官などのインタビュー、司会、講演、執筆活動を続ける。旅行好きで、訪問国は70カ国以上。著書に『大使夫人』(朝日新聞社)
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