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坂本冬美の『モゴモゴ交友録』大竹しのぶさんーー「セリフを見た瞬間、全部頭に入ってくる」とおっしゃる “奇跡の女優”

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2023.06.03 06:00 最終更新日:2023.06.03 06:00

坂本冬美の『モゴモゴ交友録』大竹しのぶさんーー「セリフを見た瞬間、全部頭に入ってくる」とおっしゃる “奇跡の女優”

大竹しのぶ、坂本冬美

 

 天は二物を与えずーーといいますが、時として神様は、ちょっとした悪戯心なのかどうか、二物どころか三物も四物もお与えになることがあります。

 

 誰とはいいませんが、スタイルがよくて、顔もシュッとした美人で、そのうえ性格もいい……なんていう女性を見ると、思わず “あらまぁ” と、感嘆と憧憬が入り交じった声を漏らしてしまいます。

 

 

 殿方も同様で、イケメンで優しく、仕事ができて、そのうえお声もいい……そんな男性を見つけると、独身女性のわたしといたしましては、 “ほう” という溜め息が漏れてしまいます。

 

 これが少しばかりのことでしたら「世の中、不公平だ!」と文句のひとつ、2つ、3つも言いたくなるところですが、どんなにあがいても勝負にならない方を前にすると、もう「参りました」というほかありません。

 

 ぱっと思い浮かべただけで、幾人かのお顔が出てまいりますが、そのなかでも、大竹しのぶさんは、ひときわ大きな光を放っていらっしゃいます。

 

 お寿司屋さんでお会いするときは、「元気だったぁ~~?」とか「まぁ~~、冬美ちゃんたらぁぁぁぁ」「それじゃぁ、また今度ねぇぇ~~~」など、大竹さんのまわりだけ、時間の流れが違うんじゃないかと思うほど、ゆったりしていらっしゃるのに、舞台ではまるで何かが憑依(ひょうい)したかのような素晴らしい演技で、身に纏(まと)うオーラがまるで違います。

 

 わたしは物事を縦に並べて、上から順にこなしていかないと頭の中がパニック状態になりますが、全部を横に並べ、やるべきときにやるべきことを完璧にやってしまう。大竹さんはそれができる方で唯一無二であり、神様がお創りになった最高傑作だと思います。

 

ーーうらやましい?

 

 もちろんですよ。歌詞を覚えるのにも四苦八苦。 “覚えた!” と思った次の瞬間には、もう忘れているわたしにとって、大竹さんはもう “奇跡の人” です。

 

ーーどうやったらセリフや歌詞を覚えられるんだろう?

 

 一度、お寿司屋さんで大竹さんに伺ったことがあるのですが、そのときに返ってきた答えは……

 

「ほかの人はわからないけどぉ~~、私は~~」という前置きの後に続き、「セリフも歌詞も、ぱっと見た瞬間、全部、頭に入ってくるのよねぇ~~~」という言葉に、わたしは口をあんぐりと開けるしかありませんでした。

 

 ということは、セリフを忘れたらどうしようという心配をしたことが……ない?

 

「うん。ないの。ごめんね」

 

 申し訳なさそうに微笑む大竹さんは、女優になるべくしてなった、女優になるために生まれてきたような、そんな方です。

 

 先日も、歌番組でご一緒したので、楽屋にご挨拶に伺うと、ひょいと顔を覗かせ、

 

「あ~~~~、私も今、行こうと思っていたのにぃぃぃ。ねっ、写真、撮ろう!」と、無邪気な笑顔で記念撮影。

 

 歌っているときは、まるで別人の大竹さんなのに、歌い終わった瞬間、「冬美ちゃ~~~~ん!」と、手を振ってくださって。ほんと、毎回驚かされます。

 

 その大竹さんが、一度だけ「私も、もうちょっと真面目にお稽古しなきゃね」と、呟いたことがありまして。大竹さんからそんな言葉が出てくるのにも驚きましたが、同時に大竹さんがこれ以上、本気度マックスでお芝居をしたらどうなるんだろう? と、想像してしまいまして。

 

 観たいですよね? わたしも、観たいです。

 

さかもとふゆみ
1967年3月30日生まれ 和歌山県出身 『祝い酒』『夜桜お七』『また君に恋してる』『ブッダのように私は死んだ』など幅広いジャンルの代表曲を持つ。現在、著書『坂本冬美のモゴモゴモゴ』(小社刊)が発売中!

 

写真・中村 功 
取材&文・工藤 晋

( 週刊FLASH 2023年6月13日号 )

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